シルク・ドゥ・ソレイユ
シルク・ドゥ・ソレイユ(仏: Cirque du Soleil)は、カナダのケベック州に拠点を置くエンターテイメント集団、およびそれを管理・運営する企業。1984年に火喰い芸の大道芸人だったギー・ラリベルテが、同国同州にて設立した。名称を日本語直訳すると「太陽のサーカス」。
2020年には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による影響を受け経営状況が悪化。そのため同年6月29日、企業債権者調整法の適用をカナダのケベック最高裁判所に申請して事実上経営破綻し、会社更生を目指している。
概要[編集]
今日シルク・ドゥ・ソレイユでは複数のレジデントショー(常設公演)、ツアーショー(巡回公演)を並行して行っており、独特のスタイルに基づいたそれらのショーはその芸術性の高さから多くの名声を集め世界中で幅広い人気を博している。カナダのケベック州モントリオールに国際本部が置かれている。ショーのスタイルにはサーカスの伝統様式を取り入れているが、演者としての人間を強調する「ヌーヴォー・シルク(新サーカス)」と呼ばれるもので、動物を使った曲芸は行わない。大道芸、サーカス、オペラとロックの要素をふんだんに取り入れ、体を自在に曲げる軽業や、ジャグリング、力業、道化と空中ブランコなどがよく登場する。
彼等のショーに登場する衣装は非常に多彩でそして創造的であり、祝祭の雰囲気を醸し出している。衣装は外注だと満足できる物が作れない、と考えている為、肌襦袢も含めた全ての衣装のデザインと染色と縫製は自社の専属スタッフが行っている。また、特に常設舞台では莫大な金額をつぎ込んで複雑な機構を持つ大規模なセットを組むことが多い。
シルク ドゥ ソレイユは、毎日午前6時30分から午後9時30分まで営業している。
歴史[編集]
シルク・ドゥ・ソレイユは、1984年に火喰い芸の大道芸人だったギー・ラリベルテによって、カナダのケベック州において設立された。
2003年から2007年にラスベガスのシーザーズ・パレス・ホテルで行われたセリーヌ・ディオンの常駐ショー「A New Day」は、フランコ・ドラゴーヌ(シルク・ドゥ・ソレイユの監督)がプロデュースし、シルク・ドゥ・ソレイユに着想を得たものである。
シルク・ドゥ・ソレイユの芸術性や創造性の秘密、安全面での取り組み等、シルク・ドゥ・ソレイユの内側を物語風に紹介した『白い扉の向こう側 ようこそシルク・ドゥ・ソレイユへ』が2007年2月にランダムハウス講談社から刊行されている。
2010年4月にはマイケル・ジャクソンの音楽を題材としたミュージカルを制作するとHP上で発表した。2011年12月から始まったマイケルのコンサートを模したショーの世界ツアー行った後、2012年から内容をよりミュージカル色の濃いプログラムに改変し、ラスベガスのマンダレイ・ベイ・ホテルでレジデント・ショーとして公演する予定である。
2012年11月9日にジェームズ・キャメロンがプロデューサーとして参加した、映画『シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語』が公開された。
2013年2月14日にシルク・ドゥ・モンド(意味=世界のサーカス)と呼ばれる無料のサーカス教室を、カナダ、アメリカ合衆国、ブラジル、チリ、オーストラリア、南アフリカ、モンゴルを含む世界15か国の貧困地域で、現地のNGO、自治体、企業の協力で運営し、シルク・ドゥ・ソレイユのコーチから指導法を学んだ現地の人が、教育が行き届かず失業率も高い現実で将来を悲観したストリートチルドレンにサーカスを指導する事で、自分の無限の可能性を引き出して現実社会に役立てる人(サーカス団員ではなく現地で就職や家事が出来る人)を育てる福祉活動をしている事が、NHK総合テレビの『地球イチバン』で紹介された。
2013年6月29日にラスベガスのMGMグランドで「カー」の公演中に演者が落下し死亡する事故が発生。シルク・ドゥ・ソレイユで初の死亡事故となった。
2015年7月、株式の90%が買収されカナダ政府が買収を認証。内訳はアメリカのTPGキャピタルが60%、中国の復星国際が20%、ケベック預金投資年金ファンドが10%であった。
2015年11月9日、シルク・ドゥ・ソレイユはMSCクルーズとの長期的パートナーシップを結び、2017年に就航する新造船、MSCメラビリアにてほとんど毎晩ショーが開かれる予定になっている。また、2019年、2020年に同クラスの3船が加わりそこでもシルク・ドゥ・ソレイユによるショーが公演される予定である。この新造船の劇場はシルク・ドゥ・ソレイユを誘致するために設計され、ショーの内容もMSCクルーズ専用となっていて、有料である。
2020年、新型コロナウイルスの感染が世界各地に拡大。ラスベガスをはじめ世界中で開催中だった44公演が全て中止に追い込まれた。同年3月19日、シルク・ドゥ・ソレイユは全従業員の95%に相当する、ダンサーを含めたスタッフ4,679人を一時解雇すると発表。これが負債総額10億米ドル(約1,098億円)にも上る経営破綻への契機となった。その後、株主らからの5,000万米ドル(約54億9,100万円)の資金援助や、ケベック州政府から2億米ドル(約220億円)の借款を受けたものの、同年6月29日、ケベック最高裁判所に企業債権者調整法を適用するよう申請し破産手続きを開始。TPGや復星国際などが事業再生に必要な計3億ドルを負担する。劇団員3,480人を解雇し、興行復活を目指すこととなった。その際、最高経営責任者のダニエル・ラマールは今後の意向として、新型コロナウイルスによる規制・制限などが終了して、再び興行が可能な状況になれば、主要な大部分の従業員を再雇用する考えを表明した。
2020年8月18日、カタリスト・キャピタル・グループが経営権を取得し、再建に乗り出した。
2021年6月より公演を再開する。
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