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バナナ

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バナナ(英: Banana、学名 Musa spp.)は、バショウ科バショウ属のうち、果実を食用とする品種群の総称である。また、その果実のこと。別名、甘蕉(かんしょう)、実芭蕉(みばしょう)ともよばれる。東南アジア原産で、いくつかの原種から育種された多年性植物。熱帯~亜熱帯の地域で栽培されるトロピカルフルーツ。種によっては熟すまでは毒を持つものもある。

日本では古くは芭蕉と呼ばれた。葉の繊維を主に利用するイトバショウは同属異種。食用果実として非常に重要で、2009年の全世界での年間生産量は生食用バナナが9581万トン、料理用バナナが3581万トンで、総計では1億3262万トンにのぼる。アジアやラテンアメリカの熱帯域で大規模に栽培されているほか、東アフリカや中央アフリカでは主食として小規模ながら広く栽培が行われている。また、花を料理に使う地域もあり、葉は皿代わりにしたり、包んで蒸すための材料にしたりするほか、屋根の材料などとしても利用される。

植物学上の特徴[編集]

「バナナの木」と言われるように、高さ数mになるが、実際には草本であり、その意味では園芸学上果物ではなく野菜(果菜。詳しくは野菜#定義)に分類される。その高く伸びた茎のような部分は偽茎(仮茎)と呼ばれ、実際には、葉鞘が幾重にも重なりあっているものであり、いわばタマネギの球根を引き延ばしたようなものである。茎は地下にあって短く横に這う。茎のような先端からは、長楕円形の葉(葉身)が大きく伸びる。

花(花序)は偽茎の先端から出て、下に向かってぶら下がる。花序は1本の果軸に複数の果房(果段)がつき、各果房には10本から20本程度の果指から成っている。大きな花弁に見えるのは苞葉で、果指の部分が本当のバナナの花である。果指一つ一つが一本のバナナに成長し果房がバナナの房となる。なお、開花は一本の偽茎につき一回のみで開花後は株元から吸芽を出して枯れてしまう。

果実[編集]

最初は下へ向けて成長するが、後に上へ向けて成長することから湾曲した形となる。

果皮の色は品種によって異なり、一般的に知られるものは緑色から黄色であるが、桃色から紫まで多様である。成熟するにつれてエチレンガスにより緑の色素であるクロロフィルが分解されることで黄色の色素のカロテノイドが残る形で変色が進み、クロロフィル分解物は紫外線を照射すると青色の蛍光を発する。ポリフェノールが酸化をすることで皮が茶色に変化するブラウニング(英語版)が起き、皮の表面に浮かぶ黒い斑点状の「スウィートスポット (Sweet spot)」・「シュガースポット (Sugar spot)」と呼ばれる熟成のバロメータが見られるようになる。

バナナに含まれるアミラーゼは70度付近の加熱や追熟により活性化し、でんぷんが果糖などの糖類に変化してゆく。

キャベンディッシュ種などの食用バナナは三倍体であるため種子を作らない。吸芽の株分けなどで繁殖する。

語源[編集]

バナナの語源として一般的なものはウォロフ語のバナンナ (banaana) であるが、指を意味するアラビア語の بَنَانَة(banāna もしくは banānah, バナーナ, 「(1つの)指先;指(1本)) とする説もある。 なお、スペイン語ではplátanoともいう。「プラタナス」(platanus)と同語源だが、品種は全く異なる。「プラタナス」の語源は、ギリシャ語の πλατύς(広い)であり、大きな葉が二者の共通点である。

歴史[編集]

原産地は東南アジアで、マレー半島から熱帯地方の各地に伝わったとされる。バナナの栽培の歴史はパプアニューギニアから始まったと考えられている。日本へは台湾から渡ったといわれている。

主食として[編集]

パプア・ニューギニア高地のワギ渓谷にあるクック遺跡での発掘によって、オーストロネシア人の到来以前の完新世前期にオーストラリムサ(Australimusa)というニューギニア在来種が人の手によって栽培されていたいくつかの証拠が見つかっている。 東南アジアからニューギニアにかけての地域で栽培化されたバナナは、マレー・ポリネシア系民族が太平洋の島々に移住していくに連れて、それらの島々にも広がっていった。

