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カメ

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カメ(亀)は、爬虫綱カメ目(Testudines)に分類される生物の総称。

概説[編集]

カメ目は、多様な爬虫類グループの中でも比較的早期の約2億1000万年前(中生代三畳紀後期)に出現し、甲羅を本格的に発達させたことで特徴づけられる一群で、現代まで継続して繁栄している。ヒトの出現、乱獲によって絶滅した種、あるいは危惧される種があるが、それでも、グループ全体としては水・陸の両域で多様性を維持している。

文化的側面で言えば、亀は、堅い守りの象徴である一方で鈍重を揶揄する語として使われる。また、歩みの遅さではなく着実さを肯定的に捉える場合には、実直さや勤勉さなどを褒めるための比喩となる。古来、中国やインドでは神獣として扱われ、中国文化の影響下にあった地域では吉兆とされる。

形態[編集]

基本的な構造は、四肢動物の基本から大きく逸脱するものではない。ただし、その胴部がはっきりした甲羅を構成する点が最大の特徴となっている。これは、内部構造では脊椎骨、肩胛骨、肋骨、胸骨などが互いに密着して箱のような構造をなしている。また外側ではブロック状に並んだ板によって外見的な甲羅が形成されるが、これは二次的に退化したものもある。甲羅は腹面、背面、側面で閉鎖されており、前側の窓から頭部と前足、後ろ側の窓から後ろ足と尾が出る形になっている。このように四肢帯が肋骨に囲まれているのは脊椎動物ではこの類以外になく、現生爬虫類中でもっとも特殊化した形態である。

大きさ[編集]

本目の構成種は甲羅に頸部や尾を収納する種が多いため、頭胴長(体長)や全長を測ることが難しい。そのため背面の甲羅(背甲)の直線距離(背甲長、単に甲長とも)で大きさを表す。現生の最大種はオサガメで最大甲長183センチメートル以上。最小種はシモフリヒラセリクガメで最大甲長9.6センチメートル。

大型種としては、コガシラスッポン属(インドコガシラスッポンは甲長140cm)、アルダブラゾウガメ(甲長120cmで体重300kg)、現生最大のウミガメであるオサガメ(甲長約200cm、重さ900kg以上)などを挙げることができる。

過去の絶滅種には全長4mに及ぶウミガメであるアーケロン(Archelon spp.。最大甲長1.9m。中生代白亜紀、米国)や、最大甲長でそれを上回る淡水棲のヨコクビガメ類であるスチュペンデミス・ゲオグラフィクス(Stupendemys geographicus。全長約4m、最大甲長約2.35m、最小甲長約1.8m。新生代中新世トートニアン、ベネズエラ)などの大型種が存在した。有史以前にはリクガメ属の仲間やメイオラニアなど、2.5mを超える種が世界中の比較的広い範囲に分布しており、南北アメリカやオーストラリア、アフリカなどに棲息していたことが知られている。

二次性徴[編集]

オスとメスの大きさは同じか、多くの種ではメスのほうが大型化する。極端な例としてはカンムリガメが挙げられ、17.5cmにとどまるオスの最大甲長に対し、メスでは61cmに達する。

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Neck retraction

潜頸類(Cryptodira)

曲頸類(Pleurodira)

潜頸類(←)と曲頸類(→)の骨格の動き

多くの種は頸椎を垂直または水平方向に曲げることで頭部を甲羅に収納できるが、頭部を甲羅に収納することができない種もいる。 原始的カメであるプロガノケリス類をはじめとして最初期に棲息していたカメ類は、頭部を収納できず、棘で武装するという違う方向性での進化を見せていた。しかし、その後のカメ類の進化は頭部と四肢を甲羅に中に納める方向に向かった。

ここで、収納を実現するために曲頸類のカメがとった方法は、上下の甲羅の間に頸を横向きにして折り畳み、挟み込むように納める「曲頸(きょくけい)」である。しかし、曲頸では、収納に成功してはいても頭部と頸部の半分が露出しており、完全に保護できているわけではない。

一方、遅れて出現した潜頸類のカメがとった方法は、頸を垂直方向にS字形に湾曲させて文字どおり中に押し込めるように収納する「潜頸(せんけい)」である。世界中の棲息地で曲頸類は潜頸類に取って代わられていった。

海棲に進化したものは、海に適応するにしたがって頭部を収納する必要がなくなり、退化的進化を遂げたものである。進化については、「#進化」も参照。

オオアタマガメは潜頸類であるが、巨大な頭部を持つため、それを甲羅に納められない。また絶滅種であるメイオラニアも頭部を甲羅に納められなかった。

頭部[編集]

