ウサギ
ウサギ(兎、兔)は、最も広義には兎形目、狭義にはウサギ科、さらに狭義にはウサギ亜科もしくはノウサギ亜科 Leporinaeの総称である。
ここでは主にウサギ亜科について記述する。現在の分類では、ウサギ亜科には全ての現生ウサギ科を含めるが、かつては一部を含めない分類もあった。兎形目はウサギ科以外に、ナキウサギ科など。
形態[編集]
他の獣と比しての特徴としては、耳介が大型なことが挙げられる。兎形目内では耳介があまり発達していない種でも、他の哺乳綱の分類群との比較においては耳介比率が大きいといえる。音や風の方へ耳の正面が向くよう、耳介を動かすことができる。また、毛細血管が透けて見えるこの大きな耳介を風に当てることで体温調節に役立てるともいう。
眼は頭部の上部側面にあり広い視野を確保することができ、夜間や薄明薄暮時の活動に適している。鼻には縦に割れ目があり、上部の皮膚を可動させることで鼻孔を開閉することができる。門歯は発達し、一生伸び続ける。かつてはこの門歯の特徴をもってネズミと同じ齧歯目の中に位置づけられていた。しかし、上顎の門歯の裏側に楔形の門歯があるものをウサギ目として独立した目分類がなされるようになった(齧歯目と近縁の仲間ではある)。歯列は (順に 門歯・犬歯・小臼歯・大臼歯、上下は上下顎)で、計28本の歯を持つ。
かつてネズミの仲間と分類されていたように、肉食であるネコやイヌとは異なる点が多く、多くの種のウサギの足の裏には肉球はなく、厚く柔らかい体毛が生えている。前肢よりも後肢が長く、跳躍走に適している。前肢の指は5本、後肢の趾は4本で、指趾には爪が発達する。体全体は丸みを帯び、尻尾は短い。ただ、盲腸は長い。
生態[編集]
草原や半砂漠地帯、雪原、森林、湿原などに生息する。アナウサギは地中に複雑な巣穴を掘って集団で生活する。縄張り意識は比較的強く、顎下の臭腺をこすりつけることで臭いをつけてテリトリーを主張する。ノウサギは穴での生活はしない。
食性は多くの種は植物食で、草や木の葉、樹皮、果実、牧草、野菜などを食べる。一部の野生種は昆虫なども食べるという。カイウサギであれば、屋外のアリなども舐めながら食べる。
胎生。ネコなどと同じく、交尾により排卵が誘発される交尾排卵動物。妊娠期間は最長がユキウサギの約50日で、多くの種は30・40日。一度の出産で1・6頭(ないしそれ以上)を出産する。
アナウサギは、(繁殖期を持たない動物)に分類され、年中繁殖することが可能であり、多産で繁殖力が高い動物である。ノウサギは春先から秋まで、長期的なゆるい繁殖期を持っている。
天敵はヘビ、キツネ、イタチをはじめ小〜中型の肉食獣、猛禽類、人、カラス。
種類にもよるが、時速60-80kmで走ることができ、動きは速い。
声帯を持たないため滅多に鳴くことはないが、代わりに非言語コミュニケーションを用いる。代表的なものは発達した後脚を地面に強く打ち付けるスタンピングで、その主な動機は天敵が接近した場合に仲間に警戒を促すためであるが、不快な感情を表す際にもこの行動をとることがある。
ウサギの唾液には、衛生状態を保つ成分が含まれている。顔を前脚で覆うように撫でたり耳を撫でる仕草を見かけるが、前脚に予め付着させておいた自らの唾液を目的の部位全体に行き渡らせることで衛生状態を保っているのである。
特徴的な長い耳に代表されるように秀でた聴力を持つ一方で、視力には劣り、食物を食べる時に安全性を確認する場合も、視覚より嗅覚を駆使する。
ストレスには非常に弱く、絶えず周囲を警戒している。骨が崩れやすく脆いという弱点もある。