また、西のインドにも栽培化から日を置かず伝播していった。このため、東南アジアからインドにかけての地域においては現在の主要品種以外にも多くの種類のバナナが存在している。東南アジアにおいては、より安定し貯蔵性にも優れたうえ収穫量も高いイネという植物が出現したため、原産地であるにもかかわらずバナナの重要性は限定的なものとなった。一方、伝播した先のオセアニアやアフリカにおいてはバナナをしのぐ栽培植物が出現しなかったため主要な食糧のひとつとなり、非常に重要な地位を占めることとなった。

ダン・コッペル著『バナナの世界史』 によると、古代のインド以西の中東地域において、バナナはイチジクと呼ばれていた。マケドニア人のアレクサンドロス3世はインド遠征でバナナを見た時、これをイチジクと記したとされる。また、アラビア語で書かれた『コーラン』(イスラム教の聖典)に出てくる楽園の禁断の果実「talh」はバナナと考えられており、ヘブライ語『聖書』では禁断の果実は「エバのイチジク」と書かれているとされる。このことから、実は『創世記』に出てくる知恵の樹の実は、通説のイチジクではなくバナナであったとする仮説がある。なお知恵の樹の実をリンゴとする俗説はこれより後世の誤訳に由来する。確かなことは、リンゴは寒冷な中央アジア原産とされ、エデンの園があったとされるペルシャ湾岸では育たないということである。

一方、西のアフリカ大陸にも、マレー系民族の移住したマダガスカルやアフリカ大陸東岸から紀元前後にバナナが伝播した。バナナは熱帯雨林でも栽培ができ、それまでの主作物であったヤムイモに比べて手間もかからず収量も多いため、コンゴ盆地や西アフリカの熱帯雨林地域に急速に広がっていった。コンゴ盆地には5世紀に到達し、これによって熱帯雨林に農耕民が展開することが可能になり、さらに余剰を生み出すことで人口が増加し、交易や文化が発達していった。

大航海時代、アメリカ大陸がヨーロッパ人により"発見"されて移民が始まると、1516年にスペイン領カナリア諸島からカリブ海のイスパニョーラ島にバナナが導入された。奴隷貿易によってアメリカに移住させられた奴隷の故郷はバナナ生産地域であり、彼らによってバナナはカリブ海や中南米の熱帯地域へと広まった。

大量生産の時代[編集]

ここまでの伝播は主食用の用途を主目的としており、ハイランド・バナナやプランテン・バナナの伝播の歴史であって、果物バナナはそれに付随して伝播していった。これが大きく変わるのは、19世紀の後半にアメリカ合衆国の資本が果物バナナの大規模なプランテーション栽培に乗り出してからである。マイナー・キースの創立したユナイテッド・フルーツ社が1874年にコスタリカに農園を作ったのを皮切りに、大企業が中南米へと進出し、広大な未耕地を開発して大農園を作り上げた。鉄道や船などの輸送手段の改善によってバナナをアメリカの消費者へと送り届けることが可能になり、バナナはホンジュラスやコスタリカ、グアテマラなどの中米の小国において主要輸出品目となるまでになった。20世紀に入るとさらに生産は拡大し、フィリピンなどにおいても商業生産が拡大していった。この生産の急拡大と輸送手段の改善によってバナナは安価な果物として先進諸国において急速に広がっていった。一方で、バナナ会社は寡占化が進み、最大手だったユナイテッド・フルーツ社はバナナ・プランテーション以外にめだった産業のない中南米の小国群を意のままに支配するようになり、こうした国家を指すバナナ共和国という政治用語が生まれるまでになった。

一方で、アフリカのバナナ主食地帯には17世紀に南アメリカからキャッサバが伝来し、バナナよりもさらに手間がかからず多収量であるため、またたくまにバナナ栽培地域へと広まった。これによってかなりの地域で主食がバナナからキャッサバへと移行したものの、バナナを嗜好しバナナを主食作物として作り続ける民族もいまだ数多く存在し、料理用バナナは依然この地域の基幹作物の一つとなっている。

生産[編集]

バナナは熱帯域を中心に世界の広い範囲で栽培されている。国際連合食糧農業機関 (FAO) の統計によると、2016年の時点で果物バナナ(FAO統計ではBananasと表示)の全世界での年間生産量は1億1328万トンである。また、右図には表示されていないが料理用バナナ(FAO統計ではPlantainsと表示)の同年の全世界年間生産量は3506万トンである。この二種のバナナを合わせた全体の生産高は、2016年で1億4834万トンとなる。