水棲カメの眼は横側についているものも多いが、陸上で暮らすカメの多くは、対象を見下ろせるように眼が前方についている。カミツキガメやスッポンのような水棲カメの一部では、頭の上部付近についている。これらの種は、浅い水の中に眼と鼻孔を除く体全体を潜めて天敵から身を隠すことができる。ウミガメは、眼の近くに塩分を含む涙を作る涙腺を具えていて、飲んだ海水から得た体内の過剰の塩分を排出することができる。カメの網膜には、通常ほかの生物に見られるよりも多くの桿体細胞があるため、非常に夜目が利くと考えられている。また、近紫外線(UV A)から赤にわたる範囲に感度がある錐体を持っている。

草食性のリクガメの一部は、素早く動く餌を追跡して狩るための俊敏さが無いが、肉食性のカメは、頭部を素早く振ることができる。現生種では歯がなく、顎は角質の鞘(嘴)で覆われる。この硬い嘴(くちばし)を具えた顎を用いて餌を切断したり咀嚼したりする。餌を呑み込むためにカメは舌を用いるが、トカゲやヘビなどの他の多くの爬虫類に見られるように舌を突き出してペロリと食物を捉えることなどはできない。植物食の種では硬い植物を噛みきれるように嘴に鋸状の突起がある種や、動物食の種では獲物を切断できるように嘴が薄く刃物状になった種もいる。また嘴が幅広く、硬い食物を噛み砕くことができる分類群もいる。

甲羅[編集]

カメの形態上の最大の特徴は、甲羅を持つことである。甲羅は脊椎や肋骨と一体の甲板(骨甲板)と、鱗からなる甲板(角質甲板)の2つの甲板で構成される。腹甲の一部は鎖骨や肋骨が変形したとされる。骨甲板と角質甲板の継ぎ目がずれており、強度をあげている。

カメの甲羅(骨甲板)は肋骨や背骨のみが変形してできたとする説と、肋骨や背骨が「皮骨」と融合してできたという説とがあった。しかし2013年、理化学研究所は、カメの胚の発生プロセスの組織学的な解析と三畳紀の化石の調査により、カメの骨甲板は肋骨だけが拡張・変形して進化してきたことを立証したと発表した。ワニやアルマジロなど他の脊椎動物の装甲は、真皮層で形成された皮骨という組織からなるが、カメの背甲の板状の骨は肋骨が作られたのち骨膜が拡張し、その骨膜内で形作られるもので、その形成は真皮より下の結合組織内で起きるというものである。

角質甲板は以下のように多くのパーツから構成されている。分類群によってこれらの有無や数が決まっているが、発生時の環境や外傷、疾病などにより奇形を生じることもある。

背甲(carapace)
背面にある甲羅。
項甲板(nuchal、precentral、または、cervical)
背甲の頭部側の先端にある左右の縁甲板をつなぐ甲板。これが無いカメもいるので、識別の重要なポイントになり得る。
椎甲板(vertebral、または、central)
脊椎の上部にある甲板。多くのカメでは5枚。前から第一椎甲板、第二椎甲板、…、第五椎甲板と呼ぶ。
肋甲板(pleural、costal、または、lateral)
背甲の肋骨(人間と違い、肩帯から腰帯まで覆う)上部にある甲板。椎甲板の左右に4対ある。
縁甲板(marginal)
背甲(背面だけでなく腹面も含めて)の外縁を覆う12対ある甲板[要検証 – ノート]。ワニガメでは肋甲板との間に上縁甲板があり原始的な特徴とされる。分類群によっては最も後部にある臀甲板が癒合し1枚(臀甲板と呼称されることもあるが一般的でない)になる。
臀甲板(prostcentral、caudal、または、supracaudal)[要検証 – ノート]
背甲の最も尾側にある縁甲板。第十二縁甲板は特別に臀甲板と呼ぶ。種類によって、左右1対か融合して1枚になっている。臀甲板が1つのことを「第十二縁甲板は融合している」、2つのことを「第十二縁甲板は分かれている」ということがあり、種の識別に役立つ。
上縁甲板(supramarginal)[要検証 – ノート]
ワニガメには肋甲板と縁甲板の間に上縁甲板(supramarginal)がある。
腹甲(plastron)
腹面にある甲羅。いくつかの属や種では甲板の間に1、2つの蝶番状の構造があり可動することができる。
間喉甲板(intergular)
、ヨコクビガメ科、ヘビクビガメ科などの、喉甲板の上か間、肩甲板・胸甲板の間に存在することがある。


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