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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(英語: Creative Commons license、略称: CC license)とは、クリエイティブ・コモンズが定義する著作権のある著作物の配布を許可するパブリック・ライセンス(英語版)の一つである。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスおよびパブリック・ドメイン・ツールが使用されるのは作者が自作品を他者に共有、使用、二次創作の権利を付与する場合である。ライセンスとツールは作者の求める誓約を柔軟(例として自作品を非商用のみでの使用許可を選ぶことが出来る)に提供し、いくつかの頒布条件の異なるライセンスを提供している。

標記[編集]

全てのライセンスおよびツールはコモンズ証、リーガル・コード、デジタル・コードの3つのフォーマットで標記される。

コモンズ証(英: Commons Deed)は、ライセンスおよびツールの法的な誓約を法律家ではない利用者にユーザーフレンドリーに表した標記である。この標記はライセンスの誓約を表す名称およびアイコンで表現される。標記はライセンスの誓約に基づく概要を含み、作品の作者および利用者が作品を利用する上で求められる誓約を法律家のような専門的な知識がなくとも理解できるものとなっている。ただし、それ自体がライセンス条文の法的な定義を持つものではなく、法的な定義はリーガル・コードによって標記される。コモンズ証のアイコンはパブリックドメインの下で公開され、ウィキメディア・コモンズでも再頒布されている。

リーガル・コード(英: Legal Code)は、ライセンスおよびツールの法的なライセンス条文を文書化した標記である。ライセンス条文は英語で記述され、作品を利用する上での著作権を含む権利の扱い、誓約に従った作品の利用指南が文書として記述されている。全てのライセンスおよびツールのリーガル・コードはクリエイティブ・コモンズの公式サイトで公開されている。リーガル・コードはクリエイティブ・コモンズ関連団体により他国語に公式翻訳されたものが存在する。

デジタル・コード(英: Digital Code)は、ライセンスおよびツールをソフトウェアが識別するためのRDF、XMP、もしくはより低レベルのファイルフォーマットで表した標記である。検索エンジンが作品を探す、楽曲プレイヤーが演奏する、画像または動画プレイヤーが表示するなどの際に作品のライセンスを識別し、ソフトウェアが誓約に従った適切な制御をするために用いられる。この標記はccREL(英語版)(Creative Commons Rights Expression Language)として標準化されている。

規定領域[編集]

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスおよびパブリック・ドメイン・ツールの下で公開された著作物は適用できる著作権法に準拠し、ライセンスおよびツールは書籍、演劇、映画、音楽、記事、写真、ブログ、ウェブサイトといった著作権の概念があるすべての著作物に適用させることが出来る。ただし、クリエイティブ・コモンズはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスをソフトウェアに適用させることは推奨していない。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、一つ以上のライセンス条項の組み合わせで広い範囲を対象としたライセンスを提供する。

利用条件[編集]

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスには、基礎的な権利と4つの選択可能な条項が存在する。

基礎的な権利[編集]

基礎的な権利(英: Baseline Rights)は全てのライセンスに必ず含まれるライセンサーおよびライセンシーに提示される権利である。

全てのライセンスは作者に、著作権の帰属、作者の所属、そして他の人たちのフェアユース、ファーストセール(英語版)、表現の自由にライセンスが影響を与えないことを手助けする。

全てのライセンスはライセンシーに、ライセンサーが制限していることをする場合はライセンサーの許可を要すること、作品の全ての複次著作物において如何なる著作権表示を残すこと、作品の複製物が作品のライセンスへ紐付けられること、ライセンス条項を変更しないこと、他作者の作品の使用を制限する技術を使用しないことを要求する。

全てのライセンスは、少なくとも非営利において、ライセンス誓約の条件に従うライセンシーに、作品を複製すること、作品を頒布すること、公的に掲載もしくは演奏すること、ネット配信などのデジタルパフォーマンス(英語版)をすること、作品を逐語的な複製品として別の形式に変換することを認める。

全てのライセンスは、世界的に適用し、作品の著作権の存続期間中は存続し、取り消しは不可能であり、非排他的であり、クリエイティブ・コモンズは合意の当事者ではなく作品の品質を保証せず、原作者と二次著作物利用者の間でも誓約を引き継ぐ。

