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カブトムシ

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カブトムシ(漢字表記は「兜虫」もしくは「甲虫」、学名:Trypoxylus dichotomus)は、コウチュウ目コガネムシ科カブトムシ亜科カブトムシ族カブトムシ属 Trypoxylus に分類される昆虫の種。より広義にはカブトムシ属を含むカブトムシ亜科 (Dynastinae) に分類される昆虫の総称だが、この項では種の標準和名としての狭義のカブトムシを扱う。本州以南の日本を含む東アジアに分布する。

大型のカブトムシ類としては東アジアを代表する種である。また日本を代表するコガネムシとする文献もある。日本では成虫は夏に発生し、クワガタムシとともに子供たちから人気を集めている昆虫である。成虫は夜行性で、クヌギ・コナラなどの樹液に集まり、幼虫は腐葉土や軟らかい朽木などを食べて成長する。ゲノムサイズは約7億塩基対 (700 Mbp) 。

名前の由来[編集]

「カブトムシ」の和名は、オスにある1対の角が兜の正面の飾り(前立て)に似ていることが由来である。漢字で「独角仙」と表記されることもある。「カブトムシ」は京都方言が全国的に採択されたもので、江戸時代には平家ムシ(豫州)、枇杷ムシおよびヤドヲカ(勢州)、オニムシ(仙台)、ツノムシ(和州)、サイカチムシ(江戸)などの地域名があった。『物類称呼』によれば「サイカチムシ」の名前は、「皀莢〔サイカチ〕の樹に住むし也」という。

学名(種名)の属名 Trypoxylus は「木に穴を穿つもの」の意味で、酷似した属名にはハチのジガバチモドキ属 Trypoxylon がある。種小名 dichotomus は角の形に由来し、「二つに分かれた角」の意味である。旧属名の Allomyrina は、ギリシャ語で「他の」を意味する allo- と Myrina 、すなわち「もう一つの Myrina 属」という意味である。これはカブトムシが当初 Myrina と命名されたものの、シジミチョウの Myrina に先取されていたため改訂されたもので、 Myrina は神話のミュリーネー(女武者 Amazon の一人、もしくはレームノス王 Thoas の妻 Myrina )に由来するものとする説、もしくは南欧産のフトモモ科植物ギンバイカ myrinē に由来するとする説がある。

分布[編集]

日本では本州・四国・九州に分布するほか、日本国外では台湾・朝鮮半島・中国・インドシナ半島に分布する。本来の北限地は青森県とされ、ブラキストン線を越えた先にある北海道には元々分布していなかった。しかし、北海道でも人為的に持ち込まれたものが1970年代から移入種として定着している(後述)。

標高1,500メートル (m) 以下の雑木林などに生息するが、低地から低山地に多い。日本本土ではどちらかというと原生林よりも二次林(特に里山的環境)に多く生息するが、これは成虫の餌である樹液を出すクヌギ・コナラなどの樹木が多いことや、農家が落ち葉から作る堆肥が幼虫にとって適した餌となるためであると考えられている。日本の東海地方では人間が農業を始めるまで、カブトムシはシイ・カシ・タブノキなどの原生林で細々と暮らしていたが、人が薪炭やシイタケ栽培の原木(ホダ木)の原料として、クヌギ・コナラ・アベマキなどといったカブトムシの成虫が好む樹液を出す木を利用するため、伐採や下草刈りなどを行ってこれらの樹種による雑木林を維持してきたことや、雑木林の近くで畑の肥料として用いる堆肥を作るようになったことにより、幼虫の餌場が形成されたこと、またシイタケ栽培の副産物となるクヌギの朽木も幼虫の餌として提供される形となっていることが要因となり、人が作る里山環境の中で繁栄していったと考えられている。カブトムシ類は幼虫が朽木を食べて成長するため、森林に生息する種が多いが、本種以外のカブトムシ族 Dynastini は熱帯、その中でもやや標高の高い山地の熱帯林に生息する種類が多く、雑木林など人里に多い本種は世界的に見れば珍しい生息傾向を有するとされている。一例として愛知県名古屋市では都心部に相当する中央部台地一帯から、東部丘陵地の公園・緑地で観察されている。

形態[編集]

本種は、その巨体、怪力と威容から、「昆虫の王様」とも呼ばれ、クワガタムシと並び人気の高い昆虫である。体長はオスの場合、頭角を除いて19 - 57 mmもしくは27 - 59 mmで、メスの場合は19 - 52 mmもしくは33 - 53 mm。オスの場合、頭角を含めた全長は23 - 88 mmとなる(後述)。かつては日本最大の甲虫とされていたが、沖縄本島北部で発見されたヤンバルテナガコガネが1984年に新種として記載され、その座を譲った。

