フランス語
フランス語(フランスご、フランス語表記:français 発音: フランセ)は、インド・ヨーロッパ語族のイタリック語派に属する言語。ロマンス諸語の一つで、ラテン語の口語(俗ラテン語)から変化したフランス北部のオイル語(または古フランス語、langue d'oïl)が母体と言われている。日本語では、仏蘭西語、略して仏語(ふつご)とも書く。
フランス語という呼び方は、多くの言語(オック語、アルピタン語など)が存在するフランスにおいて誤解を招く可能性もあるので、単にオイル語と呼んでフランスの他の言語と区別することもある。
世界で英語(約80の国・地域)に次ぐ2番目に多くの国・地域で使用されている言語であり、フランス、スイス、ベルギー、カナダのほか、かつてフランスやベルギーの領域だった諸国を中心に29ヶ国で公用語になっている(フランス語圏を参照)。全世界で1億2300万人が主要言語として使用し、総話者数は2億人以上である。国際連合、欧州連合などの公用語の一つにも選ばれている。このフランス語の話者を、フランコフォン(francophone、英語版)と言う。
音声[編集]
子音[編集]
両唇 | 唇歯 | 歯音 | 歯茎 | 後部歯茎 | 硬口蓋 | 両唇硬口蓋 | 軟口蓋 | 両唇軟口蓋 | 口蓋垂 | |
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閉鎖音 | p b | t d | k g | |||||||
鼻音 | m | n | ɲ | |||||||
摩擦音 | f v | s z | ʃ ʒ | ʁ | ||||||
接近音 | j | ɥ | w | |||||||
側面接近音 | l |
記号が二つ並んでいるものは、右が有声音、左が無声音。
母音[編集]
前舌 | 中舌 | 後舌 | |
---|---|---|---|
狭 | i y | u | |
半狭 | e ø | o | |
中央 | ə | ||
半広 | ɛ œ | ɔ | |
広 | a | ɑ |
記号が二つ並んでいるものは、右が円唇、左が非円唇。
鼻母音[編集]
- /ɛ̃/: in, im, ain, aim, ein, eim - 「エ」の鼻母音だが、実際は「アン」に近い。
- /œ̃/(パリなどでは /ɛ̃/ に合流): un, um
- /ɑ̃/(やや円唇): an, am, en, em - 暗い「ア」の鼻母音で、「オン」に近い。
- /ɔ̃/ または /õ/: on, om
鼻母音四つを含んだ句の例として « un bon vin blanc » /œ̃ bɔ̃ vɛ̃ blɑ̃/(おいしい白ワイン)が有名である。
半母音[編集]
- w:有声両唇軟口蓋接近音
- ɥ:有声両唇硬口蓋接近音
- j:硬口蓋接近音
綴りと発音[編集]
フランス語において基本的にc, r, f, lを除く語尾の子音(一部例外あり)と母音のeは発音されない。フランス語の表記は初学者には複雑に感じられるが、規則性は比較的高い。英語や日本語のローマ字表記とはかなり異なるため、フランス語を知らなければ正しく読むことはできないが、規則を覚えれば容易に発音できる。たとえば eau は常に /o/ と発音する。しかし monsieur(ムッシュ)は /mɔ̃.sjœʁ/ ではなく /mə.sjø/ であり、femme(女性、妻)は /fem/ ではなく /fam/ であるなど、イタリア語やスペイン語などほかのロマンス諸語に比べると例外が多い。faitやplusなど文脈によって発音が変わる単語もある。 また、in, im, yn, ym, ain, aim, ein, eim がすべて /ɛ̃/ になるなど、しばしば異なる綴りが同じ発音を示すため、同音異字語が多い。たとえば vin(ワイン)と vingt(20)はともに /vɛ̃/ であり、また形容詞 bleu (青、男性形単数) とその変化形の bleus(男性形複数)、bleue(女性形単数)、bleues(女性形複数)はすべて /blø/ である。このため、発音を聞いて書き分けるのは比較的難しい。ネイティブでさえも正しく書けない人がいるほどで、フランスでは問題視されている。そういった難しさもあり、日本で行われている実用フランス語技能検定試験(DAPF)の準2級以降の級では書き取り試験が行われ、CDで流れる文章を、文脈をしっかりと把握した上で、動詞の活用はもとより性と数の一致に気をつけながら、正しく書く能力が試される。書き取り試験ではあるが文法知識も試され、実際のところこの書き取り問題で点を落とす受験者が非常に多いことから、いかにフランス語を正しく書くのが難しいかがうかがえる。
アルファベ[編集]
アルファベットのことを、フランス語ではアルファベ(alphabet)と言う。