バージョン履歴[編集]

2002年12月15日、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス バージョン1.0がリリースされた。

2004年5月24日、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス バージョン2.0がリリースされた。バージョン2.0では、BY条項を含まないライセンスの利用率が非常に少ないことからBY条項を必須とした。著作権表示のためのURL等を用いたリンクバック(英語版)の適切な用法を明確化をした。シンクロ権(英語版)の扱いを明確化した。その他、楽曲に関わる権利、例えばNC条項を付与しても音楽著作権管理団体からロイヤリティを回収する権利を残す、営利目的の再利用を許可する場合は利用者の収入源を定める排他的な権利を放棄するなど、を明確化した。デューディリジェンスモデルのリスク回避のため題目、商業性、適切性を否定する表現を含めた。SA条項の誓約が、同一ライセンス、同じライセンスの最新バージョン、iCommonsの認める同等誓約ライセンスに適用できることを明確化した。また、SA条項の作品の併用においてCC BY-NC-SAとCC BY-SAに互換性は持たせない(それらの作品を併用できない)など、複数種類のライセンスの互換性について検討がなされた。

2005年6月、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス バージョン2.5がリリースされた。バージョン2.5では、必須となったBY条項の扱い方についてマイナーバージョンアップとして見直した。

2007年2月23日、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス バージョン3.0がリリースされた。バージョン3.0では、USライセンスからの総括的な分離をし、世界的に汎用可能な「非移植(英: Unported)」ライセンスを定義した。DRM(Digital Rights Management)およびTRM(Technical Protection Measures)に関わる「利用の自由(anti-DRM)」と「権利の保護(DRM)」の両立場での観点から改善が試みられた。ただし、この分野を詳細に言及することはライセンスを複雑化させて不便なものにすると判断し、簡潔な表現で纏めるに留まった。

2009年1月16日、CC0 バージョン1.0がリリースされた。2007年からCC0の策定は始められていた。

2010年10月11日、パブリック・ドメイン・マーク バージョン1.0がリリースされた。

2013年11月25日、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス バージョン4.0がリリースされた。バージョン4.0では、各国語版ライセンスを各国法律に合わせた「移植(英: Porting)」ではなく、原文のままを用いる「翻訳」としてライセンスを全世界の共通のもの(「国際」(International))とした。データベース権のような著作権法外で規定される権利の扱いを明確化した。BY条項の求める著作権表示の共通理解を示した。作者が求めるならば、著作権表示の誓約をより柔軟に緩めることを可能にした。ライセンス違反に際して30日間の是正猶予期間を設けた。

利用事例[編集]

クリエイティブ・コモンズはGlobal Affiliate Networkを通してクリエイティブ・コモンズ・ライセンスが利用可能な地域の展開を進めている。

クリエイティブ・コモンズは、2011年6月にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを利用したプロジェクトやクリエイターの活動をまとめた世界各国の事例集『The Power of Open』をリリースした。

ウィキメディア財団は、2005年9月25日以降にウィキニュースへ投稿されたテキストを「CC BY 2.5」を採用した。2009年6月15日以降は、ウィキペディアなどその他のウィキメディア・プロジェクトでも「CC BY-SA 3.0 Unported」を採用した。

日本の文化庁は、2013年3月に策定を検討していたCLIPシステム(CLIPライセンス、自由利用マーク)の計画を破棄し、著作物の利用許諾について意思表示するライセンスとしてクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを支援すると表明した。

非公式ではあるが、合衆国最高裁判所の口頭弁論はOyezプロジェクトでクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下、オーディオファイルとして公開されている。

他の採用事例としては、学術分野ではオープンコースウェア、カーンアカデミー、セイラーアカデミー(英語版)、アナトモグラフィーがある。メディアコンテンツ分野ではccMixter、openphoto.net、flickr、Freesound、OpenGameArt.org、Jamendoがある。ソーシャルネットワーク分野ではknol、Citizendium、Identi.ca、マッシュルーム・オブザーバー(英語版)、アソシエーション・フォー・プログレッシブ・コミュニケーション(英語版)がある。



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