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スズキ・アルト

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アルト(Alto)は、スズキのハッチバック型軽自動車(日本国外仕様車においてはAセグメント)のブランド(商標)、および車名である。

概要[編集]

初代はフロンテの商用車版姉妹車として1979年に発売され、軽ボンネットバンブームの火付け役となって大ヒットし、以後、ワゴンRの登場まで、同社を代表する軽自動車であった。アルトシリーズ累計生産台数は480万台以上で2019年(令和元年)5月に初代モデルの発売開始から40周年を迎えており、同年6月現在においてもハッチバック型の主力車種として生産・販売され2016年12月12日に、国内累計販売台数(ラパンを除く)がスズキ車で初となる500万台を達成した。

  • アルト バンALTO VAN ) - 軽ボンネットバン
  • アルト ウォークスルーバン
  • アルト スノーライナー - 実用型4輪駆動モデル
  • ホットハッチ
    • アルト ターボ
    • アルトツインカム12RS
    • アルト ワークスALTO WORKS
    • アルト ターボRSALTO TURBO RS
  • アルト ハッスル - 乗用車/商用車兼用モデル
  • アルト エコALTO ECO) - 乗用車専用モデル

近年[編集]

9代目 HA37S/97S型(2021年 - )[編集]

9代目では、ホットハッチモデルの「ワークス」を廃止、バンも8代目末期で既に廃止となっており、最初から全グレードが5ナンバー(いわゆる軽乗用車)となった。外観は8代目のコンセプトを基本としながらも、ラパンのような丸みを帯びたフォルムに楕円形のモチーフが取り入れられたスタイルとなり、フロントフェイスは一部のグレードにメッキフロントバンパーガーニッシュが採用され、ヘッドランプも一部のグレードにLEDが採用された。8代目同様に最上位グレードにはスポーク形状のアルミホイールが装備される。2トーンカラーは8代目のバックドアから他の一部のスズキ車と同じルーフに、カラーもミディアムグレーからホワイトに変更したホワイト2トーンルーフとなった。また、8代目ではリアバンパーに組み込む形で横型に配置されていたリアコンビネーションランプは7代目以来となるリアバンパーから独立した中央配置の縦型に戻され、8代目ではアンバー色となっていたフェンダーサイドターンランプも7代目以来となるクリアに戻された。内装ではインパネとドアトリムにネイビーが採用され、シートは表皮にデニム調・背面をブラウンとした2トーン仕様とした。

8代目で低くなった全高は再び高くなり、50mm拡大している、それに合わせて、車内高が45mm、フロントドア開口部の高さが20mmそれぞれ高くなった。併せて、室内幅も25mm拡大されたが、最小回転半径は8代目から0.2m大きい4.4mに抑え、小回り性は継承されている。また、バックドア・センターピラー・サイドドアでそれぞれ環状構造を形成する「環状骨格構造」とすることでボディ全体の剛性が向上され、ボディのルーフパネルとルーフメンバーの接合部に高減衰マスチックシーラーを採用したことでこもり音や雨音が低減された。

パワートレインはR06A型エンジン+エネチャージを構成するガソリン車(HA37S型)に加え、R06D型エンジン+ISG(モーター機能付発電機)で構成された歴代のアルトで初となるマイルドハイブリッド車(HA97S型)を新たに設定。加速時にモーターがエンジンをアシストする機能が備わったことで、2WD車はWLTCモードによる燃料消費率で軽自動車No.1となる27.7km/Lを実現し、軽自動車で初となる「2030年度燃費基準95%達成車」となった。なお、トランスミッションは一部のグレードに用意されていた5MTや5AGS(AMT)の設定が無くなり、軽量化と高効率化を実現した新型CVTへ一本化された。

予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」は8代目から強化され、衝突被害軽減ブレーキは夜間の歩行者も検知可能なステレオカメラ方式の「デュアルカメラブレーキサポート」となり、他の装備を含め、全グレードに拡大して標準装備された。エアバッグは運転席・助手席SRSに加え、フロントシートSRSサイドとSRSカーテンを加えた6エアバッグに増強。また、全方位モニター用カメラや標識認識機能を備えたヘッドアップディスプレイのメーカーオプションが追加された。

トレーを助手席インパネやフロアコンソールにも設け、運転席・助手席のドリンクホルダーは紙パックにも対応。大型のスマートフォンも収納可能なインパネセンターポケットを設けるなど収納スペースを充実化させた。オーディオは全車レス仕様が基本となり、日本国内のスズキ車で初となる7インチのディスプレイオーディオをメーカーオプションに設定(グレードにより、バックアイカメラ付又は全方位モニター付となり、USB電源ソケット2個も装備される)。ラジオやBluetooth接続による音楽再生・ハンズフリー通話に加え、設定時に一緒に装備されるバックアイカメラ又は全方位モニターの映像が表示されるほか、燃費や渡航可能距離・エンジン異常などの車両警告情報の表示が可能。さらに、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応しており、スマートフォンとの連携により地図アプリの表示も可能となる。なお、8代目まで標準装備となっていたラジオ付CDプレーヤーは販売店アクセサリーの純正オーディオでの対応となった。

