ドラゴンボール
『ドラゴンボール』(DRAGON BALL)は、鳥山明による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1984年51号から1995年25号まで連載された。略称は「DB」。
概要[編集]
世界中に散らばった七つの球をすべて集めると、どんな願いも一つだけ叶えられるという秘宝・ドラゴンボールと主人公・孫悟空(そん・ごくう)を中心に展開する「冒険」「夢」「バトル」「友情」などを描いた長編漫画作品。
1986年から1996年までフジテレビ系列で『ドラゴンボール』、『ドラゴンボールZ』が放送され、11年間のシリーズ放送期間中、平均視聴率20%以上を記録した。また全世界80か国以上で放送されるなど、世界中で絶大な人気を誇る日本の漫画・アニメを代表する作品である。
連載終了後もテレビアニメ・映画・ゲームなどが展開しており、映画『ドラゴンボール超 ブロリー』が全世界興行収入135億円を記録し、各国で大ヒットした。
1991年に『週刊少年ジャンプ21・22合併号』で行われた読者アンケートで同誌のアンケート史上最大得票となる1000通中815票を獲得し、1995年3・4合併号で同誌の発行部数は653万部を記録。本作の連載終了後は同誌の部数が急速に減少していくなど、連載作品の中でも特に影響は大きかった。
単行本の発行部数は完全版(2000万部)を含み国内で1億6000万部以上、全世界累計で2億6000万部を記録。
ゲームソフトは現在までにミリオンセラーを10本以上輩出し、シリーズ累計販売本数は全世界5000万本に達する。
『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』は2023年2月時点で、5000億円の収益を記録し、バンダイナムコエンターテインメントの収益を牽引する存在となっている。『スーパードラゴンボールヒーローズ』はカード累計出荷枚数10億枚、登録ユーザー数は400万人を突破し、デジタルキッズカードゲーム市場でNo.1の人気タイトルである。
2019年時点で、漫画・アニメシリーズ・ゲーム作品などを含めた総売上は230億ドル(約2兆5000億円)に達する。
あらすじ[編集]
孫悟空少年編[編集]
地球の人里離れた山奥に住む尻尾の生えた少年・孫悟空はある日、西の都からやって来た少女・ブルマと出会う。そこで7つ集めると神龍(シェンロン)が現れ、どんな願いでも一つだけ叶えてくれるというドラゴンボールの存在を、さらに育ての親である孫悟飯の形見として大切に持っていた球がその1つ「四星球(スーシンチュウ)」であることを知り、ブルマと共に残りのドラゴンボールを探す旅に出る。人さらいのウーロンや盗賊のヤムチャらを巻き込んだドラゴンボール探しの末、世界征服を企むピラフ一味にボールを奪われ神龍を呼び出されるが、ウーロンがとっさに言い放った下らない願いを叶えてもらうことで一味の野望を阻止する。
その後、悟空は旅の途中に知り合った武術の達人・亀仙人の下で、後に親友となるクリリンと共に8か月間にわたる修行を積み、その成果を確かめるために世界一の武術の達人を決める天下一武道会に出場し、変装して出場していた亀仙人に敗れるも準優勝を果たす。悟空は再び修行の旅へと出発し、ドラゴンボールの悪用を企むレッドリボン軍との闘いや、仙猫カリンの修行、孫悟飯との再会などを経てさらに強さを増していく。さらに3年後の天下一武道会では、亀仙流のライバルである鶴仙流の天津飯(テンシンハン)と闘うが、あと一歩のところで敗れ、前回と同じく準優勝に終わる。
ピッコロ大魔王編[編集]
