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スタンド・バイ・ミー

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スタンド・バイ・ミー』(原題: Stand by Me)は、1986年より公開されたアメリカ合衆国の青春映画。スティーヴン・キングによる中編小説『スタンド・バイ・ミー』(The Body)の映画化であり、ブルース・A・エバンスとレイノルド・ギデオンの脚本による脚色で、監督はロブ・ライナーが務めた。

ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル、キーファー・サザーランドらが出演する。

1950年代末のオレゴン州の小さな町キャッスルロックに住む4人の少年たちが好奇心から、線路づたいに“死体探し”の旅に出るという、ひと夏の冒険を描いている。兄弟間の葛藤において生じるカインコンプレックスについても描かれた。

アメリカでは当初16館の限定公開であった。

青春映画の「傑作」「金字塔」などとして、高く評価された。アカデミー賞の脚色賞、ゴールデングローブ賞のドラマ映画賞と監督賞の2部門にノミネートされた。

あらすじ[編集]

作家ゴードン・ラチャンスはある日、「弁護士クリストファー・チェンバーズ刺殺される」という新聞記事に目をとめ、少年だった頃をふと思い起こす。

時は1959年。当時12歳だった彼は、オレゴン州の田舎町キャッスルロックに暮らしていた。そこはお世辞にも風紀が良いとは言えない、何かしらの劣悪な家庭環境に置かれた貧しい人たちが住む町であった。

物語を作る才能を持つゴーディ(ゴードンの愛称)、ガキ大将のクリス(クリストファー・チェンバーズ)、眼鏡をかけているテディ、ノロマで肥満児のバーンの4人は、性格も個性も異なっていたがウマが合い、いつも一緒に遊んでいた。木の上に組み立てた秘密小屋の中に集まっては、タバコを喫ったり、トランプをしたりと、少年期特有の仲間意識で結ばれていた。

ある日、バーンは不良グループの一味である兄たちの会話を盗み聞きしてしまう。3日前から行方不明になっているレイ・ブラワーという少年が、30キロ先の森の奥で列車に跳ねられ死体のまま野ざらしになっていることを知る。バーンがゴーディたちに話すと、「死体を見つければ有名になる。英雄になれる」と言う動機から、死体探しの旅に4人で出かける。

途中、喧嘩もするが、助け合いながら、鉄道の線路に沿って冒険のような旅を続ける。鉄橋で危うく列車に轢かれそうになったりしながら、その夜は森で野宿をする。クリスが持参したピストルを持って、交代で見張りをする。

見張りの間に、ゴーディとクリスが2人きりになる。物語を書く才能があるゴーディは、親に疎まれていることを気に病み、将来への希望も持てないことをクリスに打ち明ける。彼はゴーディの才能を評価し、作家になる夢をあきらめないよう助言する。一方でクリスは家庭環境の悪さから将来に希望が持てない上、自分が教師の私利私欲に利用されたということを打ち明ける。ゴーディは実は頭のいいクリスに、進学することを勧め、励ますのだった。

一方、バーンやクリスの兄たちがメンバーになっている不良グループを率いるエースが死体の話を聞きつけ、仲間を引き連れて死体のある場所へ車で向かい始める。

翌日、ゴーディら4人は、沼に落ちてヒルに血を吸われたりしながらも、ついに死体を発見する。そこにエースたち不良グループが現れ、死体を渡せとせまる。バーンとテディは逃げ出すが、クリスは毅然とした態度ではねつける。エースが怒り、ナイフでクリスを襲おうとした瞬間、ゴーディが上空に銃を発砲し、エースに銃口を突きつけ、不良グループは退散する。

遺体のことを匿名で警察に通報して、ひと夏の冒険が終わり、4人はいつものように町外れで別れた。その後は進路もバラバラになり、お互い疎遠になっていく。

大人になったゴーディは作家となり、結婚して2人の子供にも恵まれ、大きな一軒家に住めるほど成功し、一方のクリスは猛勉強して弁護士になる。そのクリスとも最近は10年以上会っていなかったが、クリスが亡くなった原因が、昔と変わらず正義感が強いがゆえ(喧嘩の仲裁)だったことに、「複雑な家庭環境のなかで仲間との友情を感じた12歳の頃のような友達は、二度とできることはない」と、静かに思い返す。

