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一帯一路

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一帯一路(いったいいちろ、拼音: Yídài yílù、英語: The Belt and Road Initiative, BRI; One Belt, One Road Initiative, OBOR)は、中華人民共和国(以下、中国)が2017年から推進し続けている、中国と中央アジア・中東・ヨーロッパ・アフリカにかけての広域経済圏の構想・計画・宣伝などの総称。

習近平総書記が2013年9月7日、カザフスタンのナザルバエフ大学における演説で「シルクロード経済ベルト」構築を提案したことに始まり、翌2014年11月10日に中国北京市で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で習総書記が提唱した。中国からユーラシア大陸を経由してヨーロッパにつながる陸路の「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路の「21世紀海上シルクロード」(一路)の二つの地域で、インフラストラクチャー整備、貿易促進、資金の往来を促進する計画である。

2023年時点でカザフスタン、キルギスタン、ミャンマー、パキスタンなど建設先現地民の強い反対世論に直面しており、さらに主要7か国(G7)の中で唯一参加していたイタリアが離脱するなど、中国に対する反感世論を世界に拡散する「反中の道」となりつつある。

名称[編集]

正式名称はシルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード(中国語: 丝绸之路经济带和21世纪海上丝绸之路、拼音: Sīchóu zhī lù jīngjìdài hé èrshíyī shìjì hǎishàng sīchóu zhī lù)、一帯一路はその略称である。

概要[編集]

インフラ投資計画としては史上最大規模で、建国100周年に当たる2049年までの完成を掲げている。「一帯」構想は習総書記が行った2013年9月7日のカザフスタンのナザルバエフ大学での演説、「一路」構想は同年10月3日のインドネシア国会での演説でアジアインフラ投資銀行(AIIB)とともに初めて提唱された。AIIBや中国・ユーラシア経済協力基金(英語版)、シルクロード基金などでインフラ投資を拡大させ、また発展途上国への経済援助を通じ、人民元の国際準備通貨化による中国を中心とした世界経済圏の確立を目指すとされる。

中国政府の李克強国務院総理は沿線国に支持を呼び掛け、100を超える国と地域から支持あるいは協力協定を得、さらに国際連合安全保障理事会、国際連合総会、東南アジア諸国連合(ASEAN)、アラブ連盟、アフリカ連合、欧州連合(EU)、ユーラシア経済連合、アジア協力対話、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)、上海協力機構(SCO)など多くの国際組織が支持を表明した。李克強首相は「『一帯一路』の建設と地域の開発・開放を結合させ、新ユーラシアランドブリッジ、陸海通関拠点の建設を強化する必要がある」としている。

2017年2月、中国は北京市で一帯一路国際協力サミットフォーラム(英語版)を5月に開催すると発表し、グテーレス国際連合事務総長ら70を超える国際機関代表団やロシアのプーチン大統領ら29カ国の首脳が出席を表明したのをはじめとして、世界130カ国超の政府代表団が参加を決定し、5月14日から15日にかけてフォーラムが開催された。 しかし、G7は閣僚級などを出席させて首脳のほとんどは欠席し、出席したのはイタリアの首相パオロ・ジェンティローニだけとなった。イタリアはギリシャなどとともにEU加盟国では一帯一路への協力に積極的な国の一つとされ、後にジュゼッペ・コンテ政権はG7で初めて一帯一路に関する覚書を中国と締結していた。一帯一路を中国主導の巨大経済圏構想と警戒してAIIB参加を見送ってきた日米は政府代表団を派遣した。

2017年10月の中国共産党第十九回全国代表大会で、党規約に「一帯一路」が盛り込まれた。

2019年4月25日、第2回一帯一路国際協力サミットフォーラム(英語版)が北京で開催され、国連事務総長らと37カ国の首脳や日本など150カ国を超える代表団が出席するも前回参加した米国は一帯一路への批判を強めたために出席を見送った。

順調にインフラ投資は続けられてきたが、2010年代後半になると新興国向け融資の焦げつきが増加した。アメリカのシンクタンクによると、金利を減免した債権は2020年 - 2021年に計520億ドルと2年前(2018年 - 2019年)の3倍を超した。新規貸し出しに慎重になり、2020年の貸出額は2018年の約4割に急減した。

2023年9月9日、G7で唯一参加していたイタリアが離脱の方針である報道された。G20サミット中にイタリアのジョルジャ・メローニ首相が中国の李強首相と会談し、この中で非公式に「一帯一路」から離脱する方針を伝えた。その後、同年12月にイタリア政府は文書で中国側に「一帯一路」の離脱を通知した。双方の友好関係の維持を確認した上で、両国政府の合意で公式発表は行われないことになったという。先述のコンテ政権では経済回復を狙って「一帯一路」に加入したが、貿易赤字は逆に拡大したうえに、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大の影響もあり、中国からの投資も停滞した。このことから中国の専制主義への警戒に加え、経済的な恩恵が乏しいとして、閣僚や経済界から不満の声が上がっていた。



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