天下一武道会終了後、ピラフ一味によって復活したピッコロ大魔王によって、クリリンや亀仙人など悟空の仲間たちや多くの武道家たちが殺される。悟空は仇を討つため、道中に出会ったヤジロベーやカリンの協力を得て命を賭して潜在する力を引き出し、ピッコロ大魔王に闘いを挑み勝利する。闘いの後、悟空はピッコロ大魔王に殺された神龍や仲間たちの復活のため天界へ向かい、ドラゴンボールの創造者である神様に会う。そこで神龍復活の条件として、神の下、天界で修行することとなった。
その約3年後、少年から青年へと成長した悟空は、天下一武道会の会場で仲間たちと再会。試合では、少年時代に出会った際に「嫁にもらう」と約束していた牛魔王の娘・チチと再会しその場で結婚。そして武道会に出場していたピッコロ大魔王の生まれ変わりであるマジュニアと決勝戦で激突、悟空はこれに勝利し初の天下一武道会優勝を飾る。
サイヤ人編[編集]
ピッコロ(マジュニア)との闘いから約5年後、息子の孫悟飯を儲けて平和な日々を過ごしていた悟空のもとに、実兄・ラディッツが宇宙より来襲し、自分が惑星ベジータの戦闘民族・サイヤ人であることを知らされる。さらわれた孫悟飯を助けるため悟空は宿敵ピッコロと手を組み、自らの命と引き換えにラディッツを倒すが、約1年後にはさらに強力なサイヤ人たちがドラゴンボールを求めて地球に来襲することを知る。
悟空はドラゴンボールによって生き返るまでの間、あの世の界王の下で修業し、仲間と共に地球に強襲したサイヤ人の戦士・ナッパとベジータを迎え撃つ。悟空は修行により増した力でナッパを一蹴し、ベジータと決闘。仲間の協力もあり、何とか辛勝し撤退させるが、多くの仲間を失うとともに、ピッコロの戦死により彼と一心同体であった神も死亡し、地球のドラゴンボールも消滅する。
フリーザ編[編集]
地球の神と殺された仲間たちを甦らせるため、重傷で入院中の悟空に代わり、悟飯、クリリン、ブルマの3人が神とピッコロの故郷であるナメック星へ向かう。だが、そこには地球で闘ったベジータや、界王すら畏怖する宇宙の帝王・フリーザとその一味が不老不死を求めて来襲し、ナメック星人を虐殺しながらドラゴンボールを略奪していた。悟飯たちはベジータ、フリーザ一味とのドラゴンボールをめぐる三つ巴の攻防の末、後から到着した悟空とナメック星人たちの協力を得てナメック星の神龍・ポルンガを呼び出し、ピッコロと地球のドラゴンボールを復活させる。
出し抜かれて願いが叶えられなかったフリーザは激怒し、一行は対決を強いられる。フリーザの持つ圧倒的な力の前にはベジータやピッコロ、悟空すら歯が立たず仲間たちが次々と命を落としていった。怒りを爆発させた悟空は伝説の戦士・超(スーパー)サイヤ人へと覚醒。フルパワーを解放したフリーザに勝利する。ポルンガによって地球に帰還した悟飯たちは復活したドラゴンボールによりサイヤ人やフリーザ一味に殺された人々を蘇生させた。一方の悟空も爆発するナメック星を辛くも脱出、ヤードラット星に漂着し一命を取り留めた。
人造人間・セル編[編集]
ナメック星での闘いから約1年後、密かに生き延びていたフリーザとその一味が地球を襲撃するが、謎の超サイヤ人によって撃退される。トランクスと名乗るその青年は、自分は未来からやってきたブルマとベジータの息子であることを悟空にだけ明かすと同時に、悟空は心臓病によって命を落とすこと、3年後に現れる2体の人造人間が絶望の未来をもたらすことを告げる。その後本当に心臓病によって危篤状態になるも、トランクスから渡された特効薬によって生還、来るべき日に備えて3年間各々に修行してその日を迎える悟空たちであったが、事態はトランクスが知っている歴史とは大きく違うものとなり、彼さえ知らなかった人造人間たちまで現れ、さらに究極の人造人間・セルが未来から出現。悟空らの想定を遥かに超えた戦士が続々と現れた。
