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ニューヨーク証券取引所

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ニューヨーク証券取引所(ニューヨークしょうけんとりひきじょ、英語: New York Stock Exchange, NYSE)は、インターコンチネンタル取引所(ICE)傘下の、アメリカのニューヨークにある世界最大の証券取引所である。通称「ビッグ・ボード(Big Board)」。

組織[編集]

2005年4月20日、電子証券取引所を運営するアーキペラゴ・ホールディングス社(Archipelago Holdings Inc.、AX)の買収計画が発表され、証券取引委員会(SEC)がこれを承認したことを受け、NYSEは66億ドルを投じてAXを買収。手続を2006年3月7日に終了させた上で持株会社「NYSEグループ」を設立、翌3月8日にNYSEに株式を上場した。これによりNYSEは、213年間に及ぶ非営利会員組織としての歴史に幕を下ろし、NYSEグループ傘下の株式会社として再出発した。 2006年6月1日、証券取引所運営会社ユーロネクストとの合併を発表。2007年4月4日、監督官庁や株主の承認を経て、新会社NYSEユーロネクストが発足した。

2013年11月、ニューヨーク証券取引所の親会社であるNYSEユーロネクストをインターコンチネンタル取引所が買収した。

2017年10月、インターコンチネンタル取引所がロイヤル・バンク・オブ・スコットランドからユーロクリア株4%を買収しようと具体的な交渉を詰めていることが報じられた。ニューヨーク証券取引所を起源とするDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)は事実上の国際証券集中保管機関として稼動してきた。ユーロクリアへの資本参加を打診しているということは、DTCCの手に余る事態が生じているということである。NYSE Arcaで上場投資信託(ETF)のマーケットメイク制度が未完成なのである。2018年5月ドッド・フランク法の改正と「ボルカールール2.0」の採択が行われ、大銀行とその傘下のシャドー・バンキング・システムがマーケットメイク制度に参加しやすくなる。

ETFとアーカ[編集]

ETFマーケットメイクをめぐる問題は、ETFとアーカの歴史から説明される。パシフィック証券取引所(Pacific Exchange)は現物株式と上場オプション市場を運営していたが、1980年代から出来高のシェアを失った。そこでパシフィックはETFマーケットメイクの試験的運営を証券取引委員会に登録申請した。これは1997年9月に恒久的な制度として承認された。パシフィックは2007年7月、アーキペラゴに電子取引システムを提供させ、自らは自主規制機能を担うという提携を発表した。2005年1月、アーキペラゴ・ホールディングスがパシフィックを完全買収、上場オプションとETF込み現物株式のマーケットメイカーとなった。

2006年発足したNYSEユーロネクストは、2008年1月アメリカン証券取引所(アメックス)を買収した。アメックスはナスダックの発展にともない取引シェアを失っており、打開策として1993年1月にステート・ストリートのSPDRというETFを上場させ、他のETFに対しても上場を誘致していた。NYSEユーロネクストのアメックス買収はETF市場の取得を目的の一つとしていたので、NYSEユーロネクストは自社上場のETFとアメックス上場のそれを集約してアーカへ移管した。また、2005年7月にバークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック)が19銘柄、2008年8月にバンガード(Vanguard)が34銘柄、同年12月にステート・ストリートが75銘柄のETFをアーカへ移管、世界金融危機下でマーケットメイク等の合理化に成功した。

危機でもETF設定累計額は上昇をやめなかった。2013年6月、アーカはETFマーケットメイカーにスポンサー(大銀行や機関投資家)をつける制度(EIP)の試験的運営を申請した。バンガードが利益相反の問題を指摘したものの、証券取引委員会は承認した。2017年4月の報告書は、試験結果を示すにはデータが不足していると述べた。試験はスポンサーがいなくなったので中断されたが、ボルカールール2.0で試験は再開される見込みである。

日本は2018年7月2日に東京証券取引所がETF市場でマーケットメイク制度を導入した。アメリカでEIPが制度化されて、日本へ輸入された場合は、日銀がシャドー・バンキング・システムに供給した流動性が、マーケットメイクのスポンサーという形で日本のETF市場をさらに機関化することになる。

沿革[編集][編集]