登場人物[編集]

主要人物[編集]

ゴーディ・ラチャンス
主人公。本名はゴードン・ラチャンス。12歳。性格は内向的で真面目。物語を作る才能がある。年の離れた兄デニーを事故で亡くし、両親からもその影響で冷遇されているため、劣等感を抱いている。
ゴーディ(大人)
劇中での語り手。この時点の彼は妻子持ちの作家で、大きな一軒家に住むことができる程の成功を収めている。
クリス・チェンバーズ
本名はクリストファー・チェンバーズ。ゴーディの親友。グループのリーダー格。賢い少年だが、アルコール依存症の父親と不良の兄がいて、家庭に信用がないため、自分の将来を悲観している。周囲もクリス自身が将来は悪い人間になると思っているが、友達がいじめられていると助けるなど正義感があり、友達思いの面がある。ゴーディの才能に一目置いて、将来物書きになるよう勧めた理解者でもある。後に奮起して街を出て大学に進み弁護士となるが、ある日ファストフード店でもめていた客2人を仲裁し、客の持っていたナイフで喉を刺され死亡する。
原作では法学部の学生の頃に刺殺されている。
テディ・ドチャンプ
本名はセオドア・ドチャンプ。大きな眼鏡をかけている。粗野で無茶な性格。父親の影響からか、軍隊に憧れている。彼の父はノルマンディーで勇敢に戦ったという経歴を持つが、そのトラウマで精神を病んでいる。テディは父から虐待を受けており、ストーブで耳を焼かれてしまった過去も持つが、父を尊敬する気持ちも持っており、父親のことを侮辱された時には大声をあげて激昂している。この後、耳と目の問題で軍隊には入れず、一時刑務所に入ったが、出所後は日雇いで働いている。
原作では公共事業団に就職した後、飲酒運転の末に交通事故を起こして死亡している。
バーン・テシオ
少しノロマな太った少年。性格は臆病でうっかり者。自宅の床下にヘソクリを入れた瓶を埋めたが、どこに埋めたのか分からなくなってしまい、暇があると家の床下を掘っている。兄は不良グループのビリーで、バーンは彼らの会話から死体についての情報を盗み聞きした。その後、若くして結婚し、4人の子宝に恵まれ、材木場で働いている。
原作では高校時代にアパートの火事で死亡している。

不良グループ[編集]

エース・メリル
不良グループのリーダー。仲間とともに車で暴走して郵便受けをバットで破壊するなど無軌道に振る舞う。ただし、ゴーディに銃口を向けられた際に「俺以外の奴も撃つのか」と聞くなど仲間を想う気持ちはある模様。
原作では、キャッスルロックに帰省したゴーディが、かつての面影もない太った中年になったエースの姿を目撃している。また、キングの別作品の『ニードフル・シングス』にも中年になった姿で登場している。
アイボール・チェンバーズ
クリスの兄。本名はリチャード・チェンバーズ。通称の「アイボール」は右目が痙攣する持病に由来。不良グループのNo.2ポジションで、エースがゴーディから奪ったデニーの形見の野球帽をもらっている。
ドラマ『キャッスルロック』では、妻に家庭内暴力を振るった結果、殺害されたという設定で名前が登場した。
ビリー・テシオ
バーンの兄。少年の死体を発見した1人。死体のことをしゃべってしまいそうになるチャーリーを度々止めていたが、最終的には自身も釣り場でアイボールにそのことをバラしてしまう。不良グループの中では気性の荒い男で、バーンが話を盗み聞いた事を知った際にはその場で殴ろうとした。
チャーリー・ホーガン
不良グループの一員で、ビリーの相方的存在。口が軽く、軽率。ビリーと共に少年の死体の発見の件を隠すことにしたが、結局はビリヤード場でエースにその件をしゃべってしまい、不良グループも死体探しをすることになる。
ビンス・デジャルダン
不良グループの一員。エースの車とカーレースをした際に負けてしまう。