人造人間17号と人造人間18号を吸収することで完全体となったセルは地球の命運を賭けた武道会「セルゲーム」の開催を全世界に宣言する。悟空らは天界にある1日で1年の修行が行えるも過酷な環境に晒される「精神と時の部屋」で修行し、強さを増してセルゲームに臨むが、悟空はセルとの激闘の末降参する。その意思を継いだ悟飯が怒りをきっかけに超サイヤ人2へと覚醒、勝つことを断念したセルは地球ごと爆破させる自爆を図るが、悟空の命と引き換えの咄嗟の機転により地球の爆破は免れる。しかしセルは生きており悟飯と再び闘うことになる。セルもパワーアップしているため闘いは苦戦を強いられたが悟空の幻影と共にかめはめ波を放ちセルを撃破。セルゲームを制した悟飯たちは、ドラゴンボールによりセルに殺された人々を蘇生させるが、悟空は自分が悪人を引き寄せているという理由で生き返りを拒否し、あの世に残ることを選ぶ。
魔人ブウ編[編集]
セルゲームより約7年後、高校生に成長した悟飯が天下一武道会に出場することを知った悟空は、自らも出場するために占いババの力によって1日だけこの世に戻る。天下一武道会の最中、悟空たちは界王よりもさらに高位の存在である界王神から恐ろしい力を持つ魔人ブウの封印が解かれようとしていることを知らされる。復活した魔人ブウにより悟飯やベジータが倒され、悟空はあの世に帰ったため、地球の命運は悟空の次男・孫悟天と少年トランクスの幼い2人に託される。
一方、魔人ブウは様々な人間との出会いからより邪悪で強力な魔人(魔人ブウ〈悪〉)へと変貌。悟天とトランクスが「フュージョン(融合)」して誕生した戦士・ゴテンクスや、潜在能力を解放し、パワーアップを遂げて帰ってきた悟飯らが応戦するが、戦士たちを次々と吸収し姿を変えていく魔人ブウに苦戦を強いられる。危機に陥った悟飯らを救うため現世に舞い戻った悟空とベジータは、界王神界で真の姿となった魔人ブウとの最終決戦に臨む。ドラゴンボールの協力もあり、地球・ナメック星・あの世の人々のエネルギーによって作り上げられた超特大の元気玉によって魔人ブウは完全に消滅する。
それから10年後、悟空は孫のパンと共に天下一武道会に久しぶりに出場し、魔人ブウの生まれ変わりである少年・ウーブと出会う。悟空はウーブと共に見果てぬ強さを追い求めて修行に旅立ち、物語は幕を閉じる。
登場人物[編集]
詳細は「ドラゴンボールの登場人物」を参照
以下は、主人公と主要キャラクターである。
- 孫悟空
- 声 - 野沢雅子
- 本作の主人公。純粋で心優しい性格の地球育ちのサイヤ人。サイヤ人としての名は「カカロット」。様々な師の下での修行と強敵やライバルとの死闘を経て、最強の戦士へと成長していく。
- 孫悟飯
- 声 - 野沢雅子
- 孫悟空とチチの息子で、悟天の兄。幼少時にピッコロの弟子となり、悟空たちと共に数々の強敵と闘う。後にビーデルと結婚し、2人の間に娘のパンが生まれる。
- 孫悟天
- 声 - 野沢雅子
- 孫悟空とチチの息子で、悟飯の弟。トランクスとは幼馴染みであり、魔人ブウ編で共に魔人ブウと戦う。
- ベジータ
- 声 - 堀川亮(現:堀川りょう)
- 惑星ベジータの王子。初期の頃は残忍で冷酷な性格だったが、悟空やブルマたちに感化され、次第に残忍さは薄れていく。後にブルマと結ばれトランクスとブラの父親となる。
- ブルマ
- 声 - 鶴ひろみ→久川綾
- カプセルコーポレーションの令嬢。天才的な頭脳の持ち主であり、様々なメカの発明・改造によって仲間たちをサポートする。後にベジータと結ばれ、トランクスとブラを授かる。
- トランクス
- 声 - 草尾毅
- ブルマとベジータの息子で、サイヤ人と地球人の混血。人造人間編では未来から来た青年として戦い、魔人ブウ編では、孫悟天とフュージョンをして魔人ブウと闘う。
- ピッコロ(マジュニア)
- 声 - 古川登志夫
- ピッコロ大魔王の息子かつ分身にして生まれ変わり。当初は悟空たちと敵対するが、後に悟空たちと共に地球の平和を守るため数々の強敵と闘う。
- クリリン
- 声 - 田中真弓
- 悟空の兄弟弟子であり一番の親友。後に人造人間18号と結婚し、娘のマーロンが生まれる。
