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ウイスキー

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ウイスキー(英: whisky、愛/米: whiskey)は、世界の酒の一つ。大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を麦芽の酵素で糖化し、これをアルコール発酵させ蒸留したものである。元々はイギリスおよびアイルランドの特産品であったが、現在では多くの国で生産されている。

日本語ではウィスキーとも表記される(ウヰスキーとも)。日本の酒税法上の表記は「ウイスキー」であり、国税庁も「ウイスキー」の表記を用いている。漢字を当てて火酒烏伊思幾とも書かれた。

またスコッチ・ウイスキーは whisky、アイリッシュ・ウイスキーは whiskey と表記される。

語源[編集]

"whisky" または "whiskey"の名称は、蒸留アルコールを意味するラテン語の "aqua vitae" (アクア・ウィタエ、「命の水」の意)に由来する。スコットランドやアイルランドにアルコールの蒸留技術が伝わると、それぞれの地域で使われるゲール語やアイルランド語に逐語翻訳されて、"uisge beatha" や "uisce beatha" (ウィシュケ・ビャハ、同様に「命の水」の意)となり、その後、「水」の部分 "uisce" または "uisge" (ウィシュケ)が訛って "whisky" (ウィスキー)になったと考えられている。英語の初期には、uskebeaghe(1581年)、usquebaugh(1610年)、usquebath(1621年)、usquebae(1715年)と、綴りのブレが見られる。

なお、ラテン語の "aqua vitae"(「命の水」)を名称由来とする酒名はウィスキーだけではなく、例えばブランデーのフランス語 "eau-de-vie"(オードヴィー)、ウォッカの、ポーランド語やロシア語由来の原語 "wodka" (ヴトゥカすなわちウォッカ)、ジャガイモを原料とする蒸留酒アクアビット "Akvavit"(デンマーク語およびノルウェー語)、"Aquavit"(ドイツ語) も同じ「命の水」に由来する派生語である。

Whiskeyの語源に関しては他に俗説として、1170年にイングランド王ヘンリー2世がエール(アイルランド)に侵攻した時、接収した修道院から酒の小樽を発見したイングランド兵が、仲間のもとへ矢のように飛んで(to wisk)帰り、報告したことから、Whiskeyとして広まったというものがある。

whiskyとwhiskey[編集]

ウィスキーの英語表記には、"whisky" と "whiskey"の二通りの綴りがある。この問題について2つの考えがある。1つは単純に地域の言語的規則の問題であり、スペリングは意図する対象者、背景、ライターの個人的な好みによって選択して良いというものである。もう1つは、その製品の伝統や精神を守るために綴りには拘るべきというものであり、少なくとも、ラベルに印刷された正しい名前を引用するとき、そこに印字された綴りは変えるべきではないという一般的なルールがある。

whiskeyの綴りは、アイルランドとアメリカ合衆国では一般的だが、whiskyは、他の全てのウイスキー生産国で使用されている。そのアメリカでも元から使用法が一貫していたわけではなく、新聞のスタイルガイドが導入される前の18世紀後半から20世紀半ばまでは、両方のスペルが用いられていた。1960年代以降、アメリカのライターたちは、アメリカ国内または国外での製造に限らず、穀物由来の蒸留酒を、whiskeyとして使用するようになった。ただし、ジョージ・ディッケル、メーカーズ・マーク、オールド・フォレスターなどの有名なアメリカン・ウィスキーのブランドでは、whiskyの綴りが使用されており、全体を通して見てもwhiskyの使用は少なくない。

定義[編集]

ウイスキーについて、世界共通の明確な定義があるわけではないが、各国の法制度上、種々の目的から定義されていることがある。

日本[編集]

日本においては、酒税法3条15号において、次のように定義されている。

十五 ウイスキー 次に掲げる酒類(イ又はロに掲げるものについては、第九号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。
イ 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、出芽酵母により発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ロ 発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ハ イまたはロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素または水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)。

上記定義から除かれている「第九号ロからニまでに掲げるもの」とは次のものであり、ウォッカ、ラム、ジン等のスピリッツが除外されていることになる。

ロ しらかばの炭その他政令で定めるものでこしたもの
ハ 含糖質物(政令で定める砂糖を除く。)を原料の全部又は一部としたもので、そのアルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のもの
ニ アルコール含有物を蒸留する際、発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させたもの

欧州連合[編集]

欧州連合(EU)においては、スピリッツ飲料の定義、記述、展示、ラベル表示および地理的表示保護ならびに理事会規則(EEC)1576/89号の廃止に関する2008年1月15日欧州議会・理事会規則(EC)110/2008号別紙II第2項において、ウイスキー(whiskyまたはwhiskey)が、次のように定義されている。

2. whiskyまたはwhiskey
(a) whiskyまたはwhiskeyは、専ら次に掲げるものにより製造されたスピリッツ飲料である。
(i) 発芽させた穀物から他の穀物の全粒の併用の有無を問わず作られたマッシュであって、
― そこに含まれるモルトのジアスターゼにより他の天然の酵素の併用の有無を問わず糖化され、
― 酵母の作用により発酵されたもの
の蒸留
(ii) 蒸留液が用いられた原料に由来する香りおよび味を有するよう、94.8%未満の分量となる一または複数の蒸留
(iii) 最終蒸留液の容量700リットル未満の木製樽における3年以上の熟成
(b) whiskyまたはwhiskeyの分量による最低アルコール強度は40%とする。
(c) 希釈化の有無を問わず、別紙I (5) に定義されるアルコールの添加は一切なされないものとする。
(d) whiskyまたはwhiskeyは、甘味付けまたは香り付けをされないものとし、かつ、着色のために用いられる無味カラメル以外の添加物を含まないものとする。

アメリカ合衆国[編集]

アメリカ合衆国においては、連邦規則集第27編第1章A節第5款C目5.22条(b)項柱書において、ウイスキー(whisky)が次のように定義されている。

5.22条 同一性の基準
この条に規定される蒸留スピリッツの種々の種類および種別の基準は、以下のとおりとする(5.35条 種類および類型も参照)。
(a)(略)
(b)第二種;ウイスキー。「ウイスキー」は、発酵した穀物のマッシュからのアルコール蒸留液であって、190度プルーフ未満に、蒸留液が一般にウイスキーが有するとされる味、香りおよび特性を備える方法によって製造され、オーク樽(英語版)に保存され(ただし、コーン・ウイスキーはそのように保存されることを要しない。)、かつ、80度プルーフ以上で瓶詰めされたものであり、さらに、特定の同一性の基準が規定されていない蒸留液の混合物をも含む。(略)


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