生食用バナナは、多くが大規模なプランテーションで栽培されている。生産量ではインドが28%を占める、そのほとんどはインド国内で消費され、輸出量ではラテンアメリカ諸国が8割を占める。これは、ラテンアメリカ(中南米)諸国およびフィリピンにおいてはバナナが当初から輸出産業として開発されたのに対し、インドやアフリカなどではまず自給用や国内消費用に生産の主眼が置かれているからである。主な輸入国はアメリカ合衆国で、1998年から2000年の統計では世界の全輸入量の33%を占めていた。ついで欧州共同体(EC、EUの前身)が27%、日本8%となっている。

料理用バナナも東アフリカや中央アフリカでは主食とされる重要な作物であり、世界のバナナ生産量のほぼ4分の1を占める。生産量としてはウガンダが飛び抜けて多く、2009年には951万トンと料理用バナナ生産量の4分の1を占める。ついでガーナ(356万トン)、コロンビア(301万トン)、ルワンダ、ナイジェリア、カメルーン、ペルー、コートジボワール、コンゴ民主共和国の順となり、以上の国家が100万トン以上を生産する。料理用と生食用を合わせて考えた場合、ウガンダのバナナ生産量はフィリピンを抜いて世界第2位となる。

料理用バナナは大規模プランテーションで生産されることはなく、小規模自営農が自らの消費分や近隣市場への出荷分を生産する。また、バナナの木は早く大きくなるため、陰樹で成長の遅いカカオなどと組み合わせると被覆植物としての役目も果たす。これを利用し、ガーナでは新しく拓いた農地にまず主食用のプランテンバナナやヤムイモを植えて食料を確保し、その後にカカオの樹を植えて現金収入を確保するというやり方で生産を拡大し、ガーナは1911年にはカカオの世界最大の生産国となった。

デンプン含有量は、昼夜の寒暖の差が大きい地域で生産されたバナナの方が多くなる。

流通と保存[編集]

日本では、チチュウカイミバエなどの害虫の侵入を防ぐため、植物防疫法の定めにより熟した状態では輸入できない。このため、輸入するバナナはまだ青い緑熟のうちに収穫して、定温輸送船などで日本に運ばれる。植物防疫法、食品衛生法等の諸手続きを経て輸入通関後、バナナ加工業者の所有する加工室内でエチレンガスと温度、湿度調整によりバナナの熟成を促す(追熟という)。 日本では、他国より輸入されるバナナへのポストハーベスト農薬として、チアベンダゾール(TBZ)およびエニルコナゾール(イマザリル)の使用が許可されているが、使用した場合は表示の義務がある。

黄熟バナナ保存の最適温度は 15 °C 前後(緑熟バナナは 13.5 °C 前後)であり、一時的にでも 13 °C 以下に置かれてしまうと熟成がうまく進まなくなるほか、低温障害をおこし皮が変色する。しかしながら家庭で長期保存するには、購入した時点で熟成が進んでいることが多いため冷蔵庫保管が有利。家庭で熟した果実を保存するときは、1本ずつばらしてポリ袋に入れて冷蔵保存するようにするとよいが、冷やしすぎると痛むことがある。皮を剥いて冷凍で長期保存もできる。完熟したバナナは冷凍しても凍らず包丁で切ることができる。また、接触により傷みやすいため、未熟のときは一般に行われている小売店での陳列とは逆の山型の方を上にして(伏せるようにして)常温で置くか、吊るして保存する。

バナナやオレンジなどの輸入果実を卸売市場で取引するときの単位は「カートン」であり、バナナの場合は1カートンが13kg(日本国内)である。同じバナナでも、欧米では1カートンが18kgである。

生の黄色い若いバナナを35度のお湯に5分間浸けて置いてから引き上げ、余熱を持ったまま数時間放置すると、その間にバナナ中の酵素であるアミラーゼの働きが活発になり、デンプンが分解され、糖度が格段に上がる。またお湯に浸けることで、バナナ中に抗ストレス物質が生成され、常温で2週間は黒く変色せず、保存性が格段に高まる。

