スーパーフォーミュラ
スーパーフォーミュラ(SUPER FORMULA)は、2013年から日本で開催されている自動車レースの1カテゴリー(格式は国際)。略称は「SF」。
2013年から2015年は“全日本選手権スーパーフォーミュラ”、2016年から“全日本スーパーフォーミュラ選手権”として開催されている。
概要[編集]
フォーミュラカー(オープンホイール)を使用した四輪レースで、日本自動車連盟(JAF)公認の下、日本レースプロモーション(JRP)を運営母体とし、フォーミュラ・ニッポンを引き継ぐ形で2013年にスタートした。
全日本F3000選手権からフォーミュラ・ニッポン時代には“日本一速い男 決定戦”とも呼ばれ日本最高峰のカテゴリーとして扱われており、ランキング3位以内を獲得すればスーパーライセンスを取得できた時期もあり、ステップアップカデゴリーとしてフォーミュラ1(F1)ドライバーを輩出していた。だが年を追うごとに海外に拠点を移してF1を目指す日本人ドライバーが増えたこともあり、F1にステップアップするドライバーはほとんど見られなくなった。またリーマン・ショックによる経営への打撃でトヨタやホンダが相次いでF1から撤退したことから出場台数や観客数が減少傾向となった。
そこで2013年から国内という枠から脱却し、アジアのスタンダードフォーミュラを目指しアジアを中心にグローバル展開を進めるにあたり、現在の名称であるスーパーフォーミュラとして再スタートすることとなった。その関係で初年度の2013年に韓国のインジェ・スピーディウムでの開催が予定されたが、最終的には中止となった。また、2015年の概要発表会の際、当時のJRP社長である白井裕の口から「名実ともに世界の三大フォーミュラカーレースのひとつとして、F1、インディカーと並び称されるカテゴリーにまで発展させることを目標」と述べ、独立したカテゴリーの性格を強めていく方針を取ったこともあり、本カテゴリーと並び国内最高峰のレースであるSUPER GTとは異なり海外展開は見送られている。
2020年から全日本F3選手権を踏襲した全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権が下位カテゴリとして開催されている。
源流となる全日本F2000選手権発足から50周年を迎えた2022年に、社会環境との共存およびエンターテインメントの持続可能性を追求するプロジェクト『SUPER FORMULA NEXT50』(スーパーフォーミュラ ネクストゴー)を立ち上げている。
評価[編集]
改名当初は、F1で使用されるピレリ製タイヤやそのサーキットの経験を積めない事、スーパーライセンスを取得する条件を満たすまで(他のカテゴリより)時間がかかるなどの問題があった。同年に元F1ドライバーのヴィタントニオ・リウッツィとナレイン・カーティケヤンが参戦するなど、レベルは充分高いとは言われるものの、やはりF1を目指す上では参戦する意義は薄いと見られていた。
ところがフォーミュラ・ニッポン時代から長らく参戦していたアンドレ・ロッテラーが、電撃的に2014年にF1のベルギーグランプリにスポット参戦した際に、日本のトップフォーミュラというキャリアの道筋を示してから欧州でも注目が集まるようになった。2015年にはGP2王者のファビオ・ライマーが参戦を表明(後に彼の事情により撤回)、同じくGP2王者のストフェル・バンドーンが2016年、ピエール・ガスリーが2017年にF1のシートを確保するまで参戦し、フォーミュラレース界でも独特の存在感を示すようになった。加えてヨーロッパのジュニアカテゴリーの参戦資金が高騰している事から、F2へ参戦できないドライバーやF2以外でF1マシンに準じた経験を積めるカテゴリーという点で見直され、本カテゴリーの参戦を企図する海外勢のドライバーが増えつつある。
ただしF1参戦にはFIA F2、或いはF3の経験がないと不利な状況には変わりなく、前述のドライバーたちもF2(GP2)のタイトルを獲得し、すでにスーパーライセンスの発給条件を満たした上での参戦である為、F1目的での参戦という観点からは課題も残っている。一方でライセンスポイントが必要なかったり、必要であっても条件が緩いトップフォーミュラ(インディカーやフォーミュラEなど)へ行く上では、何かしらの事情でF1・F2のシートが得られないドライバーにとっては有力な選択肢になっているとも言える。後にインディカーに転戦するフェリックス・ローゼンクヴィストやアレックス・パロウ(2021年インディカー王者)や、現在フォーミュラEに参戦しているニック・キャシディなどはその例である。
運営面での問題としては本カテゴリーも含め、審査委員会への報告内容に統一的な基準がない為、サーキット側の競技長の判断基準に委ねられているという、国内レース共通の課題を抱えている。スーパーフォーミュラのセッション中の判定に関しても、JRPがレースディレクターを派遣しているものの、主催者側(開催地のサーキット)が選定する競技長に決定権があり、その決定を審査委員会が承認するという形を取っている。その為、メディア対応は基本的にJRPが担っているものの、JRP側はレースの判定/裁定についての決定権がない為、無許可でのコメントや説明が出来ないという状況にある。この状況については、長年苦悩しているらしく、2016年にJRP社長へ就任した倉下明によれば、「三権分立の様な形で判定と裁定がされている為、メディアへの対応や最高責任者が明確化されていない」という課題を抱えているとコメントしている。その一方で、SUPER GTが株式会社GTアソシエイションが必要に応じて対応するのに対し、スーパーフォーミュラ側は2019年シーズンの第3戦で、予選が赤旗中断のまま終了になった一件で、JRPが公式声明を出すといった対応をした例を除けば、運営側がノーコメントで終わるケースも多い。また、その問題について事実上、手を付けられず、それらが明文化されないままレース運営が行われている状況であり、参加ドライバーから度々苦言を呈される点も課題となっている。