ニューヨーク証券取引所はロンドン証券取引所に次いで古い歴史を有する証券取引所である。

  • 1792年5月17日 - 24人の仲買人によって「すずかけ協定」(Buttonwood Agreement)が結ばれる。
  • 1817年3月8日 - "New York Stock & Exchange Board"に改称。定款を制定、議長を選出し組織化する。
  • 1866年 - ウエスタンユニオンがティッカー・システムを取引所へもたらした。
  • 1903年 - 世界屈指の金融街、ウォール街に今の取引所建物が竣工。
  • 1907年 - 1907年恐慌で各財閥を頂点とする原始的なシャドー・バンキング・システムが成立。
  • 1927年 - 第二市場すなわちカーブ(Curb)取引所でモルガン・ギャランティ・トラストが米国預託証券を発行。
  • 1929年 - 暗黒の木曜日(ブラック・サーズデー)─過熱気味のニューヨーク・ダウが大暴落、世界恐慌が起こる。
  • 1941年 - シェルビー・カロム・デービス(Shelby Cullom Davis)が低落した会員権を購入。
  • 1953年 - 第二市場がアメリカン証券取引所に改称。年金基金と保険会社が全国的な出来高を支えた。
  • 1961年 - 年末に「第三市場」へ取引量が大きく流れ、市場が取引量的に分解した。この「第三市場」では、大きな証券取引所に属さないブローカー兼ディーラーが、上場株式を店頭で、継続的に自己売買およびマーケットメイクした。「第三市場」はオートメーション化を強みとして証券取引委員会の後援を受け、店頭のスペシャリストやナスダックを攻撃した。
  • 1975年 - 固定手数料制を廃止。全米市場システム(National Market System)を導入。
  • 1987年 - 暗黒の月曜日(ブラック・マンデー)。ダウ平均株価は前営業日比約508ドル安(下落率22.6%)と株価が暴落。
  • 1999年 - ニューヨーク証券取引所自ら株式公開。
  • 2001年 - アメリカ同時多発テロ事件により、4日間取引を停止。ニューヨーク・ダウが大幅に下落。
  • 2003年 - 投信・保険界の不正が追及された9月、ニューヨーク証券取引所のCEOが交代した。17日グラッソ(Richard Grasso)がゴールデンパラシュートで離脱。21日シティグループのリード(John S. Reed)がつないだ。12月18日ゴールドマン・サックス社長のサイン(John Thain)がCEOとなって、後にゴールドマン系のアーキペラーゴを買収した。
  • 2006年 - 持株会社NYSEグループが株式を上場(ティッカー:NYX)
  • 2007年 - 東京証券取引所と投資信託事業等の業務提携発表。
  • 2007年 - 持株会社NYSEグループとユーロネクストが合併し、NYSEユーロネクストとなる。
  • 2008年 - 世界金融危機によりニューヨーク・ダウが1万ドル以下に暴落。
  • 2010年 - 高速取引による大量の売り注文によって、ダウ平均株価は一時998ドル安と過去最大の下落幅を記録(2010 Flash Crash)。
  • 2013年 - インターコンチネンタル取引所(ICE)傘下となる。
  • 2014年 - フィデリティ・インベストメンツの金融仲介がスキャンダル化。
  • 2018年5月25日 - バンク・オブ・アメリカ出身のステイシー・カニンガム(Stacey Cunningham)が社長に就任。初めて女性がトップになった(2022年に退任)。
  • 2020年 - 取引所内にて新型コロナウィルスの感染者が発生し、立会場を一時閉鎖した。

市場取引[編集]

取引時間[編集]

取引時間は時間外取引を含めると以下の通り。

  • opening session: 4:00〜9:30 [日本標準時 18:00~23:30(冬時間)、17:00~22:30(夏時間)]
  • core trading session: 9:30〜16:00 [日本標準時 23:30~6:00(冬時間)、22:30~5:00(夏時間)]
  • extended hours: 16:00〜20:00 [日本標準時 6:00~10:00(冬時間)、5:00~9:00(夏時間)]

祝祭日を除く月曜日から金曜日の米国東部標準時および米国東部夏時間。core trading session は9:30〜16:00の「一場制」であり、日本などのような「前場」「後場」といった区分は無い。

取引形態[編集]

取引形態はオークション方式を採用している。呼び値は1セントである。

値幅制限はないが指数の下落が一定幅を超えると取引を中断するサーキットブレーカー制度が採用されている。

受渡日はT+2(約定日を含め3営業日)である。

ティッカーシンボルと呼ばれる、各企業を表す1~5文字のアルファベットがNYSE内の証券コードとして用いられる。

実際には電子取引の発達により、NYSE上場銘柄の売買は立会場だけでなく業者間市場(サード・マーケット)で成立する場合も多くなっており、NYSEとナスダックの取引上の差異は実質的になくなっている。ティッカーシンボルもかつてはNYSEは1~3文字、ナスダックは4文字以上だったが、この慣習もなくなっている。

株価指数[編集]

元々はニューヨーク証券取引所の株価から構成されていた株価指数はダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)があり、ダウ・ジョーンズ社(Dow Jones & Company)によって発表されている。ただし、現在では、NASDAQ公開のマイクロソフトやインテルのように、非NYSE上場企業銘柄もダウ平均を構成するようになった。

この他、構成銘柄が少ないダウ平均に対して、より市況を反映するよう1970年代中頃に開発されたNYSE Composite Indexがある。NYSE自身が独自に算出しており、構成銘柄はすべてNYSE上場企業である。

S&P 500はニューヨーク証券取引所およびNASDAQから構成され、その株価指数連動型ETFは最も取引されているETFであり、ダウ平均株価やS&P 500の動向が全世界の相場展開に反映される。



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