日本におけるバナナ[編集]

歴史[編集]

日清戦争の9年後の1903年に、日本統治下に置かれた台湾から神戸港に向けて、7カゴのバナナを移入したのがバナナ輸入の始まりと言われている。当時は一般人が入手出来ない高価な希少品であった。第二次世界大戦中は輸入が途絶えるなどして、戦後には再開されたが、不急不要品としてGHQにより輸入制限が課せられていた。このため、希少品であることに変わりはなく、価格は4 - 5本につきサラリーマンの平均給与の2.5%程度(平均月収30万円ならば7500円)であった。

1963年にバナナ輸入が自由化され、フィリピン産バナナが台頭するなどにより安価な普及品へと変化した。

1972年より住商フルーツ(現スミフル)がいち早く、高地農園で高糖度バナナの栽培を開始。その後、2003年前後から、標高500m以上の農園で通常より長い生育期間(約4ヶ月)を経て栽培した食味の良いバナナがスーパーマーケットなどに定着するようになり、ブランド化が進んだ。主なものに「甘熟王(かんじゅくおう)」や「スウィーティオ」がある。逆に、日用品としてのコストパフォーマンス向上のため、各小売店で安さを重視したバナナがプライベートブランドとして発売されるようにもなった。バナナは最も入手し易い果物の1つとなった。

輸入と生産[編集]

平成22年度においては、日本のバナナ輸入の94.7%はフィリピンからのものであり、ほぼ独占状態にあった。ついでエクアドルからが3.6%、ほかに台湾やペルーなどからもわずかに輸入がある。その後はエクアドル産がシェアを伸ばしており、2017年の総輸入量98万6000トンのうち、フィリピンからが79万1000トンと最多を維持しているものの、エクアドルからも14万7000トンが輸入された。メキシコ産やグアテマラ産なども日本へ入ってきている(財務省『貿易統計』)。

2023年、栃木県真岡市で国内では珍しい品種「サンジャク」系の苗でバナナの栽培に成功し「とちおとこ」の商品名で出荷が開始された。

  • タイでは、「簡単なこと」や「ありふれたこと」を意味する言葉として「クルアイ・クルアイ」(「กล้วยๆ」「kluay kluay」。「バナナ・バナナ」の意)という言い回しがあり、バナナが日常に根ざしていることがうかがえる。ウガンダでは「食べ物」と「バナナ」を示す言葉が同じ「マトケ」 であり、日本語の「ごはん」と「米飯」が同じであることと似ている。
  • バナナは黄色い皮をむけば中身は白いので、「黄色人種なのに中身は白人のつもり」という白人に迎合的、「外見はアジア人だが言葉や文化、思想などは欧米的」を意味するスラングとしても使われる。また該当する人物が半ば自虐的に使うこともある。 「白人コンプレックス」も参照
  • 一次産品に依存した発展途上国の蔑称として「バナナ共和国 (Banana Repubic)」がある。元々はアメリカ合衆国の干渉を受けたホンジュラスを指していた。
  • 謡曲の三番目物で『芭蕉』がある。金春禅竹の作品で、芭蕉の精が中国の楚の僧の前に現れ、世の無常と芭蕉にまつわる故事を語り、舞をまう。
  • 猿の好物としてのイメージが強い。このため人種差別に使われることがある(後述)。実際のサル目動物はバナナに限らず様々な果実類・穀物・昆虫などを食べる。
  • 俳句では夏の季語(例「川を見るバナナの皮は手より落ち(高浜虚子)」)。
  • 曲がっている事を例えてバナナを用いる。バナナシュートはサッカー等の球技でカーブシュートを指す。チキータと言う卓球の打法はボールがチキータ・ブランズ・インターナショナルのチキータバナナのように曲がることから名付けられた。

皮で滑る表現[編集]

バナナの皮は食べられないため、食用としては捨てられる部位である。そのため、路上に遺棄された皮を踏んだ人が滑って転ぶ古典的なギャグとしての利用が世界的に知られている。バナナの可食部に面する果皮の内側は多量の植物油を含んでいるため、「潤滑効果」と呼ばれる現象が発現し、摩擦係数が低減するため滑りやすくなる。この現象はワックスを塗った床が滑りやすくなるのと同じ原理である。

