フランス式和音記号

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フランス式和音記号とは、フランス語圏、スペイン語圏、日本で一般的に使用される和音記号の体系である。

概略[編集]

マルセル・ビッチュがPrecis d'Harmonie Tonaleによって完成させた記号体系である。ビッチュはPrecis d'Harmonie Tonaleで、初めて和声の定義から始めた。

そもそも和声法はジャン・フィリップ・ラモーによって創始された。根音、第三音、第五音を転回させることで理論が構築される。しかし、これはイタリアやドイツやイギリスの理論とも別個のもので、18世紀は意見の一致をみることはなかった。バッハとテレマンは数字付き低音の教則本を執筆していたが、両者ともラモーの体系では作曲していなかった。

フランス式和音記号が大きく19世紀の主流を担うようになったのは、ナポレオン・アンリ・ルベルの功績が大きい。ルベルはフランスの和声課題を「大譜表への伴奏」から、「ソプラノ、アルト、テナー、バス記号による三、四、または五声体実施[1]」へ変えた。これに伴い、フランスは、ルベル、フランソワ・バザン、オーガスティン・サヴァール、エミール・デュラン、テオドール・デュボワほかによって分厚い教則本が執筆され続けることになった。デュボワとビッチュはヴィルヘルム・マーラーと同じく、和音記号の一覧表を例示[2][3]しているが、数字付き低音との対照表は存在しない。

代が下ると、三声体と五声体の実施は副次的で、もっぱら四声体の実施によって行われるようになった。ビッチュの著書では三声体は省略されて、ソプラノ、アルト、テナー、バス記号すら廃止されて、ページ数すら削減された。例外的な9, 11あるいは13の和音以外五声体は出現しない。

特徴[編集]

シャープやフラットを用いる点は数字付き低音と大差ないが、スラッシュやプラスといった記号により記譜が簡便である。ドミナントの滞積すらドイツほかの和音記号のように複雑に記譜する必要がない。数字付き低音では+の位置は右側[4]だが、フランス式和音記号では+の位置は左側[5]である。

他国の受容[編集]

平尾貴四男や池内友次郎といったフランス派と呼ばれる一連の帰国組がデュボワやダンディらの著書を翻訳することによって、日本では大学入試の試験問題としてすでに半世紀以上の出題がなされており、フランス式和音記号は音楽大学の入試に欠かせないものとなっている。ただし、池内友次郎は著書内で、フランス式和音記号を曲げた独自の記号を用いている。現在の東京芸術大学はフランス式和音記号と数字付き低音が教えられているが、ドイツ式和音記号はいかなる日本の大学においても入試問題に出題されていない。アメリカではStefan Kostkaほかによって、フランス式和音記号と数字付き低音を参照した独自のアメリカ式和音記号が提唱されている。

脚注[編集]

  1. Harmonie, p.250, Colombier, 第四版
  2. Traité d'harmonie théorique et pratique, p.226, Heugel
  3. Precis d'Harmonie Tonale, p.72, Leduc
  4. Hermann Grabner - Generalbassübungen, p.33, Kistner und Siegel
  5. Marcel Bitsch - Precis d'Harmonie Tonale, p.72, Leduc

参考文献[編集]

  • 林達也 - 新しい和声, アルテスパブリッシング
  • Theodore Dubois - Traité d'harmonie théorique et pratique, Heugel
  • Marcel Bitsch - Precis d'Harmonie Tonale, Leduc
  • Henri Reber - Harmonie, Colombier

関連項目[編集]


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