ロードアイランド州
ロードアイランド州(ロードアイランドしゅう、英: State of Rhode Island)は、アメリカ合衆国東北部、ニューイングランド地方にある州。
州都および人口最大都市は州北部、ナラガンセット湾の湾奥に位置する港湾都市・学術都市プロビデンス市である。州全土がプロビデンス大都市圏(英語版)(大都市統計地域)に含まれている。州全土が1つの都市圏に含まれるのは、全米50州の中でロードアイランド州のみである。より広域的には、プロビデンス大都市圏はボストンの広域都市圏に含まれているため、ロードアイランド州全土がボストンの広域都市圏に含まれているということになる。
独立時の13州の1つ。全米50州の中で面積が最小の州であり、その陸地面積は2,707km2と、50州最大の面積を有するアラスカ州の約547分の1、本土48州最大の面積を有するテキサス州の約250分の1で、日本の都道府県と比較しても、47都道府県中42位の佐賀県や43位の神奈川県と同程度の面積である。Little Rhody(リトル・ローディ)という愛称を持つ。より一般的な愛称は、地形的な理由、すなわち、州内の陸地の奥深くまでナラガンセット湾が入り込んでいることから、観光用パンフレットでよく使われる The Ocean State であり、これは自動車のナンバープレートにも記されている。人口は50州の中で第43位だが、前述の通り州域面積が小さいため、人口密度はニュージャージー州に次いで第2位である。西はコネチカット州に、北と東はマサチューセッツ州に接しており、南西のニューヨーク州ロングアイランドとは海上の州境がある。マサチューセッツ州とともに繁殖力の強い鶏(ロードアイランドレッド)の原産地でもある。
家庭で話される言語(ロードアイランド州) 2010 | ||||
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英語 | 79.18% | |||
スペイン語 | 10.41% | |||
ポルトガル語 | 3.41% |
人種構成(ロードアイランド州) 2010 | ||||
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白人 | 76.4% | |||
ヒスパニック | 12.4% | |||
黒人 | 5.7% | |||
アジア系 | 2.9% | |||
インディアン | 0.6% | |||
混血 | 3.3% |
州名の由来[編集]
ロードアイランド州の公式名称は、全米で最も長い State of Rhode Island and Providence Plantations であったが、2020年に State of Rhode Island に変更された(州名変更の項参照)。日本語訳すると、「ロードアイランド及びプロビデンス・プランテーション州」であった。プランテーションを「植民地」や「農園」などと訳す人はいるが、ロードアイランドの方を「ロード島」と訳す人は見かけない。ロード島(別名:アクィドネック島)は、ナラガンセット湾の島で、現在はニューポート郡に属する。プロビデンス・プランテーションは、ロードアイランド州の起源となった植民地集落の名で、ここを中心に、ロードアイランドなどの周辺地域に農地を広げていった。
州名に「アイランド」がついているが、その大半はアメリカ合衆国本土にある。この州名は2つの開拓地の統合の結果で生じた。ロードアイランド植民地は、ナラガンセット湾に浮かぶ幾つかの島の中では最大のアクィドネック島と呼ばれる場所で、現在のニューポート市近くに設立された。プロビデンス・プランテーションは、現在プロビデンス市がある地域にロジャー・ウィリアムズが設立した植民地の名前である。
アクィドネック島がどのようにしてロード島と呼ばれるようになったかは不明だが、2つの学説がある。
- 探検家ジョバンニ・ダ・ヴェラッツァーノが1524年に、ナラガンセット湾口近くある島の存在を記しており、それがオスマン帝国のロドス島(現在はギリシャに属する)に擬えられた。その後のヨーロッパ人探検家はヴェラッツァーノが名付けた島を正確に特定できなかった。後にこの地域に入植したピルグリムが、ベラッツァーノのロードス島はアクィドネック島であると想定した。
- 第2の学説はアドリアン・ブロックに関するものであり、1610年代に探検したときにアクィドネック島の側を通り、1625年の旅行記で、「赤みを帯びた島」と表現していた。17世紀のオランダ語では「赤み」がロドリッチ("rodlich")と発音された。歴史家達はその「赤み」が秋の紅葉からきたものか、岸の一部にある赤い粘土からきたものであると論じている。
アクィドネック島について「ロード島」という名前を使った初期の文書は、1637年のロジャー・ウィリアムズによるものである。その名前は1644年に公式に適用された。「アクスネックは今後、アイル・オブ・ロードスあるいはロード・アイランドと呼ぶことにする。」アイル・オブ・ロードスは1646年には既に法的文書で使われていた。オランダの地図では1659年のものでこの島を「レッド・アイランド」(Roodt Eylant)と表示していた。
ロジャー・ウィリアムズはマサチューセッツ湾植民地を追い出された神学者だった。信仰と政治の寛容さを求め、他の者達と共に自由な領主植民地として「プロビデンス・プランテーション」を設立した。「プロビデンス」は神の摂理を表し、「プランテーション」は英語で植民地を表す言葉だった。
2009年6月25日、ロードアイランド州議会はその長い名称を続けるか、あるいは奴隷制度に係わるという誤解を生みやすい「及びプロビデンス・プランテーション」を切り捨てるかを住民が選ぶことを認めた。2010年11月2日の選挙と同時に行われた住民投票の結果、78%対22%という圧倒的な差で現行名の存続が決まった。
州名変更[編集]
2020年に起こったジョージ・フロイド抗議運動の中で州名問題が再燃し、州上院は6月18日に「及びプロビデンス・プランテーション」の削除を満場一致で可決した。これを受け6月22日に州知事ジーナ・レイモンドは州の公的文章から削除することを決定した。州名変更案は、7月16日に州議会両院を通過(州下院は賛成69反対1棄権5、州上院は賛成35反対0棄権3)し、11月3日に大統領選挙と同時に行われた住民投票において賛成52.8%対反対47.2%で承認された。