体色は雌雄ともに赤茶褐色から黒色である。体色は個体差があり、赤みの強い個体を長期間飼育していても黒っぽくはならないことから、先天的・遺伝的なものと考えられている。屋久島の個体群(後述)はほとんどの個体が赤色系である一方、タイの個体群はほとんど黒色であるとする文献がある。体は厚くて楕円形で、頭部は小さい。

オスの頭部には大きな角があり、さらに胸部にも小さな角がある。メスの体はオスより一回り小さい。メスは角を有さないが、頭部には小突起があり、全身を微毛で覆われる。また、メスの前胸背板の中央には縦溝があることが多い。

カブトムシは主に広葉樹樹幹の垂直面で活動し、付節先端の爪のみが樹皮上での占位に使用される。

オスの角[編集]

オスの角は外骨格の一部が発達したもので、オス同士の闘争(後述)の際に武器として使用される。

頭部の角(頭角)は先端部分がY字型に分岐するが、中型・大型個体では前胸背板より長く、かつY字型に分岐した先端がさらにもう一度二叉するため、尖端は4つとなる。胸部の角(胸角)は通常、頭角の3分の1程度の長さで、分岐した先端が尖る。頭角の長さは必ずしも体の大きさに比例するとは限らず、角が長くなる「長角型」と短くなる「短角型」の2型が存在することが判明している。藤山静雄・近野匡生が長野県松本市でオス成虫95個体を採取してそれらの角の長さを測定したところ、角の長さは10 - 34 mmまで分布するが、20 mm前後を境に2山型の分布が存在する(短角型は14 - 20 mm、長角型は24 - 32 mm程度が多い)ことが判明している。なお、角は長いほどオス同士の闘争の際に有利になる反面、タヌキやハシブトガラスといった天敵に捕食されるのを避けるには短い方が有利であることが研究で明らかになっている。角の大きさは、幼虫時の栄養状態の優劣と、遺伝により決定される。また、大きなオスが立派な角を持つ一方で、小さなオスは角への投資配分を下げ他の部位に投資することが知られており、特定のサイズでこの配分が変化することが明らかにされている。ノコギリクワガタなどクワガタムシの一部の種のような非連続変異やコーカサスオオカブトのような体格に比例しない長短変異は示さない。

本郷儀人は、本種と南アメリカに生息するヘラクレスオオカブト(本種とは逆に胸角が頭角より長く、相手を挟み込むのに向いている)の角の形状の違いについて考察し、本種の場合は樹上という比較的開放的な空間で闘うことから、相手を投げ飛ばすことが相手を排除する最も有効な手段となるため、投げ飛ばしに特化した形状の角を持つように進化したという仮説を提唱している。

体長[編集]

「体長」については文献により、オスの頭角を除く長さを指す場合と、頭角を含む長さを指す場合の両方がある。カブトムシの種ごとに最大個体の記録を集計し、その最大記録に関するコンテストを季刊誌『BE・KUWA』誌上で行っているむし社では、頭角もしくは胸角の先端から上翅の先までの長さを「最大体長」と位置づけている。本種の場合は頭角の先端から上翅下端までが「最大体長」であり、野外採取個体・飼育個体のどちらでも応募を受け付けているが、生体では正確な計測ができないことから、「最大体長」の応募は標本のみ受け付けている。また『学研の図鑑LIVE』ではカブトムシやクワガタムシ科の昆虫の長さの単位として「全長」という用語を用いているが、これはクワガタムシなどの大顎の先端から腹部もしくは翅の先端までの長さを指すものである。同じ文献でも角を除いた頭部の先端から腹端までの長さを「体長」、角を含めた長さを「全長」として使い分けている文献もある。

野外では体長80 mmを超える個体はやや少ないが、飼育では幼虫期間に餌をより多く与えることにより、全長80 mm(角の長さを含む)に達する成虫を育てるのは難しくない。しかし85 mm以上を育てるのは難しい。最長記録はむし社の調査によれば、野外採取個体の場合は2012年に記録された87.3 mm、飼育個体の場合は2017年に記録された91.7 mmである。

2015年6月には俳優の哀川翔が育成したカブトムシが88.0 mmを記録し、当時のむし社によるレコード記録を更新した。哀川はこの個体をギネス世界記録に申請したが、ギネスブックは昆虫類全般の括りであるため、カブトムシの成虫だけでは認定されなかったという。



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