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エーザイ

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エーザイ株式会社Eisai Co., Ltd.)は、東京都文京区小石川に本社を置く日本の大手製薬会社である。日経平均株価およびTOPIX Large70の構成銘柄の一つ。

コーポレート・スローガンは「ヒューマン・ヘルスケア (Human・Health Care)」で、ロゴ中に筆記体で記されたhhcはナイチンゲールの直筆サインから取り出したものである(会社ロゴの、赤は動脈を、青は静脈を意味する)。

概要[編集]

2012年の世界の医薬品メーカーの売上高における順位は25位で、武田薬品工業(世界14位)・アステラス製薬(同18位)・第一三共(同19位)・大塚ホールディングス(同20位)に次ぎ国内5位に位置する。メインバンクは埼玉りそな銀行である。

現在の主力商品は1990年代に発売した自社開発製品のアリセプトとパリエット/アシフェックスで、この二つで売上のおよそ60%を占めている。売上高に占める自社開発品の比率が約90%と高く、かつ海外での売上比率も全売上高の半数超と多いのが特徴。加えて、米国においては、創薬・研究・開発・生産・物流・営業まで、製品販売にかかわる全ての部門をエーザイ、もしくはその子会社で持つ唯一の日本の製薬会社である。英国、インドにも生産工場があり、USAをはじめ、南米、ロシア、ヨーロッパ、オセアニアでも販売会社の子会社がある。

大衆薬もビタミン剤「チョコラ」シリーズと胃腸薬「サクロン」、ハンドクリーム「ザーネ」、乗り物酔い止めの「トラベルミン」シリーズなど古くから知名度がある製品の他、スイッチOTCとして医療用胃薬セルベックスをスイッチした「セルベール」や医療用アレルギー性鼻炎薬アゼプチンをスイッチした「ハイガード」(現在は販売終了)もある。

1960年代から1990年代にかけて、メチコバール(末梢性神経障害治療薬)、セルベックス(胃炎治療薬)を中心に急成長を遂げた。1988年、エーザイイノベーション宣言とともに、現社長の内藤晴夫が当時41歳の若さで社長に就任した。その後、戦略的五カ年計画を4期に渡り実施し、第1期(1987年 - 1991年: 国内営業の時代)、第2期:(1992年 - 1996年: グローバリゼーションの時代)、ここで国際化(欧米)を進め、第3期(1997年 - 2001年: 飛翔の時代)、第4期(2001年 - 2007年: ミレニアム計画 (2006年度で終了))と進めて、2004年度で5000億円の売り上げを達成した。2006年度より2011年度まで、ドラマティックリーププランの時代と位置づけている。先の2製品のヒットによりここ10年で飛躍的に売上高が増大したことにより、一時株価が6600円近くに達したが、製薬業界の2010年問題(新薬の特許切れ問題)で、エーザイを問わず、各製薬会社ともに実力以上に株価が低迷した。その後、2014年にリストラを行い、埼玉県にある美里工場を武州製薬株式会社に譲渡した。一時期は、売り上げが低迷したが、抗がん剤「レンビマ」、抗てんかん薬「フィコンパ」などで、2017年度には、売り上げを6000億円台に回帰させた。2016年からE-way2025と銘打ち、2025年までに8000億円の売り上げまで戻す計画にある。2018年11月、メルクとの提携で入った一時金を活用し、2014年に続く早期退職(45歳以上)を発表し、55歳以上の統括を役職から外すというアナウンスを行った。

1987年の長期経営計画(2001年度までに売上高5,000億円を目標)によって見いだされた「ヒューマン・ヘルスケア(Human・Health Care)」という言葉は同社のスローガンにもなっている。もう一つの特徴としてエーザイの企業理念である「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を考え、そのベネフィット向上を第一義とし、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する」は定款にも盛り込まれており、現状ではイオングループとエーザイだけが、企業理念を定款に盛り込んでいる。

2016年現在、乳がん治療薬(エリブリン:商品名ハラヴェン)が、日米欧での承認優先審査候補品となっており、2010年11月米国FDAの承認を得た。2016年4月、てんかん治療薬(ペランパネル:開発コードE2007)が製造承認された。その他、敗血症治療薬(エリトラン:開発コード:E5564)などの主要開発品が承認申請間近である。敗血症治療薬(エリトラン)は、ラテンアメリカより、効果がないとの通告があり、一旦開発中止になったが、再度開発を再開している。

2019年現在、E2007は、「フィコンパ」として上市され、全世界で販売されている。現在主力である「レンビマ」(レンバチニブ、肝臓がん等治療薬)も全世界で販売されており、メルクの免疫チェックポイント治療薬「キイトルーダ」との提携が成立(2018年に内藤晴夫社長がメルクと2ヶ月足らずの交渉から、契約一時金1,000億円、販売によるマイルストーンで最大6,100億円の収入を約束する契約を締結させ、業界人の舌を巻かせた)し、併用治療・併用販売で売り上げに大きく寄与している。治験中の新薬、特にアルツハイマー関係は3製品あり、今のところ全て良好な解析データが得られており、フェーズⅢの最終段階である。早ければ、2022年ごろに上市される予測をしている。アデュカヌマブについては、米食品医薬品局(FDA)から承認される見通しとなった。2023年1月、レカネマブが米食品医薬品局(FDA)より承認される。