- ミスター・サタン
- 声 - 郷里大輔(Z、GT)→石塚運昇(改、超)→江原正士
- 悟空たちが表舞台を去った後の格闘技世界チャンピオン。調子のいい性格だが強い正義感の持ち主で、セルと魔人ブウの戦いではその勝利に舞台裏で大きく貢献し、魔人ブウとの戦いの後は悟空たちの仲間になり親睦を深める。
- フリーザ
- 声 - 中尾隆聖
- 宇宙の帝王。ドラゴンボールの願いで不老不死を叶えるためナメック星に降り立ち、そこで悟空たちと激戦を繰り広げる。
- セル
- 声 - 若本規夫
- ドクター・ゲロが開発したコンピュータにより、悟空たちの細胞を組み合わせて誕生した。後に完全体となり、セルゲームで悟空や悟飯と激闘を繰り広げる。
- 魔人ブウ
- 声 - 塩屋浩三
- 魔導師ビビディによって作られた、遥か太古に全宇宙を破壊の恐怖に落とし入れた魔人。地球に封印されていたがバビディによって解放され、悟空たちと激戦を繰り広げる。
歴史[編集]
連載開始までの経緯[編集]
1984 | 11月 『週刊少年ジャンプ』51号より連載開始 |
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1985 | 9月 コミックス第1巻発売 |
1986 | 2月 アニメ『ドラゴンボール』放送開始 |
11月 ファミリーコンピュータゲーム『ドラゴンボール 神龍の謎』発売 | |
12月 初の劇場版アニメ『ドラゴンボール 神龍の伝説』公開 | |
1987 | アニメ『ドラゴンボール』第47話で最高視聴率29.5%を記録 |
1988 | 11月 カードダス ドラゴンボールシリーズ発売開始 |
1989 | 4月 アニメ『ドラゴンボールZ』放送開始 |
1990 | 10月 TVスペシャル『たったひとりの最終決戦』放送 |
1991 | 『週刊少年ジャンプ』の読者アンケート史上最大得票となる815票を獲得 |
1992 | 劇場版『ドラゴンボールZ 極限バトル!!三大超サイヤ人』が400万人の動員を記録 |
1993 | 2月 TVスペシャル『絶望への反抗!!』放送 |
1994 | アニメ『ドラゴンボールZ』第218話で最高視聴率27.5%を記録 |
1995 | 5月 『週刊少年ジャンプ』25号に最終回「バイバイドラゴンワールド」掲載 |
8月 コミックス最終巻となる42巻発売 | |
1996 | 2月 アニメ『ドラゴンボールGT』放送開始 |
1997 | |
1998 | |
1999 | 9月 米国カートゥーン ネットワークの局の視聴率記録を樹立 |
2000 | |
2001 | |
2002 | 12月 完全版コミックス発売 |
2003 | 2月 PlayStation 2ソフト『ドラゴンボールZ』が300万本以上の出荷を記録 |
2004 | 7月 アニメ『ドラゴンボール』のDVD-BOX「DRAGON BOX」が発売 |
2005 | 3月 『データカードダス ドラゴンボールZ』稼働開始 |
2006 | 9月 『超こち亀』に秋本治との共作『こちらナメック星ドラゴン公園前派出所』を掲載 |
2007 | 『週刊少年ジャンプ』4・5合併号で尾田栄一郎との共作『CROSS EPOCH』を掲載 |
2008 | |
2009 | 4月 アニメ『ドラゴンボール改』放送開始 |
2010 | 11月 アーケードゲーム『ドラゴンボールヒーローズ』稼働開始 |
12月 オオイシナホによるスピンオフ漫画『ドラゴンボールSD』連載開始 | |
2011 | |
2012 | |
2013 | 3月 17年ぶりとなる劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』が公開 |
2014 | 4月 アニメ『ドラゴンボール改』第二期放送開始 |