その他[編集]

デニー・ラチャンス
ゴーディの兄で故人。アメフトのスター選手であり、両親から将来を期待され、また弟からも慕われる良き兄であったが、自動車事故により死亡。クリス同様ゴーディの文才を認めていた数少ない理解者の一人であった。
ゴーディの両親
デニーを事故で亡くした悲しみで気力を失っており、ゴーディにも関心を示さない。ゴーディは父から「お前が代わりに死ねばよかった」と言われる悪夢を見てしまうほど愛情を感じられずにいる。
レイ・ブラワー
汽車に轢かれて死亡した少年。最初ビリーらに発見され、後にゴーディらが匿名で通報したことで警察が発見した。
マイロ・プレスマン
廃車置き場の主人で、猛犬を飼っている。テディの父親を侮辱した。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
フジテレビ版 VHS・DVD版 BD版
ゴーディ・ラチャンス ウィル・ウィートン 神藤一弘 土井美加 滝原祐太
ゴーディ(大人) / ナレーション リチャード・ドレイファス 樋浦勉 野島昭生 原康義
クリス・チェンバーズ リヴァー・フェニックス 梶野博司 高山みなみ 村上想太
テディ・ドチャンプ コリー・フェルドマン 岩田光央 水原リン 宮里駿
バーン・テシオ ジェリー・オコンネル 大友大輔 亀井芳子 海鋒拓也
エース・メリル キーファー・サザーランド 井上和彦 森川智之 加瀬康之
ビリー・テシオ ケイシー・シーマツコ 堀内賢雄 坪井智浩 小尾元政
デニー・ラチャンス ジョン・キューザック 島田敏 坂口賢一 竹若拓磨
チャーリー・ホーガン ゲイリー・ライリー(英語版) 松野達也 真殿光昭 渡辺英雄
アイボール・チェンバーズ ブラッドリー・グレッグ 吉村よう 高木渉
ビンス・デジャルダン ジェイソン・オリヴァー 星野充昭 吉田孝
ゴーディの父 マーシャル・ベル 小林修 佐々木勝彦 水内清光
ゴーディの母 フランシス・リー・マッケイン 竹口安芸子 定岡小百合 泉裕子
雑貨屋の主人 ブルース・カービー 塚田正昭 稲葉実 星野充昭
マイロ・プレスマン ウィリアム・ブロンダー(英語版) 藤本譲 長島雄一 石住昭彦
グランディ市長 スコット・ビーチ 村松康雄 稲葉実 中博史
DJボブ・コーミア マット・ウィリアムズ 村山明 堀内賢雄
レイ・ブラワー ケント・ラトレル 台詞なし
役名不明  滝沢ロコ 喜田あゆ美

青山穣

佐藤晴男

伊丸岡篤 名越志保 朝倉栄介 船木真人 湊剛 柳宗良

  • フジテレビ版:初回放送1989年8月12日『ゴールデン洋画劇場』
    • 演出:小山悟、翻訳:森みさ、調整:熊倉亨、効果:リレーション、制作:東北新社、担当:宮澤徹/小笠原恵美子(フジテレビ)、解説:高島忠夫
  • VHS・DVD版:1998年7月24日発売のVHSに初収録。
    • 演出:伊達康将、翻訳:森みさ、調整:荒井孝、プロデュース:吉岡美惠子、制作担当:神部宗之/稲毛弘之(東北新社)、日本語版制作:東北新社
  • Blu-ray Disc版:2011年6月22日発売の「製作25周年記念 HDデジタル・リマスター版 ブルーレイ・コレクターズ・エディション」に初収録。
    • 演出:岩見純一、翻訳:税田春介、録音:菊池悟史/荒川恵美子、日本語版制作:ACクリエイト株式会社
  • 金曜ロードショーでは1996年8月9日放送予定だったが、渥美清が死去したのを受けて、『金曜特別ロードショー渥美清さん追悼企画』として『男はつらいよ 寅次郎真実一路』が急遽放送されたために8月23日に差し替えとなり、23日に予定されていた『火垂るの墓』の放送は翌年に延期された。
  • 2021年5月28日の金曜ロードショーにて、視聴者が観たい映画を募り放送する企画「金曜リクエストロードショー」として放送された。

※ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント発売の「吹替洋画劇場」シリーズ「『スタンド・バイ・ミー』 コロンビア90周年記念デラックスエディション」Blu-ray/DVDには本編ディスクとは別に、HD放映版の映像を使用してフジテレビ版とVHS版(ともにノーカット)の吹き替え版を収録した特典ディスクが付属している。

※日本語吹替は上記のほか、ゴーディ役のウィル・ウィートンを浪川大輔が吹き替えたものも存在する 。

スタッフ[編集]

  • 原作:スティーヴン・キング『スタンド・バイ・ミー』
  • 監督:ロブ・ライナー
  • 脚本:ブルース・A・エヴァンス、レイノルド・ギデオン
  • プロデューサー:ブルース・A・エヴァンス、アンドリュー・シェインマン(英語版)
  • 撮影監督:トーマス・デル・ルース(英語版)
  • 音楽:ジャック・ニッチェ
  • 美術:デニス・ワシントン

音楽[編集]

  • エブリデイ(バディ・ホリー)
  • レット・ザ・グッド・タイムス・ロール(シャーリー&リー)
  • カム・ゴー・ウィズ・ミー(ザ・デル・ヴァイキングス)
  • ウィスパリング・ベルズ(ザ・デル・ヴァイキングス)
  • ゲット・ア・ジョブ(ザ・シルエッツ)
  • ロリポップ(ザ・コーデッツ)
  • ヤケティ・ヤック(ザ・コースターズ)
  • 火の玉ロック(ジェリー・リー・ルイス)
  • ミスター・リー(ザ・ボベッツ)
  • スタンド・バイ・ミー(ベン・E・キング)

評価[編集]

映画批評家によるレビュー[編集]

Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「『スタンド・バイ・ミー』はスティーヴン・キングの思いと大人になることの試練の両方を捉えた奇妙な一面を持った思慮深く、ノスタルジックな映画である。」であり、56件の評論のうち高評価は91%にあたる51件で、平均点は10点満点中8点となっている。 Metacriticによれば、20件の評論のうち、高評価は16件、賛否混在は4件、低評価はなく、平均点は100点満点中75点となっている。

その他評価[編集]

2022年に行われ350人が投票に参加した「夏に見たい映画 人気おすすめランキングベスト156作品 洋画編」では見事1位に輝いた。

受賞歴[編集]

部門 対象 結果
第59回アカデミー賞 脚色賞 ブルース・A・エヴァンス

レイノルド・ギデオン

ノミネート
第44回ゴールデングローブ賞 作品賞(ドラマ部門) ノミネート
監督賞 ロブ・ライナー
第39回全米監督協会賞(英語版) 長編映画監督賞 ロブ・ライナー ノミネート

テレビ放送[編集]

回数 放送局 番組名 放送日 吹替版 視聴率 備考
1 フジテレビ ゴールデン洋画劇場 1989年8月12日 フジテレビ版
2 TBS 水曜ロードショー 1991年8月28日
3 日本テレビ 金曜ロードショー 1996年8月23日
4 テレビ東京 木曜洋画劇場 2000年1月6日 8.4%
5 午後のロードショー 2005年1月11日
6 2008年4月1日
7 日本テレビ 金曜ロードショー 2021年5月28日 VHS・DVD版 8.2% 視聴者リクエスト第5弾にて『グーニーズ』と共に選出された。

本作に関係する作品[編集]

  • ゲーム『MOTHER』は子供達が線路に沿って歩きながら旅をするシーンが見られる。
  • ゲーム『ポケットモンスター 赤・緑』で主人公の家のテレビで、同映画と思われる映像が流れている。
  • ゲーム『ファイナルファンタジーXV』では、青春映画としての本作をオマージュするシーンが見られる。


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