ポルシェ
ポルシェ(Dr.-Ing. h.c. F. Porsche AG ドイツ語発音: [ˈpɔɐ̯ʃə] (https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/21/Speaker_Icon.svg/13px-Speaker_Icon.svg.png 音声ファイル))は、ドイツの高性能スポーツクーペやSUV、スポーツセダンなどを専門とする自動車メーカーである。バーデン=ヴュルテンベルク州シュトゥットガルトに本社を置く。フォルクスワーゲンAGの傘下である。
概要[編集]
スポーツドライビングを軸として多彩な形態のモデルを生産している、ドイツの大規模な老舗スポーツカーメーカーである。オーストリア=ハンガリー帝国(現・チェコ)生まれの技術者フェルディナント・ポルシェにより、1931年に自動車設計事務所としてドイツ・シュトゥットガルトに設立され、1948年から自動車の自社生産を開始した。
運動性、耐久性、実用性という自動車としての理想的な性能を追求しており、その中から生まれた自己矛盾のない一貫したデザイン哲学を有している。創業当初からモータースポーツに力を注ぎ、幾多の実績を残しているほか、自動車の枠を超えてさまざまな設計開発事業にも取り組んでいる。2011年のカナダの研究では、過去25年間に生産されたポルシェのうち97.4%がいまだに走行中であることが明らかにされている。
米国・ニューヨークの独立調査機関「ラグジュアリー・インスティテュート(英語版)」が同国や欧州の富裕層を対象に行った調査によれば、2005年から2009年にかけて、ポルシェは「最も権威のある高級車ブランド」の項目で1位を獲得した。同調査によれば、ポルシェ・ブランドの成功の理由をその「独自性」と「排他性」にあるとし、また「極めて高い品質」「高級感」「エレガントな雰囲気」が評価されたほか、ポルシェの価格性能比と社会的受容性も好意的に受け止められているという。加えて同ブランドは「車のわかる人にとっての本当の世界クラスのスポーツカー」と考えられており、「他人から称賛され、尊敬される」人が最も多く運転している車であることが判明した、としている。さらに米国・トロイの独立調査機関「J.D.パワー」が同国の新車購入者を対象に実施した「自動車商品魅力度(顧客満足度)調査」では、2005年以降、2018年を除きポルシェが高級車ブランドカテゴリで1位を独占しているほか、英国・ロンドンの独立調査機関「ブランド・ファイナンス(英語版)」が独自の指標からブランド力を評価した調査において、「最も価値があり勢いのある高級ブランド」として、ルイ・ヴィトン、ロレックス、フェラーリ、リッツ・カールトンなどを抑えて、ポルシェが2018年の調査開始以来1位を保持している(2022年現在)。同英国調査機関によれば、ポルシェの信頼と長年の伝統、多様化への取り組み、イノベーション、アフターサービスの組み合わせが、同ブランドを競合他社から際立たせた存在にしている、と評価している。
ドイツの自動車メーカー間においては250 km/hのスピードリミッターが装着されるよう紳士協定が結ばれているが、ポルシェは加盟していない。
創業者一族のポルシェ-ピエヒ家(英語版)が議決権ベースで100%の株式を保有するポルシェ・オートモービル・ホールディング(ポルシェSE)は、ポルシェAGの親会社フォルクスワーゲンAGの筆頭株主である。一族は1972年以降、本田宗一郎の経営方針に影響を受けて直接的な同族経営から退いているものの、株主として未だにポルシェ社に深く関わっており、その総資産は4000億米ドル以上とされる(2007年時点)。
日本での販売[編集]
ポルシェジャパン[編集]
1998年以降、日本ではドイツのポルシェAGが100%出資する日本法人であるポルシェ・ジャパンが正規輸入・販売を行なっている。車両の輸入は愛知県豊橋市三河港で行われ、新車整備センター(VPC)は同市のフォルクスワーゲン グループ ジャパン内に所在する。パーツ・デリバリー・センターは静岡県静岡市清水区に、社員育成施設であるトレーニングセンターは神奈川県横浜市港北区に所在する。
1952年(昭和27年)から1997年(平成9年)末まで、ミツワ自動車(当初の社名は「三和自動車」)が、輸入総代理店として輸入・販売を行なっていた。
ミツワによる輸入販売体制のもと、1990年(平成2年)秋に発売された1991年モデルからは主要モデルにエアバッグがオプション設定されたほか、全シリーズに右ハンドル仕様が用意された。また、1995年(平成7年)には、それまで1,000万円超であったポルシェ・911の新車価格を910万円に引き下げるなど、日本におけるポルシェのユーザー層拡大に努めた。
一方、ポルシェ本社が、「主要輸出市場では、販売・流通を直接管理する」との方針によりアメリカ合衆国、イギリス、イタリア、スペイン、オーストラリアなどの現地法人を直営化しており、日本でも1995年(平成7年)に100%出資の子会社「ポルシェ自動車ジャパン株式会社」を設立した。同社は1997年(平成9年)、「ポルシェジャパン株式会社」に改称、翌年1月からはそれまでのミツワ自動車から日本への輸入権が移管され、輸入業務を開始した。この際、輸入権を失ったミツワ自動車は一正規ディーラーとして再出発することとなった 。後年正規ディーラー事業から撤退し、ポルシェ中古車の販売および整備サービスを行なっていたが、2022年7月31日付けで自動車事業を終了した。
1998年には富士重工業(現:SUBARU)と販売協力で提携し、全国数箇所のスバル販売会社がポルシェジャパンの正規ディーラーも運営するようになった。スバルがトヨタ自動車グループ入りしてからも関係は続いていたが、2018年に、メーカー資本ディーラーの「福岡スバル」「東京スバル」が相次いで他社にディーラー権を譲渡している(福岡スバル→ヤナセ。東京スバル→コーンズ)。販売を続ける一部の独立資本系地方ディーラー(静岡・埼玉など)も、ディーラー運営をグループ会社に移管している。
なお、日本市場でもミツワ時代から長きにわたり、左ハンドル車中心の販売施策が取られてきたが、2014年のマカン発売以降は商品ラインナップを原則的に右ハンドル車に一本化し、左ハンドル車は一部の車種・グレードにおいて期間・台数限定で受注する方針にシフトしつつある。
ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京[編集]
千葉県木更津市に所在する。ポルシェジャパンにより2021年10月1日に正式オープン。
ポルシェファイナンシャルサービス[編集]
ポルシェファイナンシャルサービス株式会社は、ポルシェAGの子会社、ポルシェ・ファイナンシャル・サービス GmbH(Porsche Financial Services GmbH)の子会社として、1998年に設立された。日本における、新車及びポルシェ認定中古車を購入する際に利用できるサービス「ポルシェ ローン」「ポルシェ リース」の提供や、オーナー限定のクレジットカード「ポルシェ カード」の発行、オーナー限定の自動車保険「ポルシェ自動車保険」の提供などを行っている。 ポルシェカードの国際ブランドはマスターカードで、SBI新生銀行グループのアプラスがカード発行・管理等の業務を担当している。ポルシェ自動車保険は、三井住友海上火災保険株式会社が提供する自動車保険に、ポルシェ独自のオリジナル補償サービス(無償)をプラスしたプログラムとなっている。