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ワイン

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ワイン(仏: vin、英: wine、伊: vino、独: Wein)とは、主としてブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料(酒)である。葡萄酒(ぶどうしゅ)とも。通常、単に「ワイン」と呼ばれる場合には、ブドウ以外の他の果実の果汁を主原料とする酒は含まない。日本の酒税法では「果実酒」に分類されている。また、日本語での「酒」と同じく、欧州語においてはアルコール飲料(特に果実酒)全体を指す場合もある。

ワインは日常的に飲まれるアルコール飲料でありながら、ギリシャ神話やローマ神話、キリスト教において重要な役割を果たす神聖な存在でもある。また、外観や香りや味わいを鑑賞する嗜好品としても高い地位を獲得しており、食文化を牽引する存在の一つとなっている。長期熟成に耐えうることから、近年ではコレクションや投資の対象としても大きな注目を集めている。

古くは紀元前の南コーカサスやメソポタミアに端を発し、その後はフランスやイタリアをはじめとするヨーロッパ周辺地域で広く生産から消費まで行われる時代が続いたが、現在ではさらに生産地域を広げ、そして世界中で愛飲されている。

種類[編集]

ワインは世界で最も多くの地域で飲用されているアルコール飲料の一つである。ワインは主に以下の3種類に分類される。

白ワイン
主に無色に近い色調から(時に緑色がかった)黄色みを帯びたワインを白ワインと呼ぶ。白ブドウなど主に色の薄い果皮のブドウを原料とし、発酵には果汁のみを使用する。酸味の強いものは、一般的に魚料理に合うとされる。白ワインは、料理と合わせる辛口からデザートワインにする極甘口まで甘さに幅がある。なお、フランス東部のジュラ地方にはヴァン・ジョーヌ(仏: Vin jaune、黄ワイン)という特殊な白ワインがある。
赤ワイン
透き通った赤や濃い紫、あるいは赤褐色のワインを赤ワインと呼ぶ。一般に白ワインよりも渋みの成分であるタンニンを多く含み、長期保存が可能である。主として黒ブドウや赤ブドウを原料とし、果実を丸ごとアルコール発酵させる。この発酵の過程で、果皮に含まれる色素やタンニンが抽出される。マロラクティック発酵により減酸が行われることも多い。濃厚な風味のものは一般的に肉料理に合うとされる。また冷やすと香りの成分が揮発しにくくなったり苦味が増したりするため、冷やさないのが普通である。一般的に赤ワインには辛口しかなく、コクとタンニンにより、ライトボディーからフルボディーといった分類がなされる。白ワインと違い、飲む人の体質とワインの銘柄との相性により激烈な頭痛を起こすことがある。その原因はチラミンやヒスタミンの多さにあるとも言われているが、ヒスタミンの含有量は、他の発酵食品と比較して多くはない。また、フラボノイド類により喘息の重症化とは有意な逆の相関関係が示されている。
ロゼワイン
ロゼ(rosé)とはフランス語で「ピンク色」を意味し、時にピンク・ワインとも呼ばれる赤みを帯びた淡い色調のワインを指す。製法には、果皮の色の薄いブドウを赤ワインのように醸造する方法や、赤ワインと同じブドウを白ワインのように醸造する方法、赤と白の双方のブドウによる混醸、赤ワインの醸造途上で色の素である果皮を取り除く方法などがあり、味わいも様々である。中には赤ワインと白ワインを混合したものや白ワインに着色しただけの製品もある。

ほかに発泡ワイン、オレンジワインなどの特殊な製法のものがある。ワインの風味を構成する味覚は、白ワインでは酸味・甘味であり、赤ではそれに渋みが加わる。加えて、香りが風味の重要な要素であり、これらのバランスが取れているワインが一般的に良いものとされる。

ワインの主成分は水、エタノール、各種の有機酸、糖、グリセリン、アミノ酸、核酸、タンニン、炭酸ガスなどである。各種の有機酸の中では酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸、コハク酸の6つがワインの風味に関して最も重要な要素と考えられている。また、貴腐ワインにはグルコン酸が多く含まれている。

魚介類との相性に関しては、従来はタンニンが関与していると信じられていたが、タンニンではなくフェノール化合物、カルボニル基を持つ物質、鉄が関与するとの報告がある。特に、鉄分の含有量は魚介類料理との相性に大きく影響を及ぼし、鉄分濃度に依存し1-オクテン-3-オン、(E,Z)-2,4-ヘプタジエナールなどの物資により生臭味が増強されてしまうとされている。なお、鉄の起源は、土壌、製造工程中の鉄製品、コラージ(澱引き)に依存している。

ワインは瓶に詰められた後でも熟成が進み、風味は変化を続ける。熟成期間はボルドーワインなどの一部のワインでは50年以上もの熟成に耐えるものもあるが、多くは1年から10年ほど、長いものでも20年から30年である。安価なワインでは熟成によって品質が向上することはあまりなく、むしろ早く飲まないと劣化してしまう。長い熟成に耐えるものを長熟、逆に早く飲むものは早飲みという。作られて間もないワイン(「若いワイン」と表現する)は、ブドウの生の味が強く、渋すぎたり、酸味がきつすぎたりするということもあるが、熟成が進むと角が取れてまろやかになる。また、年数が経てば総数が減るため希少価値により価格も高くなる傾向にある。ただし、熟成したワインがどれも同じように高くなるというわけではなく、生産年、地域、作り手の知名度などにより価格は大きく異なる。

ワインが食文化に根付いているヨーロッパでは日常的に飲まれることも多いが、近年では[いつ?]日本における日本酒と同様に、1人あたりの需要量は減少傾向にある。イスラム教においては飲酒が教義により禁止されているため(「ハラール」を参照)、イスラム教発祥地である現在の中東諸国では、ワインの生産は、イスラエル、世俗主義国家であるトルコ、比較的リベラルなイスラム教徒やキリスト教徒が住むレバノン、ヨルダン、パレスチナ、エジプトなどに限られる。日本を含むアジア諸国では、1人あたりの需要量は依然として少なく、需要の伸びは著しい。

日本では、冷やしてストレートで飲むものと言うイメージが強いが、ヨーロッパではホットワインは冬の定番の飲み物である。ホットワインもそうだが、香料やスパイスを入れたフレーバーワイン(スパイスワイン)もなじみ深い。特に中世ヨーロッパではストレートで飲めるワインは最高級品であり、滓を取ったり、香料やスパイスを加えたりして飲みやすくするのが通常であったため、歴史は古い。



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