2015 | 4月 劇場版『ドラゴンボールZ 復活の「F」』が公開 |
7月 アニメ『ドラゴンボール超』放送開始 | |
8月 とよたろうによる漫画『ドラゴンボール超』が連載開始 | |
2016 | 6月 集英社に「ドラゴンボール室」新設 |
11月 アーケードゲーム『スーパードラゴンボールヒーローズ』稼働開始 | |
2017 | 5月 バンナムの売上で『機動戦士ガンダム』を抜き1位となる |
2018 | 4月 東映に「ドラゴンボール部署」新設 |
12月 劇場版『ドラゴンボール超 ブロリー』公開 | |
2019 | |
2020 | |
2021 | |
2022 | 6月 劇場版『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』公開 |
2023 | |
2024 | 秋 アニメ『ドラゴンボールDAIMA』放送開始(予定) |
本作は、連載が始まるまでにさまざまな紆余曲折があった。鳥山と担当編集者の鳥嶋和彦は、当時連載中であった『Dr.スランプ』のアイデアが尽きかけていたため連載を終了させたがっていたが、そう簡単に人気作品を終わらせるわけにもいかず、連載終了3か月後に新連載を始めるなら辞めてもいいという条件を受け、『Dr.スランプ』の連載と平行して描いた読み切り作品『騎竜少年(ドラゴンボーイ)』、『トンプー大冒険』(両作品とも『鳥山明○作劇場VOL.2』に収録)を基に、『ドラゴンボール』のネタを固めていった。
プロット段階においては『西遊記』の要素も取り入れると共に、「ボールを集める」というアイデアは『南総里見八犬伝』から取られたが、「『八犬伝』が8つの球なので、同じじゃ悔しいから」とボールの数は7個にされ、タイトルは映画『燃えよドラゴン』から取られた。こうして本作の初期の構想がまとまった。
当初は鳥山版『西遊記』を目指しストーリーを進めようとしていたが、担当の鳥嶋の反応は「西遊記そのものではないか」と冷たかった。そのため、第二稿(SF要素が取り入れられ、服装が現代風)、第三稿(現行の『ドラゴンボール』にかなり近い設定)と変更が加えられ、最終的には『西遊記』の要素は主人公の名前やキャラクターデザインのほか、初期のいくつかのエピソードやアイテムなどにその名残を留めるのみとなった。
連載開始から連載終了までの経緯[編集]
5週連続カラーという大々的な扱いで連載開始されるも当初はあまり人気がなく、開始当初は前作『Dr.スランプ』の影響による期待票や編集部のバックアップもあり良かったものの、徐々に人気は下降し、アンケート結果における順位が15位になることもあった。担当の鳥嶋に「主人公が地味だ。だから人気がないんだ」と指摘された鳥山は、以後「強さを追い求める主人公」というテーマを作品に持たせることになる。その発想から一旦サブキャラクターを下げて修行編を作り、武術の師匠としての亀仙人、最初のライバルとしてクリリンを登場させ、悟空と違ってズル賢い性格のクリリンを描くことで、悟空の愚直なキャラクターが際立つようになる。修行の成果を見せるために天下一武道会の本編が始まり、主人公である孫悟空のキャラクターも確立され、人気も急激に上昇する。同じ頃にフジテレビから集英社に話があり、アニメ化に繋がった。
1990年発売の『週刊少年ジャンプ45号』にて本作と『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が共に5000万部突破(ドラゴンボール50977000部、こちら葛飾区亀有公園前派出所50122000部)した事が発表され、本誌に各方面から祝電がよせられた。
フリーザ編が佳境に入る頃にはその人気はピークに達し、1991年に行われた『週刊少年ジャンプ』の1000票アンケートで815票を獲得。ジャンプにおける地位を不動のものとする。
