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イーロン・マスク

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イーロン・リーヴ・マスク(Elon Reeve Musk, 1971年6月28日 - )は、南アフリカ共和国のプレトリア出身の、同国並びにカナダ、アメリカ合衆国国籍の起業家。PayPal、スペースX、テスラ、ボーリング・カンパニー(英語版)、OpenAI、xAI等を共同設立。スペースX、テスラのCEO、X Corp.(旧:Twitter)の執行会長兼CTOを務めている。

新たな決済サービスを作り出したほか、電気自動車、宇宙開発、太陽光発電などのビジネスで成功を収め、当時没落していたそれらの業界を再興させた。「影の米大統領」の異名を持つピーター・ティールやYouTube創業者のチャド・ハーリーなどと共にペイパルマフィアの一人としても語られる。2012年にはスペースXが国際宇宙ステーションに宇宙船を打ち上げ、テスラはEV 「モデルS」 を発売した。これによってマスクは宇宙と自動車というまったく別の業界で偉業を成し遂げ、スティーブ・ジョブズに例えられる存在になった。アイアンマンのモデルでもある。

フォーブスの長者番付によると2021年時点で3200億ドル (約41兆円) の資産を有する。また、世界で初めて資産が3000億ドル (約34兆円) を超えた人物。(詳細は資産を参照)

2019年にフォーブスが発表した「アメリカ合衆国で最も革新的なリーダー」ランキングではAmazon.com(アマゾン)CEOのジェフ・ベゾスと並び第1位の評価を受けた。また、弟が起業したテスラの子会社ソーラーシティの会長を務めている。

来歴[編集]

イギリス人とアメリカ人(ペンシルベニアダッチやミネソタ州出身の白人)をルーツに持つ南アフリカ人の技術者・実業家の父親エロール・マスク(Errol Musk)と、モデル・栄養士の母親メイ(英語版)との間に南アフリカで生まれる。

マスクが育った当時の南アフリカでは、アパルトヘイト(人種隔離政策)を推進する政府のプロパガンダが氾濫していた。マスクが暮らしたのは経済の中心地ヨハネスブルク、首都プレトリア、東部の沿岸都市ダーバンであり、彼が暮らした郊外のコミュニティは、虚報(フェイクニュース)にほぼ埋め尽くされていた。新聞は全面が黒く塗りつぶされた状態で玄関口に届くこともしばしばで、夜のニュース番組は最後に国歌と国旗がはためく映像が流れ、政府のために戦って亡くなった白人の若者の名前がスクロール表示された。

政府によるプロパガンダが氾濫するなかで白人の立場で育ったマスクにはトラウマになった過去があるとマスクの父親は語っており、マスクが求める言論の自由にはその過去の体験の影響があるとしている。

マスクが南アフリカ時代の出来事をあまり語りたがらない理由として、1988年にマスクと共にプレトリア男子高校(英語版)を卒業した同級生のテレンス・ベニーは「それ(語らないこと)自体が物語っている。白人の子供たちは(アパルトヘイトの)厳しい現実と無縁でいられたから」としており、マスクが2年間通ったブライアンストン高校(英語版)で同級生だったメラニー・チアリーは「私たちは南アフリカの白人のティーンエージャーとして、本当に何もわかっていませんでした。本当に何も。」と当時を語っている。

幼少期からものづくりに興味を持ち、ロケットを使った実験を繰り返していた。父親曰く「内向的で思慮深かった」 といい、集団の中に溶け込むよりも一人本を読むことを好んだ。記憶力が高く、読破した百科事典の内容を完全に記憶していたという。1日に2冊の本を読み、ファンタジー小説やSF小説を多読していた事が「世界を救う」という夢につながっているかもしれないと語っている。

9歳の時に両親が離婚、マスクは弟のキンバルと共に父親のもとに身を寄せた。10歳のときにコンピュータを買い、プログラミングを独学した。12歳のときには最初の商業ソフトウェアであるBlasterを販売する。自作の対戦ゲームソフトを売り、500ドルを手にした。

学生時代はいじめに遇い、階段から落とされたり、気絶するまで殴られたりした。父親は厳しく、学校でも居場所がなかったことから、ひとりの世界にこもっていた。

再建手術が必要になるほどのいじめを受けた直後、ブライアンストン高校からプレトリア男子高校に転校した。

カナダ、アメリカ合衆国への移住[編集]

