ボストン・レッドソックス
ボストン・レッドソックス(英語: Boston Red Sox、略称: BOS)は、メジャーリーグベースボール(以下MLB)アメリカンリーグ東地区所属のプロ野球チーム。本拠地はマサチューセッツ州ボストンにあるフェンウェイ・パーク。
概要[編集]
アメリカンリーグ創設時から存在する古豪球団。本拠地を移したことが一度もなく、リーグ優勝14回・ワールドシリーズ制覇9回の実績を誇る。伝統的に長打力を重視するビッグボール派のチームとして知られている。
愛称は1901年の球団創立当初はアメリカンズ、1902年~1903年がサマーセッツ(当時のオーナーであるチャールズ・サマーズ(英語版)に因む)、1904年~1906年がピルグリムスと変わったとされ、他にもピューリタンズやプリモスロックスなどの愛称があったとされるが、実際には1901年からの7シーズンは単にホームタウンのボストン、もしくはナショナルリーグのボストン・ビーンイーターズ(現アトランタ・ブレーブス)に対し「アメリカンリーグのボストン」を示すボストン・アメリカンズで通っており、その他の愛称は当時の新聞記者が自由につけていたもので、1908年シーズンから現在のレッドソックスが正式なものとなった。
1903年に初のリーグ優勝を果たし、さらにピッツバーグ・パイレーツとのワールドシリーズも制した。それから1910年代にはリーグ優勝4回、ワールドシリーズ優勝4回を果たし、1901年から1919年までにリーグ優勝6回、ワールドシリーズ優勝5回のMLB屈指の名門チームに上り詰めていく。しかし、その後は台頭したライバルのニューヨーク・ヤンキースの後塵を拝し、戦後は1946年,1967年,1975年,1986年にリーグ優勝したものの、ワールドシリーズではいずれも第7戦で敗れて敗退を繰り返した。しかし、21世紀に入ってからは計4度のリーグ優勝・ワールドシリーズ制覇を果たすなど、宿敵ヤンキースを凌ぐ実績を挙げている。
ユニフォームカラーは紺・赤で、ロゴデザインは赤い靴下1足である。本拠地のフェンウェイ・パークは現在メジャーリーグ球団の本拠地球場では最も古い歴史を持つ。市街地の中心に建設されたため、球場自体はそれほど広くなく観客席も少ない。そのためレッドソックスの人気と相まってチケットは入手困難な状況が続いており、特に対ヤンキース戦といった人気カードではプラチナチケットと化す。
2003年5月15日から2013年4月10日まで、フェンウェイ・パークでは820試合連続チケット完売を記録した。
全米一熱狂的なファンを持つといわれ、同じアメリカンリーグ東地区の所属のヤンキースとは深い因縁がある。ベーブ・ルースの移籍以来、盟主として君臨するヤンキースに対して「バンビーノの呪い」とともにレッドソックスファンは強い敵愾心を持っている。またヤンキースとの対戦は伝統の一戦でもある。
ヤンキースとレッドソックス[編集]
レッドソックスとヤンキースは長年のライバル関係にあり、数々の名勝負が繰り広げられてきた。このカードは伝統の一戦と呼ばれる事もある。
- 1904年、アメリカンズ(当時のレッドソックスの名称)とハイランダーズ(当時のヤンキースの名称)によるシーズン最終戦で、ハイランダーズのジャック・チェスブロ投手がサヨナラ暴投し、アメリカンズがリーグ連覇を成し遂げた。
- 1949年のシーズン最終戦でヤンキースと同率首位決戦を行った末、ヤンキースに敗退しリーグ優勝を奪われた。ヤンキースはその後ドジャースを下し、ワールドチャンピオンに輝いている。
- 1978年、レッドソックスが首位を独走していたが、2位ヤンキースが終盤に猛追。最終的に同率首位となり、1ゲームプレーオフを実施。試合はバッキー・デントの本塁打によってヤンキースが逆転勝利し、ヤンキースが優勝。最大14ゲーム差をひっくり返されることとなった。
- 2003年、地区優勝争いでヤンキースに敗れたが、ワイルドカードでプレーオフに進出した。しかし、アメリカンリーグ優勝決定戦で、またしてもヤンキースに激戦の末敗退した。