天下一武道会編で読者アンケート1位を獲得し、その後、連載後半まで不動の1位となる。その人気は漫画の枠を越え、アニメ『ドラゴンボール』第47話で最高視聴率29.5%を記録。ファミコンソフト『ドラゴンボール 神龍の謎』は120万本の出荷を記録した。
セル編連載中において、鳥山は再度連載終了を強く要望。今回は強硬手段も辞さない覚悟であった。しかし各方面への調整が必要との鳥嶋の判断により、あと2年だけ連載を続けて終了というこちらも強い要請を受け、鳥山はしぶしぶ了承し悟飯を主人公に交代させる形でブウ編の連載を開始。鳥嶋としても疲弊の色が隠せなくなった鳥山にこれ以上の連載続行は不可能と判断し、担当を近藤から武田に変更。武田にはそれまでの担当と異なり鳥山のネームに口を出さずにそのまま掲載させるよう指示を出す。このため、ブウ編開始後は人気が急落し、本誌においてトップの座を『SLAM DUNK』に譲り渡すこととなった。
1995年の連載終了については、鳥山の強い要望によるものであったとはいえ、最終的には関係各社のトップ級会議などの調整や各社の上層部による経営判断を必要とし、関連企業の株価・業績への影響を最小限に抑えるべく様々な配慮や下準備を行った上でようやく実現できたという、前代未聞の事態となった。後に鳥山はブウ編について「漫画を描いている自分でさえイヤになるほど激しくくどい闘いの連続。血圧高めで薄味好きのオジサンになってしまった今では、もうこんな闘いは描けない。というか、これ以降、闘いの漫画を描く気がなくなってしまった」と告白している。前述のように、ブウ編開始前において鳥山は鳥嶋と連載終了の約束を取り付けていたが、当時の編集長であった堀江信彦はその事実を途中まで知らされていなかったという。
こうした背景もあって、本作は延べ10年半に及ぶ長期連載となった。最終話は巻頭カラーであり、これはジャンプにおいては『リングにかけろ』に続いて2度目であった。最終話もまだ悟空の冒険が続くようなシーンで終了している。
かつての週刊少年ジャンプ編集長であった西村繁男によると、それまで守っていた600万部の発行部数が、ドラゴンボール終了直後に割れこみ、あっという間に部数が急落したことことである。
連載終了後の展開[編集]
連載終了後の『週刊少年ジャンプ』1995年26号から35号にかけて、10週連続特別企画として原作や各メディアでの展開を振り返る「HISTORY OF DRAGON BALL」が掲載された。
鳥山は連載終了直後のメッセージで「やりたいっすよ、次(の新しい作品)を。そのために(ドラゴンボールの連載を)やめたいと思ったってのもあるし。不器用だから他をやりながらってのがダメなんです。この作品をやって純粋にストーリー漫画の面白さってのもわかりましたし、自分では動きのある絵もやっと描けるようになってきたなあと思い始めた」とコメントした。
連載が終了した翌年の1996年2月、アニメ『ドラゴンボールGT』の放送が開始された。完全オリジナルストーリーで描かれたこの作品に、鳥山はキャラクターデザインや設定画を書き下ろす形で参加した。全64話と番外編1話が放送され、第2話で視聴率19.7%を記録する人気アニメとなった。この当時を鳥山は2013年のインタビューで「その頃、連載はもう終わっていたので、僕の頭は次の仕事に向いていました。だから…正直に言うと、そこでまた『DB(GT)』のデザインというのは、ちょっとだけ抵抗がありました(笑)。続けていただけるのは、本当にありがたいと思いましたが」と語っている。
リバイバルブーム到来[編集]