アメリカ合衆国の「やる気さえあれば何でもできる」という精神と、最新のテクノロジーへの憧れからアメリカ合衆国への移住を試みるが、資金が無くそう簡単では無かった。母親はカナダのサスカチュワン州レジャイナの生まれで、多くの親戚がカナダ西部に住んでいた。そこでカナダ国籍を持つマスクは1989年6月にカナダに移住し、サスカチュワンのスウィフトカレントにあるいとこの小麦農場で穀物貯蔵所の清掃をしたり野菜畑で働いた。また、ブリティッシュコロンビアの製材所でのボイラーの清掃やチェーンソーで丸木を切る過酷な労働の日々を送った。

その後、オンタリオ州へ引っ越して、1989年に19歳でカナダのクイーンズ大学に入学。クイーンズ大学に在学中、弟のキンバル・マスク(英語版)とともに始めた、会ってみたい実業家に電話をかけてランチに誘うという方法で、ノヴァ・スコシア銀行でインターンをする機会を得た。彼はアメリカへの移住を希望した。彼は「アメリカは、すごいことを可能にする国だ」と述べている。

1991年にはアメリカ合衆国のペンシルベニア大学ウォートン校へ進むための奨学金を受け、同大学で経済学と物理学の学士を取得する。大学時代は家の家賃を稼ぐため寮でナイトクラブを開いていた。彼の後の言葉によると、当時、彼は人類の進歩に貢献する分野は「インターネット」「クリーン・エネルギー」「宇宙」だと考えていた。

1995年に高エネルギー物理学を学ぶためスタンフォード大学の大学院へ進学する。電気自動車用のバッテリーを作るためだったが、インターネットの勃興によって方針を転換する。当初はブラウザを世界で初めて開発したネットスケープに入社しようと思い立ち、履歴書を持って本社まで足を運んだが、恥ずかしさと恐怖のあまり人に話かけることができず入社を断念する。

最初の起業[編集]

1995年、マスクは大学院を休学して弟のキンバルとグレッグ・クーリの3人でZip2を設立した。同社は、地図や道案内、イエローページなどを備えたインターネット上のシティガイドを開発し、新聞社に売り込んだ。パロアルトにある小さなレンタルオフィスで、マスクは毎晩のようにウェブサイトのコーディングに励んだ。

やがてZip2は、ニューヨーク・タイムズ、シカゴ・トリビューンと契約を結んだ。兄弟はシティサーチ社との合併を断念するよう取締役会を説得したが、マスクのCEO就任の試みは頓挫した。1999年2月、コンパックがZip2を現金3億700万ドルで買収し 、マスクは7パーセントの株式で2200万ドルを受け取った。

ペイパルの成功[編集]

その後1999年、マスクはオンライン金融サービスと電子メール決済の会社であるX.comを共同設立した。X.comは連邦政府が保証する最初のオンライン銀行の1つであり、設立後数カ月で20万人以上の顧客が加入した。マスクは創業者でありながら、投資家から経験不足とみなされ、年末にはIntuit社のビル・ハリスCEOに交代した。

2000年、X.comは、オンライン銀行コンフィニティ社の送金サービス「PayPal」がX.comのサービスよりも人気があったため、競争を避けるためにコンフィニテイ社と合併した。その後、マスクは合併した会社のCEOとして復帰した。しかし、マスクはUnix系ソフトよりもMicrosoft系ソフトを好んでいたため、従業員の間に溝ができ、コンフィニティの創業者であるピーター・ティールが辞任することになった。2000年9月、技術的な問題が重なり、ビジネスモデルもまとまらないことから、取締役会はマスクを更迭し、ティールに交代させた。ティールの下、同社は送金サービスに注力し、2001年にPayPalと改名した。

2002年、ペイパルはeBayに15億ドルの株式で買収され、ペイパルの株式の11.72%を持つ筆頭株主であるマスクは1億7580万ドル (約200億円)を受け取っている。それから15年以上経った2017年、マスクはペイパルからX.comのドメインを個人的な思い入れから購入した。2022年10月5日、「Twitterの買収は万能アプリ『X』の開発を加速する」とツイート。別の投稿で「Twitterがおそらく『X』を3─5年早めるだろう。ただ、私の予想が外れる可能性もある」とした。

マスクはペイパル売却で得た約200億円を元手にテスラへの出資やスペースXの起業などに着手した。

宇宙開発企業の立ち上げ[編集]