こうしたギャグは、さまざまなメディアに描かれた表現を検証する書籍としてまとめられるほどの歴史と多様性を持っている(『バナナの皮はなぜすべるのか?』(黒木夏美著、2010年、水声社、ISBN 978-4891767778))。

ギャグとして知られる一方で、摩擦係数の低減についての学術研究は長らく行われず、これを行った生体摩擦学者の馬渕清資らは2014年にイグノーベル賞を受賞している。

バナナの皮を踏んだ人が滑る表現の起源は定かではないが、出版物においては19世紀にオレンジの皮で滑る表現が存在し、1900年前後には、オレンジの皮・バナナの皮がそれぞれ別の曲で、歌の題材としても用いられた。芸として確立させたのはヴォードヴィリアンのビリー・ワトソン(別名:ウィリアム・シャピロ、1876 - 1939)であり、1900年代初頭に舞台で持ちネタとして披露したことで名声を博し、「“スライディング”・ビリー・ワトソン」の異名を取った。

同様に、最初に登場した映画作品は不明だが、1908年には英国の映画『Banana Skins』(フランク・モーターショウ(英語版)監督)で少年がバナナの皮で人々を滑らせる様子が描かれた。1910年代初めには既に定番の表現であったとされている。その後、マック・セネット『A Healthy Neighborhood』(1913年)や、チャーリー・チャップリン『チャップリンのお仕事』(1915年)や『アルコール先生海水浴の巻』(1915年)、『偽牧師』(1923年)、『サーカス』(1928年)、ハロルド・ロイド『ロイドの浮気者(英語版)』(1917年)、『ロイドの福の神(英語版)』(1926年)、バスター・キートン『キートンのカメラマン』(1928年)、ローレル&ハーディ『世紀の闘い(英語版)』(1927年)、さらに後年の『おかしなおかしなおかしな世界』(1963年)など、視覚的な分かりやすさから多くのコメディ映画に用いられた。ちなみにキートンは1921年の『キートンのハイ・サイン(英語版)』で、仕掛けに通行人が引っ掛からないという進化させた表現を用いている。

(演芸・映画におけるバナナの皮を使ったギャグの考察については、外部リンクの”The History Of Those Darn Banana Peels”も参照。)

文学では中島敦が『虎狩』で中学生の「私」が現在のソウル郊外で虎狩りを見物し、獲物を待つ間に食べたバナナで「妙案」を思いつき、「此のバナナの皮を下へ撒いておいて、虎を滑らしてやろう」と考える話が出てくる。

漫画では赤塚不二夫の『おそ松くん』の『クリーニング屋 まじめにやれよ』(曙出版「おそ松くん全集」第9巻所収、アニメでは第1作第8話『井矢見のクリーニング屋』)で、イヤミが六つ子をバナナの皮で滑らせようとするが六つ子は滑ったものの空中回転して無事着地し、イヤミ自身が滑って川に落ちてしまう、というギャグがある。

任天堂のレースゲーム「マリオカートシリーズ」においてはバナナの皮をコース上に設置して接触したプレイキャラクター(マシン)はスピンするトラップアイテムとして登場する。

バナナダイエットブーム[編集]

2006年頃から日本では「朝食にバナナを食べる」という「朝バナナダイエット」なる肥満解消法 がインターネット上やテレビで取り上げられた。2008年3月には同法の提案者とされる「はまち。」こと渡辺仁が書籍『朝バナナダイエット』をぶんか社から上梓。ブームの過熱ぶりにより、日本各地でバナナが一時期品薄状態になった。

作品[編集]