2002年12月4日から完全版コミックスが発売され、累計発行部数2000万部を超えるベストセラーとなった。また、完全版の発売を皮切りに2003年3月には『ドラゴンボールZ』を収録したDVDBOX『DRAGON BOX VOL.1』が発売。10万円を超える高額商品にもかかわらず驚異的な売上を記録し、その後もアニメ『ドラゴンボール』シリーズのDVDが立て続けにリリースされた。同じく2003年には家庭用ゲームソフト『ドラゴンボールZ』がリリースされ、人気キャラクターが総登場するこの作品から、現在に続くDBゲームの流れが出来上がった。
コミックス完全版の描き下ろしカバーイラストを描く仕事のため鳥山は初めて本作をまともに読み、完全版では最終話の最後も修正されたが、鳥山は「何年もたって完全版が出ましたが、その時最後を少し描き足しました。何だか最後がシャキッとしない気がしたんだと思います。悟空の闘いは終わって、世代交代というか、そういう意図を明確にしたかったんです」と語っている。
シリーズ累計1億5000万部突破したことを記念して、2005年7月16日の読売新聞朝刊に特別広告が掲載された。
新展開へ[編集]
2009年からは『ドラゴンボールZ』のデジタルリマスター再編集版である『ドラゴンボール改』第一期が放送スタート。2014年には第2期「魔人ブウ編」が放送され、どちらも高視聴率を獲得。こうしてアニメ『ドラゴンボール』シリーズは世代を超えて愛される国民的人気作品へと発展を遂げた。
2013年3月30日には、劇場版アニメとしては17年ぶりとなる新作『ドラゴンボールZ 神と神』が公開された。鳥山は破壊神ビルスなどの新キャラクターのデザインを手がけ、初めて劇場版のストーリー制作にも参加した。続いて、2015年4月18日に公開された劇場版『ドラゴンボールZ 復活の「F」』では、脚本を書き下ろしている。2つの劇場版の物語はその後、2015年7月5日から放送開始した『ドラゴンボール超』で再構成され、鳥山はテレビアニメ初となる原案に携わっている。また、とよたろうによる漫画版が『Vジャンプ』2015年8月号から連載が開始されている。
『週刊少年ジャンプ』創刊45周年記念として2013年33号 - 44号まで、『銀河パトロール ジャコ』が短期連載された。その内容はDBの前日譚として、悟空が地球に送り込まれる前の話が描かれており、主人公のジャコは劇場版やテレビアニメにも登場し、『ドラゴンボール』においても主要キャラクターの1人となっている。また、単行本には『DRAGON BALL- 放たれた運命の子供』が収録されている。
2015年5月9日、日本記念日協会は5月9日を「悟空の日」に認定した。
2016年10月12日、集英社は都内で行われた新刊企画発表会で、同年6月21日付で社内に単独作品の部署としては初の試みとなる「ドラゴンボール室」を新設したことを発表した。担当者は「単独作品の部署は新しい試み。ライツ(権利)と漫画の両方を備え、世界的な人気を誇るビッグコンテンツをさらに大きく展開することを目指していく」と説明。鳥山も「ずいぶん昔の作品を、集英社さんの優秀なスタッフの力を借りて、現代でも盛り上げていただこう、なんていうボクにとっては実にありがたくも頼もしいチームです。これでボクは何もしなくてもいいということになればホントに最高です」とコメントを寄せた。
2018年3月23日、東映アニメーションは同年4月1日付で、従来のテレビ企画部を第一映像企画部、映像企画部を第二映像企画部とそれぞれ改称し、そして新たに『ドラゴンボール』を主に担当する第三映像企画部を新設することを発表した。『ドラゴンボール』は東映アニメーションのなかでも最もビジネスが大きな作品であり、独立させることで、さらに積極的にビジネス開発を進めることになる模様である。
2018年3月にテレビアニメ『ドラゴンボール超』が終了したあとも2018年12月14日に劇場版『ドラゴンボール超 ブロリー』、2022年6月11日には劇場版『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』が公開された。