特徴[編集]

創業[編集]

創業者は、内藤豊次(初代社長)で、現社長、内藤晴夫の祖父にあたる。内藤豊次が、旧:東京田辺製薬(現:田辺三菱製薬)を57歳で退職し、起業した。創業当初は、ビタミンEから始まり、ネオサンプーン(避妊薬)、チョコラシリーズなどを手がけていった。この「チョコラ」とは、チョコレートとコーラをもじったもので、チョコレートやコーラのようによく売れますようにと、願って考えたネーミングであると、2代目社長の内藤祐次(晴夫の父)の著書[要文献特定詳細情報]にある。

社名の由来[編集]

社名は旧社名「日本衛材」(料の略。具体的には絆創膏や包帯のこと)から。なお、現存する日本衛材株式会社とは無関係。

特別インセンティブ制度[編集]

新薬発売5年間累計販売額の0.05%相当を、コンセプト創出から承認に至る各段階で功労のあった社員に付与する研究開発における「特別インセンティブ制度」が有り、アリセプトとパリエットの研究開発に貢献した社員数十名ずつに売上高5年度分の累計売上高の0.05%として計約一億円を支給した。

同族企業[編集]

現職まで創業者一族がトップにつく同族会社である。家系的には晴夫の長女の婿であるアイバン・チャンが常務執行役におり、晴夫の息子の景介が2018年に幹部になり、2019年2月現在は理事職となった。他に親戚の内藤輝夫がいる。経営に関しては、同族会社では珍しく、社長以外に取締役と執行役を兼務するものは存在せず、取締役も過半数以上が社外の専門家(弁護士、教授など)となっており、完全に社長の意図だけでは経営できないようになっている。

沿革[編集]