- 2004年も、前年同様に地区優勝争いでヤンキースに敗れ、ワイルドカードでプレーオフに進出した。リーグ優勝決定戦で、ヤンキースに3連敗しながら4連勝する大激戦を演じてリーグ優勝を決めた。その後、ワールドシリーズでもセントルイス・カージナルスに圧倒的な勢いで4連勝し、1918年以来86年ぶりのワールドシリーズ優勝を果たした。
- 2005年シーズン開幕戦、ヤンキースタジアムで「バンビーノの呪いは解けたのではなく、86年に一度しか優勝できなくなるものだ」と皮肉り、ヤンキースファンによって“2004+86=2090”(次の優勝は2090年以後だ)と書かれたプラカードが見受けられた。しかし3年後の2007年にナ・リーグ優勝チームのコロラド・ロッキーズと対戦し、4連勝でワールドシリーズを制覇したことから、「バンビーノの呪い」が完全にとかれた事を証明する形となった。対するボストンはヤンキースが球界最高年俸のアレックス・ロドリゲスを擁してワールドシリーズを全く制覇できないことから「Aロッドの呪い」として揶揄したが2009年にヤンキースがワールドチャンピオンになり、ロドリゲス自身も大活躍した。
どちらのチームもMLB屈指の人気を誇り、贅潤な資金で数々のスター選手を揃える。2007年シーズンのヤンキースとレッドソックスの年俸総額はそれぞれ2億770万ドルと1億6310万ドルで、MLB1位と2位である。コミッショナーに収めるぜいたく税(課徴金)はヤンキースが2388万ドル、レッドソックスが606万ドルにのぼる。
日本ではヤンキースが最も人気のあるチームと報道されることが多い。確かに観客動員数ではヤンキースが上回っているが、それはヤンキースの本拠地ヤンキー・スタジアムの収容人数57,545人に対して、レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークは38,805人しか収容できないためである(客席を増やすための改築が現在進行中)。フェンウェイ・パークは入場券の平均価格が2006年春現在、46.46ドル(約5,500円)と9年連続30球団最高であるにもかかわらず456試合連続満員札止め状態(2008年9月8日時点、2003年5月15日から完売が続いている)が続き、またビジターゲームでの観客動員はレッドソックスが1位である。そのため、アメリカではMLBで最も人気のある球団はレッドソックスだといわれている。ファンは全米一熱狂的といわれ、2004年のワールドシリーズでは、女子学生が死亡するという事態にまで発展した。
ベーブ・ルースの移籍以来、両チーム間の選手の移籍は禁忌とされ、特にレッドソックスからヤンキースへの移籍はファンから激しい非難を受ける。近年ではジョニー・デイモンがヤンキースに移籍した際に、フェンウェイ・パークで激しいブーイングを浴びた(他にはウェイド・ボッグス、ブルージェイズを経由したロジャー・クレメンス、ジャコビー・エルズベリーなど)。また、両チームとも資金豊富なことから、選手の争奪戦も激しいものがある。「悪の帝国」発言の発端となったホセ・コントレラスや松坂大輔のように、毎年選手の争奪戦が繰り広げられる。
レッドソックスからヤンキースに移籍した主な選手[編集]
- カール・メイズ
- ベーブ・ルース
- ウェイド・ボッグス
- ラミロ・メンドーサ
- アラン・エンブリー
- マーク・ベルホーン
- ジョニー・デイモン
- ケビン・キャッシュ
- グスタボ・モリーナ
- ジャスティン・トーマス
- アルフレド・アセベス
- ダーネル・マクドナルド
- ジャコビー・エルズベリー
- マット・ソーントン
- スティーブン・ドリュー
- トミー・レイン
- ルイス・ティアント
- ボブ・ワトソン
- ウェイト・ホイト
- ハーブ・ペノック
- レッド・ラフィング
- スパーキー・ライル
- アレックス・ベルドゥーゴ (トレード)