2002年に3つ目の会社として、宇宙輸送を可能にするロケットを製造開発するスペースX社を起業し、CEOならびにCTOに就任している。

マスクは巨大な再利用ロケットを建造して人々を火星に移住させ、人類を多惑星種 (Multiplanetary Species) にすることを目指している。多惑星種であれば地球が何らかの理由で滅亡したとしても人類は他の惑星で生き残り続けることができる。

また、BFR(現:スターシップ)を旅客用に使用して地球上を1時間以内で結ぶ高速二地点間輸送という新たな移動手段の開発も手掛けている。

2012年、宇宙船ドラゴンは国際宇宙ステーション (ISS) にドッキングし、商業宇宙船としては初の快挙を成し遂げた。マスクは、マイク・グリフィンがNASA長官として最後に行った行動の1つであるNASA賞が、同社を救ってくれたと信じている。

2015年12月には人工衛星打ち上げ後、ファルコン9の第1段を再着陸させることに成功、衛星を打ち上げた後のロケットを再着陸させたのは世界初の偉業だった。

2019年以降、スペースXはファルコン9とファルコンヘビーを置き換えるための完全再利用可能な超重量級ロケット、スターシップの開発を進めている。2020年、スペースXは初の有人宇宙船であるDemo-2を打ち上げ、民間企業として初めて有人宇宙船をISSにドッキングさせることに成功した。

スターリンク[編集]

2015年、スペースXは衛星インターネットアクセスを提供する低地球軌道衛星のスターリンクコンステレーションの開発を開始し、2018年2月に最初のプロトタイプ衛星2基が打ち上げられた。スターリンクは数万基の小型人工衛星で地球を覆うことで世界中の僻地やインターネット不通地域でのネット利用を可能にする。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際、マスクはスターリンク端末をウクライナに送り、インターネット接続と通信を提供し、この行動はウクライナの大統領であるウォロディミル・ゼレンスキーによって賞賛された。しかし、マスクはスターリンクでロシアの国営メディアを遮断することを拒否し、自らを「言論の自由絶対主義者」であると宣言している。

スペースXはまた、地球低軌道における新しいミサイル防衛システムの一部として、宇宙開発庁のためにカスタム軍事衛星を設計し、打ち上げている。このシステムにより、米国は地球上のどこからでも発射される核ミサイルや極超音速兵器を感知し、照準を合わせ、潜在的に迎撃する新たな能力を獲得することになる。中国とロシアはこのプログラムについて国連に懸念を表明し、様々な機関がこれが世界を不安定化し、宇宙での軍拡競争の引き金になりかねないと警告している 。

自動車業界への参入[編集]

テスラ社は、2003年にマーティン・エバーハートとマーク・ターペニングによって創業された電気自動車 (EV) 開発企業で、マスクは2004年2月のシリーズAラウンドの出資を主導し、650万ドルを出資して大株主となり、会長としてテスラの取締役会に参加した。2009年のエバーハードとの訴訟和解により、マスクはターペニングと他の2人とともにテスラの共同創業者に認定された。

2019年時点で、マスクは世界の自動車メーカーで最も長く在職しているCEOである。2021年、マスクはCEOの地位を維持したまま、名目上「テクノキング」に肩書きを変更した。

テスラは2008年に電気スポーツカー「ロードスター」を初めて製造した。販売台数は約2,500台で、リチウムイオン電池を使用した初の量産型電気自動車であった。

2012年には4ドアセダン「モデルS」の納車を開始。2015年にはクロスオーバーの「モデルX」を発売。2017年に量販セダン「モデル3」が発売された。モデル3は、プラグイン電気自動車として世界で歴代ベストセラーとなり、2021年6月には電気自動車として初めて世界販売台数100万台を達成した 。2020年には5車種目となるクロスオーバー「モデルY」を発売。2019年には全電動のピックアップトラック「サイバートラック(英語版)」を発表した。また、マスクのもと、テスラはギガファクトリーと名付けられたリチウムイオン電池の製造工場を建設している。

テスラは完全自動運転車の開発も行っており、自動運転ソフトウェアのFSDや自動運転化された自家用車を使ったロボタクシー(英語版)の構想などがある。

2010年の株式公開以来、テスラの株価は大きく上昇し、2020年夏には最も価値のある自動車メーカーとなり 、同年末にはS&P500に入った 。2021年10月には、米国史上6社目となる時価総額1兆ドルに到達した。

2022年、マスクはテスラが開発した人型ロボット「オプティマス」を発表した。

ソーラーシティの買収[編集]