  • 美術
    • アンディ・ウォーホル - シルクスクリーンでバナナを描いた『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』のレコードジャケット
  • 映画
    • 『実芭蕉(バナナ)』2013年 - 村松英治監督、堀内暁子主演
  • 童謡
    • とんでったバナナ(水谷玲子 / 小鳩くるみ / 森みゆき / 坂田おさむ・神崎ゆう子他)
    • バナナのおやこ(林アキラ・森みゆき/ 坂田おさむ・神崎ゆう子 / 速水けんたろう・茂森あゆみ / 他)
  • みんなのうた
    • 元祖バナナの魂(山本コータロー)
    • バナナ スピリット(西岡恭蔵)
    • バナナ村に雨が降る(EPO)
    • バナナをたべるときのうた
  • 歌謡曲・ポップス
    • バナナ・ボート - バナナ生産国の労働歌。1956年にハリー・ベラフォンテが歌い大ヒットした。
    • バナナの涙(うしろゆびさされ組)
    • バナナチップス(少年ナイフ)
    • BA-NA-NA(中島みゆき)
    • バナナの皮 (ピチカート・ファイヴ)
    • 海辺のバナナ (遠藤ミチロウ)
    • Give That Wolf a Banana(英語版)
  • ロック
    • バナナズ(ディープ・パープルの17枚目のスタジオ・アルバム)
  • アニメソング
    • バナナダンス(いずみたくとそのファミリー)
    • バナナフリッターズ(声優ユニット)
  • ゲーム
    • Peely(Fortnite)
  • meme
    • Banana Song (I'm A banana)

人種差別行為[編集]

上述のようにバナナは猿の好物とされ、猿を連想させるものでもあるため、サッカーでは白人が黄色人・黒人選手を猿扱いする目的でバナナを競技場内に投げ入れることがあり、これが人種差別的行為とみなされる場合がある。主に欧米の試合などで見られるが、とりわけ1970年以降、欧州を中心にアフリカ生まれの黒人選手が増加したことに対し、バナナを投げ入れる差別行為が頻発した。

2014年4月27日にエル・マドリガルで行われたリーガ・エスパニョーラ第35節のビジャレアル対バルセロナ戦において、バルセロナのダニエウ・アウベス選手が投げ込まれたバナナを平然とその場で食べるという行為に賞賛が集まり、世界的な差別撲滅キャンペーンへと発達した。

日本では2014年8月に横浜F・マリノスのサポーターが試合中にバナナを振ったとして、無期限入場禁止やクラブに対する処分が下されている。この事件から日本でも関心が深まることになった。

生産・労働問題[編集]

先進国では低価格で販売され、手で皮を剥くだけで食べられる手軽さと、極めてクリーミーな食感が人気で、大量に消費されている。先進国で低価格で販売されて大量消費される裏側で、先進国向けに果物を供給する多国籍企業が熱帯の発展途上国にバナナのプランテーションを築いて現地の労働力を買い叩くだけでなく、作物の生産を海外向けのバナナの生産に転換させることで現地で消費する農作物が不足したり、バナナ生産の効率化のために農薬を空中散布して現地民に健康被害を齎しているため、現地の労働組合を中心に抗議活動が行われている状況にある。

日本向けバナナを生産しているミンダナオ島のプランテーションにおいて労働問題や農薬による健康被害などの問題が出ている。この問題を取り上げたドキュメンタリー映画『甘いバナナの苦い現実』も製作されている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 松尾芭蕉が俳名を「芭蕉」にしたのは門人の李下から芭蕉(バショウ)の株を贈られ、大いに茂ったことにちなむ。
  2. ^ Pocket Oxford Dictionaryによれば、plantainはa type of banana eaten as a vegetableとなっていて「野菜」。
  3. ^ 2011年秋頃より、キャベンディッシュ種に感染するパナマ病がフィリピンで発見されフィリピン主要紙上で数多く報道されている。
  4. ^ 巨大企業が手がけていて現地の人が食べないで輸出用に回る。
  5. ^ 類語:ココナッツ(白人に卑屈なヒスパニック)、アップル(白人に卑屈なアメリカ先住民)。
  6. ^ 脂肪分解酵素や果糖による代謝促進が肥満解消に効果があるとされている。
  7. ^ 発売後の1年半で関連本や文庫本も含めると120万部のベストセラーとなった。日本国外の5か国で翻訳出版される。(2009年11月11日の渋谷区立勤労福祉会館での著者による講演の告知より)
  8. ^ 書籍『朝バナナダイエット』の韓国語訳版はソウルの大手書店で部門別売り上げ一位になるほどの人気となっているほか、台湾でも繁体字版が出版されている。
  9. ^ 日本のテレビ番組では、2008年6月5日放送の『おもいッきりイイ!!テレビ』で取り上げられて以後、何度か紹介された。さらに同年9月19日放送の『ドリーム・プレス社』で森公美子が減量に成功したとの事で反響を呼んだ。

出典[編集]

  1. ^ [bəˈnænə, bəˈnɑːnə]。
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