ダチョウ
ダチョウ(駝鳥、学名: Struthio camelus)は、鳥綱ダチョウ目ダチョウ科ダチョウ属に分類される鳥類。世界最大の鳥である。
鳥でありながら飛ぶことはできず、平胸類に分類される(飛べない鳥も参照)。亜種として北アフリカダチョウ、マサイダチョウのレッドネック系、南アフリカダチョウのブルーネック系、南アフリカで育種されたアフリカンブラックがある。現生では本種とソマリダチョウでダチョウ属を構成する。
名称[編集]
属名Struthioはギリシア語でダチョウの意。往時、ダチョウはサハラ砂漠以北にも生息し、地中海世界にもある程度馴染みのある鳥であった。この語はまた、英語: ostrich など、ヨーロッパ各国でダチョウを意味する語の語源でもある。種小名camelusは「ラクダ」の意。
日本では本来「駝鳥(陀鳥)」という言葉は現在のダチョウではなく、先に日本に伝わってきた(最古のものでは寛永12年 (1635)に平戸藩主から幕府への献上記録がある)ヒクイドリの異称であったが、その後万治元年 (1658) に持ち込まれた(現在の)ダチョウにこの名前が使用されるようになっている。なお、初めて日本に来たダチョウの名前については『徳川実紀』の万治元年正月の項に「十五日(中略)蘭人御覧あり。貢物は大鳥(以下略)」と記載され、翌日「大鳥」の名を教えてもらった所「ほうよろすてれいす」だと記載されている。(ダチョウのオランダ語表記は「Struisvogel」)
分布[編集]
アルジェリア、アンゴラ、ウガンダ、エジプト、エチオピア、エリトリア、カメルーン、ケニア、ザンビア、ジンバブエ、スーダン、セネガル、タンザニア、チャド、中央アフリカ共和国、ナイジェリア、ナミビア、ニジェール、ブルキナファソ、ボツワナ、マリ共和国、南アフリカ共和国、南スーダン、モーリタニア、モザンビーク
以前は中東に亜種S. c syriacusが分布していたが、1966年頃に絶滅した。オーストラリア、エスワティニに移入。
形態[編集]
オスの成鳥となると体高230センチメートル、体重135キログラムを超え、現生する鳥類では最大種である。頭部は小さく、頸部は長く小さな羽毛に覆われている。ダチョウは翼を持っているが、竜骨突起がなく胸筋は貧弱である。また羽毛は羽軸を中心に左右対称でふわふわとしており、揚力を得て飛行する構造になっていない。肢(あし)は頑丈で発達しており、キック力は100平方センチメートル当たり4.8トンの圧力があるといわれる。趾(あしゆび)は大きな鉤爪がついている中指と外指の2本で、3本指のエミューやレアと異なる。翼と尾の羽根が白く、胴体の羽根はオスが黒色、メスが灰褐色である。走る速度は速く平均時速50㎞、最大時速80㎞、持久力もある。