なお、マイルドハイブリッド車については、パワーステアリング・エアコン・電波式キーレスエントリーなどを装備して121.18万円(2023年11月一部仕様変更モデル、10%の消費税込)からの価格設定となっており、かつてアルトとメカニカルコンポーネンツを共用し販売されていた2ドアマイクロクーペのツインに設定されていたハイブリッド車よりも割安となる。

OEM車種のキャロルはアルトから13日遅れの12月23日にフルモデルチェンジを発表。8代目となった。

年表[編集]

  • 2021年
    • 11月25日 - 9代目へのフルモデルチェンジを予告するティザーサイトが公開される。
    • 12月10日 - フルモデルチェンジを公式発表(12月22日発売)。CMキャラクターには波瑠を起用、アルトちゃんは瑚子フローラが演じる。キャッチコピーは「ハロー、新しいエブリデイ!」。
      • グレード体系は8代目から「L」と「S」を継承し、「S」はマイルドハイブリッド車として「HYBRID S」に改名。8代目の2020年10月の一部仕様変更時に廃止されていた最上位グレードの「X」もマイルドハイブリッド車の「HYBRID X」として復活。最廉価グレードに関しては、8代目の「F」とバン「VP」を統合し、法人ユーザー向けを想定した「A」となった。8代目では「S」に設定されていた「アップグレードパッケージ」は「L」の設定へ移行され、ヘッドランプのグレードアップ(ディスチャージからLEDへ変更)とステアリングガーニッシュ以外は内容がすべて刷新され、フルオートエアコン(エアフィルター付)、リアシートヘッドレスト、スモークガラス(リアドア・バックドア)、全面UVカット機能付ガラス、運転席シートリフター、運転席バニティミラーで構成され、2WD車は4WD車では標準装備されている助手席シートヒーターが追加される。また、LEDヘッドランプ、スモークガラス(リアドア・バックドア)、全面UVカット機能付ガラスの3点については、「HYBRID S」にもメーカーオプションにて設定される。「A」は8代目の「F」やバン「VP」同様に一部の装備が簡素化され、リアドアガラスが固定式(開閉機能なし)、ドアミラーが手動式、ドアハンドルがブラック、ホイールがセンターキャップ付のスチールとなる。
      • ボディカラーは8代目(2020年10月一部仕様変更モデル)からフェニックスレッドパール、アーバンブラウンパールメタリック、ピュアホワイトパール(メーカーオプション)、ブルーイッシュブラックパール3、シルキーシルバーメタリック、ホワイトの6色を踏襲し、新規色となるダスクブルーメタリックとソフトベージュメタリックを加えた8色展開。また、前述したホワイト2トーンルーフは「L」の「アップグレードパッケージ」装着車及びマイルドハイブリッド車にメーカーオプションとして設定されており、新規色2色とフェニックスレッドパール、アーバンブラウンパールメタリックの4色が用意される。なお、「A」はダスクブルーメタリック、シルキーシルバーメタリック、ホワイトのモノトーン3色のみの設定となり、ホワイトはガソリン車専用色となる。
  • 2023年11月20日 - アルトラパン、アルトラパンLC、スペーシアベース、クロスビーと共に一部仕様変更(2型、12月13日発売)。法規対応に伴ってメーターパネル内にリアパーキングセンサー作動表示灯が追加されたほか、「HYBRID X」のメーカーオプションである「全方位モニター付ディスプレイオーディオ」や「全方位モニター用カメラパッケージ」に組み込まれているインパネのUSB電源ソケットをType-A 2個からType-A・Type-C 1個ずつに変更。ボディカラーは従来ガソリン車専用色だったホワイトがマイルドハイブリッド車にも設定可能となった。なお、仕様変更や原材料価格の高騰などに伴ってメーカー希望小売価格が改定され、全グレード一律12.1万円(10%の消費税込)値上げされた。

車名の由来[編集]

  • アルト(イタリア語):「( - に)秀でた」または「( - に)優れた」。
  • ワークス(英語):ワークス・チームの意。
  • エポ(英語およびフランス語由来の造語):「エポックメイキング」から。お洒落感・ヨーロッパ感を打ち出すためフランス語の定冠詞「Le」を冠した。

海外仕様車[編集]