  • 1936年 - 合資会社桜ヶ岡研究所を創業として設立。
  • 1938年
    • ビタミンE剤『ユベラ』を発売。
  • 1941年 - 埼玉県児玉郡本庄町(現在の本庄市)に日本衛材株式会社を設立。
  • 1944年 - 合資会社桜ヶ岡研究所と日本衛材株式会社により、日本衛材株式会社となる。
  • 1950年 - 強心剤『ネオフィリン』を日本で発売。
  • 1952年
    • 高単位B2B1剤『チョコラBB錠』を日本で発売。
    • 乗物酔防止薬『トラベルミン錠』を日本で発売。
  • 1955年 - エーザイ株式会社に社名変更。
  • 1961年
    • 東京・大阪証券取引所第1部に上場。
    • 緑の胃ぐすり『サクロン』『サクロン錠』を日本で発売。
  • 1965年 - 三生製薬(埼玉県本庄市、後のサンノーバ)へ資本参加。
  • 1966年
    • 岐阜県各務原市に川島工場を開所。
    • 創業者・内藤豊次は会長となり、内藤祐次が社長に就任。
  • 1967年 - ロゴマークからカタカナ表記の「エーザイ」が削除され、より現在のものに近い意匠となる。
  • 1970年 - 内藤豊次は代表取締役会長を辞任し取締役名誉会長に就任。
  • 1971年 - 川島工園内に内藤記念くすり博物館を開館。
  • 1972年 - 生科研と取引および共同研究開始。農業分野へ参入する。
  • 1974年 - 代謝性強心剤『ノイキノン』を日本で発売。
  • 1977年 - 天然型ビタミンE剤『ユベラックス』を日本で発売。
  • 1978年 - 内藤豊次没(享年88)。
  • 1988年 - 内藤祐次が会長となり、内藤晴夫が社長に就任。
  • 1989年 - 受託生産品の製造承認を三生製薬へ継承。
  • 1991年
    • 米・アメリカン・ホーム・プロダクツ(AHP)社との合弁会社、ワイス・エーザイ設立。
    • 生科研、社名をエーザイ生科研と変更し、本社を東京都文京区に移転する。
  • 1996年
    • AHPとの提携解消。同年3月1日付でワイス・エーザイ株をAHPへ譲渡、ワイス・エーザイは旧・日本ワイス(後の日本ワイスレダリー、現・ファイザー及びアイクレオ)へ同年5月1日付で併合。
    • エルメッドエーザイ設立。ジェネリック医薬品業界に参入する。
  • 1997年 - 液剤・軟膏・クリーム剤の製造承認を三生製薬へ継承。
  • 2003年 - 動物薬事業を明治製菓(現・Meiji Seikaファルマ)へ譲渡。
  • 2004年
    • 委員会等設置会社へ移行。
    • 英国(ロンドン)に欧州統括会社(持株会社)、インド(ムンバイ)に医薬品販売会社をそれぞれ設立。
    • 子会社のヘルス(皮膚清浄綿「リンスキン-L」、ぬれティシュ「クイック」の製造販売元)千葉工場を光洋産業へ営業譲渡。同社千葉ヘルス工場となる。
  • 2005年 - 内藤祐次没(享年85)。
  • 2007年 - 米・モルフォテック社を買収。
  • 2008年 - 米・MGIファーマ社を買収。
  • 2013年
    • 子会社のエーザイ生科研をローソンに譲渡。
    • ロシア(モスクワ)に医薬品販売会社を設立。
    • 一般社団法人グローバルヘルス技術振興基金設立に参画(日本初の開発途上国向けの新薬開発支援基金)。
    • 肥満症治療剤『BELVIQ』米国で発売。
    • インド・バイザッグ工場で製造するリンパ系フィラリア症治療薬「ジエチルカルバマジン」をWHOへ無償提供開始。
  • 2014年
    • 美里工場(埼玉県児玉郡美里町)を武州製薬に譲渡。
    • J-ADNIにおいて、事務局へ出向した当社社員により、データの書き換え指示の疑惑があることが報道された。
    • エーザイ生科研、社名を生科研に戻す。
    • 『Fycompa』を米国で発売。
    • 中国(蘇州)に統括会社を設立。
  • 2015年
    • 子会社のエーディアの全株式を積水化学工業へ譲渡。
    • 抗がん剤『レンビマ』米国、日本、欧州で発売。
    • 中国ジェネリック医薬品企業「遼寧天医生物製薬株式有限公司」の買収完了(新社名「衛材(遼寧)製薬有限公司」)。
  • 2016年
    • 第7期中期経営計画「EWAY2025」がスタート。
    • 『フィコンパ』を日本で発売。
    • 子会社のエーザイフード・ケミカルの全株式を三菱化学フーズ(三菱ケミカルホールディングス傘下企業の一社である三菱化学の子会社、三菱ケミカルフーズを経て三菱ケミカルへ吸収)へ譲渡。
    • 子会社のサンノーバを事業継承によりアルフレッサ ホールディングスへ譲渡(2023年4月1日付でアルフレッサ ホールディングス子会社のアルフレッサ ファーマへ吸収合併される)。
    • 消化器疾患領域事業を吸収分割により、味の素の子会社である味の素製薬へ継承してEAファーマを発足し、同社の連結子会社とする。
  • 2017年
    • 感染性疾患対策に取り組むグローバルパートナーシップに参画。
    • リンパ系フィラリア症の制圧に向けた継続支援を発表。
    • アデュカヌマブを含むアルツハイマー病治療剤の開発・販売に向けたバイオジェンとの提携契約を拡大。
  • 2018年
    • 『レンビマ』に関する戦略的提携について米メルク社と合意。
    • 中国の新蘇州工場が本格稼働。
    • 『レンビマ』(肝細胞がん)を中国で発売。
  • 2019年 - 4月1日、エルメッドエーザイ株式会社を日医工に営業統合し、社名をエルメッド株式会社に変更、エルメッドエーザイ製販品の販売元が日医工となった。
  • 2020年 - 『デエビゴ(レンボレキサント, 睡眠薬)』を日本で発売。
  • 2021年 - 6月7日 (米国時間)、米バイオジェンとの共同開発品で、アルツハイマー型認知症の進行を抑制する治療薬「アデュカヌマブ」がFDAの承認を得た。
  • 2023年 - 1月6日 (米国時間)、米バイオジェンとの共同開発品で、アルツハイマー型認知症の進行を抑制する治療薬「レカネマブ」がFDAの承認を得た
  • 2024年4月1日予定 - 完全子会社の「カン研究所」を吸収合併

国内事業所[編集]

  • 本庄事業所(埼玉県本庄市)
  • 川島工園(岐阜県各務原市川島竹早町)
  • 筑波研究所(茨城県つくば市)
  • 鹿島事業所(茨城県神栖市)

関連会社[編集]

国内[編集]

  • EAファーマ株式会社(医薬品の研究開発・製造・販売) - 味の素製薬を前身としているため、味の素との出資による合弁会社でもある。
  • 株式会社カン研究所(医薬品の研究開発)
  • エーザイ物流株式会社(医薬品の搬送)
  • 株式会社サンプラネット(業務サービス、給食、印刷、不動産の管理)
  • ブラッコ・エーザイ株式会社(造影剤の輸入・製造・販売)

海外拠点[編集]

米国、英国、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン、イタリア、スイス、スウェーデン、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、インド、台湾、中国、香港、韓国、フィリピンなど。詳細はエーザイのHPにあるアニュアルレポートが正確である。生産拠点としては、日本以外に米国、中国、インドネシア、台湾、インドがあり、英国も予定しているようである。研究開発拠点は、日本(つくば、カン研究所:兵庫、鹿島、川島)以外に、米国のボストン・RTP・ボルティモア、英国のハットフィールド、インドのバイザックがある。



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