キー局
キー局(キーきょく、キー・ステーション(英: key station))とは、番組放送におけるネットワーク/系列の中心となる放送局のことである。
ここでは主に、日本の民間放送(民放)系列について説明する。
概説[編集]
日本のテレビ放送については、東京都内に所在する5つの主要放送局(在京テレビジョン放送局)である日本テレビ放送網・テレビ朝日・TBSテレビ・テレビ東京・フジテレビジョンを指す。
ラジオ放送についてもほぼ同様で、東京都内に所在する5つの放送局であるニッポン放送・文化放送・TBSラジオ・エフエム東京・J-WAVEを指す。ラジオネットワークも参照。
一般的には「キー局」と表記されるが、関係業界では「キイ局」の表記もしばしば用いられる。また、いずれの本社も東京都港区に所在することから在京キー局・東京キー局とも呼ばれる。
テレビ放送におけるキー局は自ら番組を制作し、ネットワーク系列を通じて全国各地方における放送局(ローカル局)に番組の卸売り(番組販売、番販)を行うほか、番組供給にあたって自ら募ったスポンサーによる広告料の分配を行っている。ローカル局も番組制作や番販を行っているが、キー局制作番組の割合は非常に大きく、2002年度のテレビ番組総売り上げの多くはキー局からのものである。さらに、TBSとFM局を除きそれぞれの全国紙の系列新聞社(読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日経新聞・産経新聞)とも強い資本関係で結び付いており、メディアにおける影響力が強い(クロスオーナーシップ)。
なお、キー局子会社によるCS放送やインターネット配信も発達しており、直接日本全国に小売を行うようになり、キー局の定義はやや変容している。また、主に大阪府大阪市に所在する在阪テレビジョン放送局の4局(毎日放送・朝日放送テレビ・関西テレビ放送・讀賣テレビ放送)は準キー局と呼ばれ(テレビ大阪や、より広義に捉えて在名テレビジョン放送局5局の計6局を含める場合もある)、キー局に準ずる立場にある。
全国紙・テレビ・スポーツ紙資本関係一覧[編集]
新聞社 | 主資本放送局(在京キー局) | 主資本スポーツ新聞社 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
テレビ局(ニュース系列) | ラジオ局 | |||
読売新聞社 | 日本テレビ放送網(日本ニュースネットワーク) | (アール・エフ・ラジオ日本) | スポーツ報知 | |
朝日新聞社 | テレビ朝日(オールニッポン・ニュースネットワーク) | なし | 日刊スポーツ | |
毎日新聞社 | TBSテレビ(ジャパン・ニュース・ネットワーク) | TBSラジオ | スポーツニッポン | |
日本経済新聞社 | テレビ東京(TXNネットワーク) | 日経ラジオ社 | なし | |
産業経済新聞社 | フジテレビジョン(フジニュースネットワーク) | ニッポン放送
(文化放送) |
サンケイスポーツ
(夕刊フジ) |
定義[編集]
地上波による放送を行う放送事業者には、自身の開設する放送局の放送対象地域(放送法第2条の2、第2項第2号の総務省令で定める放送の区分ごとの同一の放送番組の放送を同時に受信できることが相当と認められる一定の区域)が定められており、一部の例外を除けば全国放送は行えないため、他の放送対象地域に放送局を開設する放送事業者とネットワークを組み、ニュースや放送番組の交換を行っている。このネットワークへ多くの放送番組を送り出す局がキー局である。
ネットワークへ多くの放送番組を送り出す局はおおむね、東京都の特別区(東京23区)に所在する広域放送局であったことから一般に「在京キー局」などと呼ばれており、全国(より正確には全国的な広範囲)向けの番組を多く送り出している。また、日本では事実上、ネットワークごとに報道用素材の交換を目的としたニュース系列がともに機能しており、報道番組や素材もおおむねキー局を通じて全国に配信している。
歴史的には、日本の民間放送は東京以外の地方から発展したが、番組製作にかかる莫大な資金やスポンサーの調達を経済が集中する東京が主に担うようになり、在京局がキー局の役割を持つようになった。テレビ放送においてはキー局は番組製作とスポンサー集めを一括して行い、地方局へは「ネット保証金」を支払った上でCMも含めて放送するという形態を取るようになったが、このような形態をネットワークセールス枠と呼んでおり、テレビではプライムタイムのほとんどの番組がこの形態となっている。