カスタマーハラスメント
カスタマーハラスメントとは、暴行・脅迫・暴言・不当な要求といった、顧客による著しい迷惑行為のことである。略してカスハラともいう。
顧客(カスタマー)+嫌がらせ(ハラスメント)を組み合わせた用語であるが、英語には「customer harassment」という用語は存在せず、和製英語の一種である。日本では2010年代前半頃から、悪質なクレーマーに対して「カスタマーハラスメント」の名称を用いる動きが見られるようになった。
概要[編集]
定義[編集]
厚生労働省は2022年にカスハラ対策マニュアルを作成しており、企業が従業員(コールセンターや接客業など)を守るために対応するべき課題の1つとしている。そのマニュアルの中で、厚生労働省はカスタマーハラスメントを以下のように定義している。その解釈や判断基準、具体例などの詳細もマニュアルに記載されている。
顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・様態が社会通念上不相当なものであって、当該手段・様態により、労働者の就業関係が害されるもの
法律[編集]
店で大声をあげたり、業務を妨げたり、無理に居座ったりする行為は、威力業務妨害罪や不退去罪に問われる可能性がある。そのほかに関連する条文としては、傷害罪、暴行罪、脅迫罪、恐喝罪、強要罪、侮辱罪、名誉棄損罪、暴力団対策法、職務強要罪が挙げられるが、内容によっては民事不介入を理由に刑事事件での立件が困難な場合もある。
研究[編集]
学術観点からカスタマーハラスメントを捉えた書籍として桐生正幸著『カスハラの犯罪心理学』がある。東洋大学社会学部教授である桐生は、UAゼンセンのデータや科学研究費による調査で加害者と被害者との関係性を分析しており、「接客対応者におけるカスタマーハラスメント被害経験の分析」などいくつかのカスタマーハラスメントに関する学術論文を執筆している。