マスクはテスラで持続可能な移動手段の構築に取り組んでいるが、エネルギーの生産においても持続可能性を追及しており、太陽光発電にその可能性を見出だしている。マスクは太陽を自然の核融合炉に例えて、地球に降り注ぐ太陽光を人類が利用できれば地球全体を賄うだけの持続可能なエネルギー源になると考えている。

太陽光発電会社ソーラーシティは、マスクの従兄弟であるリンドンとピーター・リヴが2006年に設立した会社で、マスクは最初のコンセプトと資金を提供した。2013年には、ソーラーシティは米国で2番目に大きな太陽光発電システムの提供会社となった。2014年、マスクはソーラーシティがニューヨーク州バッファローに、米国最大の太陽光発電所の3倍の広さの生産施設を築くという構想を推進した。工場は2014年に着工し、2017年に完成した。2020年初頭までパナソニックとの合弁会社として運営された。

2016年、テスラはソーラーシティを20億ドル超で買収し、自社のバッテリー部門と統合してテスラエナジーを設立した。この取引の発表により、テスラの株価は10%以上下落した。当時、ソーラーシティは流動性の問題に直面していた。複数の株主グループが、ソーラーシティの買収はマスクの利益のためだけに行われ、テスラとその株主を犠牲にしたと主張し、マスクとテスラの取締役を相手に訴訟を起こした 。テスラの取締役は2020年1月に訴訟を和解させ、残る被告はマスクのみとなった 。その2年後、裁判所はマスクに有利な判決を下した。

真空チューブ交通の提唱[編集]

2013年には真空チューブ列車のハイパーループのアイデアを提唱している。ハイパーループは減圧チューブ内を乗用ポッドが浮上して走行することで、旅客機や日本のリニアモーターカーを越える時速1223kmで移動することができ、サンフランシスコとLAを30分で結ぶことができる。

マスクはハイパーループを自動車や航空機に次ぐ 「第5の移動手段」 と呼んだ。マスク自身は開発を行ってないが、ハイパーループのアイデア自体をオープンソース化して、名乗りを上げた企業が開発を進めている。

超音速eVTOLジェット機の構想[編集]

2015年10月、マスクは電動で垂直離着陸できる超音速ジェット機のアイデアがあると明かした。2016年のHyperloop Pod Award Ceremonyでもこの構想について話した。2010年に公開された映画「アイアンマン2」にマスクがカメオ出演した際にもこの構想に言及している。

マスクは、この構想の実現について積極的な態度を見せているが、多忙のため開発に着手できずにいる。

ニューラリンクの設立[編集]

2016年、マスクは1億ドルを出資してニューロテクノロジーのベンチャー企業であるニューラリンクを共同設立した。

ニューラリンクは、脳に埋め込む装置ブレイン・マシン・インタフェース (BMI) を作ることで、人間の脳と人工知能(AI)を統合し、機械との融合を促進することを目指している (人間拡張) 。このような技術は、記憶を強化したり、デバイスがソフトウェアと通信することを可能にしたりする。

また、アルツハイマー病や認知症、脊髄損傷などの神経疾患の治療用デバイスの開発も目指している。

地下トンネル輸送[編集]

2017年、マスクは地下トンネルを建設するボーリング・カンパニーを設立した。社が想定する地下輸送システム 「ループ」 はトンネル内を自動運転のEVが時速150マイル(時速240km)で走行することで大都市の交通渋滞を回避できるというものである。将来的にはマスクが提唱したハイパーループとの接続も想定されている。

2017年初頭、同社は規制機関との協議を開始し、スペースX社のオフィスの敷地内に幅30フィート(9.1m)、長さ50フィート(15m)、深さ15フィート(4.6m)の「テストトレンチ」の建設を開始した。全長2マイル(3.2km)足らずのロサンゼルス・トンネルは、2018年にジャーナリスト向けにデビューした。テスラ・モデルXを使用し、最適な速度以下で走行しながら、荒々しい走行をすることが報告された。

2018年に発表されたシカゴと西ロサンゼルスの2つのトンネルプロジェクトは中止となった。しかし、ラスベガス・コンベンション・センターの下にあるトンネルは、2021年初頭に完成した。地元当局は、トンネルのさらなる拡張を承認している。2021年、フロリダ州フォートローダーデールでのトンネル建設が承認された。

Twitterの買収[編集]

