ボウリング
ボウリング(英: bowling)は、スポーツ競技のひとつ。さまざまな種類のボウリングがあるが、日本において単に「ボウリング」と言った場合、そのほとんどはテンピンボウリング(英: ten-pin bowling)のみを指すため、本項ではテンピンボウリングに限定して述べる。漢訳語「」と記述されることもある。
テンピンボウリングは、ワールドゲームズ実施競技、アジア競技大会、国民体育大会の正式競技種目にもなっている。
日本語での表記法については、文化庁の国語施策における「外来語の表記」で、「長音符号の代わりに母音字を添えて書く慣用もある」として、その例に「ボウリング」を挙げている。「ボーリング」と表記した場合、掘削工事を指すことがあるので注意が必要。
概要[編集]
レーン上にピンと呼ばれる的が10本、手前に頂点が向く正三角形に整列され並べられ、プレイヤーはピンを狙ってボール(英: bowling ball)を転がし、倒したピンの数の合計を競う。
基本は一人で競技し、対戦はコンペティティブ・ペーシェンスとしてスコアの比較で行う。
1ゲームは10フレームから構成される。通常、ボウリングを行うための施設であるボウリング場で行う。ボウリング場は複数のレーンと、ピンを自動配置するピンセッター(英語版)や、ボールが自動返送されるボールリターンなどを備えている。また競技用ボールや靴などは貸し出しが行われており、手ぶらで楽しめるスポーツである。
名称[編集]
「ボウリングをすること」などを意味する「bowl」という英語は、ラテン語で「泡」や「瘤」を意味する「bulla」に由来する。一方、同じ綴りで食器や容器(ボウル)を意味する「bowl」や「球」を意味する「ball」は、ゲルマン語に由来し、本質的に異なる。
歴史[編集]
もともとボウリングは倒すピンを災いや悪魔に見立てて、それを沢山倒すことが出来たならば、その災いなどから逃れることが出来るという一種の宗教儀式であった。その歴史は古く、紀元前5000年頃には古代エジプトにおいて、木でできたボールとピンが墓から発掘されたことから、その頃からもボウリングに似たようなものがあったとされている。
しかし倒すピンの数やそれに応じた並べ方も場所や地域によってさまざまであった。それを中世ドイツの宗教革命家として知られるマルティン・ルターが、倒すピンを9本にし、並べ方もひし形にして、ボウリングの基本的なルールを統一したとされ、これが近代ボウリングのルールの原型になっていったと考えられている。9本という決められた数のピンを倒すという行為から、やがて「ナインピンズ・ボウリング(en:Nine-pin bowling)」(九柱戯)という一つのスポーツが派生し、宗教家の間では人気のあるスポーツとして栄えた。九柱戯はいまだにヨーロッパでは比較的メジャーな競技で、愛好者も多い。
17世紀になるとオランダ人が移住したことで、アメリカでもボウリングが盛んになった。しかしナインピン・ボウリングは賭け事に利用されたため1840年代に禁止される。そこで1本ピンを追加して三角形に並べ、ナインピンを禁じる法律を回避したテンピン・ボウリングが誕生することとなった。1895年にはアメリカ・ボウリング協会(American Bowling Congress)が発足される。1950年代初めに全自動式ピンスポッター(ピンを自動で並べる機械)の設置が始まることで急速に普及し、1952年には国際的な統括機関である国際柱技者連盟(Fédération Internationale des Quilleurs, 略称FIQ)が設立された。