日本国外で販売されてきたアルトは日本仕様とは異なる部分がある。

日本国外向けの初代はSS80型となる。これはSS40型フロンテをベースに40psを発揮する直列3気筒796ccエンジンを搭載したもので、ヨーロッパでは1981年から1984年まで販売された。インドではマルチ・ウドヨグ(現:マルチ・スズキ・インディア)によってマルチ・800として、パキスタンではパック・スズキ・モーターによってスズキ・FXとして製造が行われた。

日本国外向けの2代目はCA91/92/CB91/92型(SB308型とも)。CA71/72型フロンテをベースに796ccエンジンを搭載した。インドでは2代目マルチ・800として、パキスタンではメヘラン (Mehran) として生産された。また、中華人民共和国では長安汽車、吉林江北機械廠、湖南江南汽車によって生産された。ヨーロッパでは1984年から1993年まで販売されたが、日本市場向けがCL11型にモデルチェンジしてからはインドからの輸入に切り替わった。

CL11型は大宇国民車(現:韓国GM)が大宇・ティコとして大韓民国、ポーランド、ルーマニア、ウズベキスタンで生産した。中国ではティコが安徽安馳汽車によって「安馳(Anchi)」(MC6330)のネーミングで1994年から2003年まで、および親会社の哈飛汽車によって「百利(Baili)」(HFJ6330E)のネーミングで1999年から2004年まで生産された(エンジンは直列4気筒870cc)。また、エジプトのスペランザ社でもライセンス生産(1996年 - 2008年)された。

1994年から2002年にかけてはセルボモードをベースに1Lエンジンを搭載した車種がヨーロッパ向け3代目アルトとしてインドから輸出された。なお、この車種はインドでは「ゼン」の車名で販売された。

インド市場で最初に「アルト」の車名を冠した車種は2000年に登場した。HA12型をベースに直列3気筒 F8D型 796ccエンジンを搭載しており、新興国向けにはこちらが輸出された。ヨーロッパ向け4代目アルトは直列4気筒 F10D型 1061ccエンジンを搭載したモデルがインドから輸出され、2002年から2009年にかけて販売された。1.1L車はインド向けにも上級グレードとして設定されたが、やがてカタログから落とされ、2010年8月に直列3気筒 K10B型 998ccエンジンを搭載した車種が「アルトK10」としてデビューした。アルトK10もまた新興国向けに輸出されている。HA12型はパキスタンでも製造が行われていたほか、コロンビアではゼネラルモーターズによって現地組立が行われてシボレー・アルトとして販売された。

2022年8月18日には、インド市場向けのアルトK10がフルモデルチェンジを発表し発売された。外観はヘッドランプを大型化し、フロントグリルは大型のハニカムパターンを採用。内装はグレーを基調にベージュのアクセントが採用され、オーディオユニットをフローティングデザインとした。7インチのディスプレイオーディオ「SmartPlay スタジオインフォテインメントシステム」が採用され、Apple CarPlayやAndroid Autoといったスマートフォンとの連携機能にも対応。スピードメーターをデジタル表示とし、インパネにフロントパワーウィンドウスイッチを備え、リモートキーレスエントリーが装備された。エンジンはK型エンジンの新世代型でデュアルVVTを備えた「デュアルジェットエンジン」へ換装され、トランスミッションには5MTに加えてAGS(オートギアシフト)が追加された。

関連項目[編集]

  • スズキ・アルトラパン - アルトベースの女性向け派生車種。
  • スズキ・フロンテ - 当初のこちらからの派生車種だったが、のちに当車に統合された。
  • スズキ・セルボ ー 同一プラットフォーム採用車
  • スズキ・マイティボーイ ー 初代と同一プラットフォームを採用
  • スズキ・ワゴンR - 同一プラットフォーム採用車。
  • スズキ・ツイン - 5代目と同一エンジンを搭載。
  • スズキ・パレット ー 7代目と同一プラットフォームを採用。
  • マルチ・800 - 2代目ベースのインド市場向けの車種。
  • 大宇・ティコ - 3代目ベースの韓国現地生産車。
  • スズキ・セレリオ - かつてアルトと名乗っていた日本国外向けのAセグメント車。
  • マツダ・キャロル - 5代目以降のOEM車。OEM供給開始までは自社生産されていた。
  • 日産・ピノ - 6代目のみのOEM車。
  • 光岡・レイ - 5代目のOEM車。
  • スズキ・アルトK10 - アルトの海外仕様
  • ダイハツ・ミラ - 本車と同じく消費税導入に伴い、先発の姉妹車を車種統合したが、こちらは本車とは違い、先発の姉妹車の名前が輸出仕様として近年まで使われていた。


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