ハノーファー
ハノーファー (ドイツ語: Hannover, ドイツ語発音: [haˈnoːfɐ] )は、ドイツ連邦共和国ニーダーザクセン州の州都で、ハノーファー広域連合に属している。北ドイツ低地の南端でライネ川とイーメ川(ドイツ語版、英語版)に面するこの街の原型となった村は1150年に初めて文献に記録され、1241年に都市権を得た。ハノーファーは1636年からヴェルフ家の宮殿所在地となり、1692年からブラウンシュヴァイク=リューネブルク選帝侯領の宮廷所在地、1814年からハノーファー王国の首都となった。1714年から1837年までグレートブリテンとハノーファーとの間で同君連合が成立したため、ハノーファーの領主は同時にグレートブリテンの王でもあった。ハノーファー王国がプロイセン王国に併合された後ハノーファーはハノーファー州(ドイツ語版、英語版)の州都となった。1946年8月にプロイセンが消滅すると州都の地位を失ったが、1946年11月にブラウンシュヴァイク自由州、オルデンブルク自由州、シャウムブルク=リッペ侯国が合併して以降、ハノーファーはニーダーザクセン州の州都となった。1875年以降グロースシュタット(ドイツ語版)(直訳: 大都市)となった。2022年9月30日現在の人口は人口55万3千人を超える。2021年時点ではドイツで13番目に大きな都市である。
ハノーファー市と旧ハノーファー郡は特殊な形式の自治体連合であるハノーファー広域連合を形成しており、これはハノーファー=ブラウンシュヴァイク=ゲッティンゲン=ヴォルフスブルク大都市圏(ドイツ語版、英語版)に含まれる。重要な鉄道路線がハノーファーで交差し、幹線道路が東西および南北にハノーファーを貫いており、中央駅、ZOB(中央バスステーション)、空港は、それぞれドイツのトップ10に入る規模である。また、多くの港を持つミッテルラント運河を介して内陸水上交通網にも接続している。13世紀から1620年ころまでハノーファーはハンザ都市の1つであり、2019年6月末に新ハンザ(ドイツ語版)に加盟した。ハノーファーはドイツの福音主義教会の本部所在地であり、改革派教会の世界共同体の本部所在でもある。
ハノーファーには15の単科大学と多くの図書館がある。ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ図書館に保管されているゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツの書簡やアラウンパヤー王の黄金の手紙(ドイツ語版、英語版)(1756年にコンバウン朝アラウンパヤーがイギリス王ジョージ2世に送った手紙)はUNESCOの「世界の記憶」に登録されている。ハノーファーは重要な学術研究および経済都市であり、地域を超えた重要なショッピングの街でもある。劇場、博物館、国際演劇フェスティバル、音楽フェスティバル、ダンスフェスティバルなど文化シーンも多彩である。ハノーファーは重要なスポーツ都市であり、2014年からはUNESCO音楽の街でもある。
都市景観は、多くの公共緑地、密度の高い野外芸術作品、多くの建築文化財に彩られている。北ドイツ・レンガゴシック建築(ドイツ語版、英語版)、ハノーファー建築派、レンガ表現主義建築、古典主義建築などの印象的な建築が存在する。ハーノーファー動物園(ドイツ語版、英語版)、マッシュ湖(ドイツ語版、英語版)、ヘレンハウゼン城(ドイツ語版、英語版)があるヘレンハウゼン王宮庭園が地域を超えて有名で、新市庁舎の湾曲したエレベーターは世界的に希少である。マルクト教会(ドイツ語版、英語版)にはハンス・ミヒャエル・エリアス・フォン・オーベントラウト(ドイツ語版、英語版)が埋葬されている。世界で2番目に大きなメッセ会場(ハノーファー国際見本市会場)があり、多くの国際見本市が開催されるハノーファーはヨーロッパの主要メッセ都市の1つに数えられる。毎年世界最大の射撃祭が開催され、1955年からは公式に「射撃都市」の称号を名乗っている。マッシュゼーフェストはドイツ最大のゼーフェスト(湖祭)である。
地理[編集]
位置[編集]
ハノーファーはニーダーザクセンの山地から北ドイツ低地への移行部、ライネ川の谷に位置している。街の中心部の座標は北緯52度22分28秒 東経09度44分19秒である。市の南西は肥沃な黄土質のヴェーザー山地(ドイツ語版、英語版)の張り出し部、北は砂地と泥炭湿地からなるゲースト地形(ドイツ語版、英語版)のブルクドルフ=パイナー・ゲーストおよびハノーフェルシャー・モーア=ゲーストが市の境界をなしている。
自然環境上、および交通地形上、ハノーファーは中世の村から大都市に発展する好適な条件を備えていた。中世にはライネ川の谷を通る重要な南北の交易路の徒渉池がここにあった。19世紀に鉄道がこのルートを通り、20世紀にミッテルラント運河が東西を結ぶと、ハノーファーはこれらの重要な交通路の結節点となった。同時に、道路交通においても連邦アウトバーンA2号線とA7号線とのジャンクションがハノーファーの近くに設けられた。
近隣の大都市には、ヒルデスハイム、ザルツギッター、ブラウンシュヴァイク、ヴォルフスブルク、ビーレフェルト、ゲッティンゲンがある。北海の海岸は、バルト海よりもややハノーファーに近い。
隣接する市町村[編集]
ハノーファー広域連合に属す以下の市町村がハノーファーと境を接している。ランゲンハーゲン、イーゼルンハーゲン、レールテ、ゼーンデ、ラーツェン、ヘンミンゲン、ロネンベルク、ゲールデン、ゼールツェ、ガルプセン。周辺は交通軸に沿った都市風の建築様式とそれ以外の田舎風の建築様式を特徴とする。ハノーファー都市圏には、2022年9月30日現在現在117万人が住んでいる。
市の構成[編集]
ハノーファーは51の市区からなる。2つから7つの市区ごとに都市管区にまとめられ、以下の13の都市管区がある。
- ミッテ
- ファーレンヴァルト=リスト
- ボートフェルト=ファーレンハイデ
- ブーフホルツ=クレーフェルト
- ミスブルク=アンデルテン
- キルヒローデ=ベーメローデ=ヴュルフェローデ
- ジュートシュタット=ブルト
- デーレン=ヴュルフェル
- リックリンゲン
- リンデン=リンマー
- アーレム=バーデンシュテット=ダーフェンシュテット
- ヘレンハウゼン=シュテッケン
- ノルト
約200 km2 の 11 % 以上が公共の緑地で、このためハノーファーは「緑の中の大都市」とも呼ばれる。中心近くの市有林アイレンリーデだけで 650 ha の広さがある。