マスクは2017年の段階でTwitterの買収に興味を示していた。2022年4月には実際にTwitter買収提案を行い、同年10月に買収が完了した。

マスクはTwitterは社会のデジタル広場であり、合法な言論であれば民主主義の維持のために投稿の制限などを受けるべきではないとの持論を持っていた。また、1つのアプリであらゆることが可能な 「スーパーアプリ(英語版)」 の開発に興味を示しており、Twitterをスーパーアプリ化するというのが彼の考えの1つだった。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によれば、マスクがTwitterを買収することを決めたきっかけは、トランスジェンダー女性を「今年の男だ」などと言って嫌がらせをしていたアカウントが規約違反で凍結されたことである。

マスクはTwitter買収後すぐに、前任CEOのパラグ・アグラワルを含むTwitterのトップ役員を解雇した。また、月額8ドルの「ブルーチェックマーク」を導入し、同社の従業員を大量にレイオフした。

同年11月20日、2021年に永久凍結された米元大統領のドナルド・トランプのアカウントを復活させるかの趣旨で、自身のTwitter上で賛否の投票を実施。24時間の投票で投票総数は1500万票を超え、トランプの復帰に賛成が51.8%、反対は48.2%となりアカウントの凍結を解除した。

同年11月18日には2012年に米コネティカット州の小学校で起きた銃乱射事件を「でっち上げ」と主張して遺族への賠償を命じられた陰謀論者、アレックス・ジョーンズについては復活はないと宣言した。トランプの凍結解除後の夜のツイートでは聖書の引用に加え、自身が経験した第1子の突然死を挙げて、「子どもの死を政治や名声の手段にするような人物は容赦しない」と書き込んだ。

同年12月15日、個人情報の共有を禁止するルールに違反したとしてCNN、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなどに所属する記者のアカウントが凍結された。CNNはマスクのこの行為を批判したほか、EUや国連からも非難された。17日には投票によって凍結が解除された。

2023年3月9日、X Holdings Corp.とX Corp.をネバダ州に登録し、同日に人工知能(AI)企業としてxAIの設立を計画していることが報じられた。xAIは同年7月12日に設立したことを発表したが、X Corp.とxAIは別会社としている。

同年4月4日、Twitterを自身が保有するX Corp.に統合した。

同年5月12日、X Corp.のCEOを退き、同社会長兼CTOに就任することを発表した。同年6月5日、後任のCEOにNBCユニバーサル広告部門責任者を務めたリンダ・ヤッカリーノが就任した。マスクは2022年12月にTwitterのCEOを辞任すべきかを自身のツイート上で投票を行い、回答者の57.5%が賛成したことから、マスクは「TwitterのCEOを引き受けるほど愚かな人を見つけたらすぐにCEOを退任する。その後は、ソフトウェアとサーバーのチームの運営に専念する」と述べていた。マスクはその言葉通り、同社の執行会長兼CTOに転任した。

見解・物議[編集]

リーダーシップのあり方[編集]

マスクは、資本主義の権化とあだ名されたハワード・ヒューズやアップルのスティーブ・ジョブズなどの高名な起業家と比較され、発明家であり起業家であるという点ではトーマス・エジソンに近いと評される。

マスクはマイクロマネジャーと言われることが多く、自らを「ナノマネジャー」と呼んでいる。ニューヨーク・タイムズ紙は、彼のアプローチを絶対主義的と特徴づけている。マスクは正式な事業計画を立てず、代わりに反復設計の方法論と失敗に対する寛容さでエンジニアリングの問題にアプローチすることを好む。

また、テスラ・オートパイロットの前方レーダーを取り外すなど、顧問の勧告に反し、社員に独自の専門用語の使用を強要したり、リスクが高く、費用のかかる野心的なプロジェクトを立ち上げたりしている。また、垂直統合にこだわるあまり、ほとんどの生産を社内で行っている。その結果、スペースX社のロケットはコスト削減に成功したが、テスラ社のソフトウェアでは垂直統合により使い勝手に多くの問題が発生した。

大量の電子メールを通じて直接コミュニケーションをとる従業員に対するマスクの対応は、「飴と鞭」の特徴を持ち、建設的な批判をする従業員には報いる一方で、衝動的に従業員を脅し、罵倒し、解雇することでも知られている 。マスクは、従業員に時には週80時間以上にも及ぶ長時間労働を求めている。

新入社員には秘密保持契約を結ばせ、2018年のモデル3「生産地獄」の時など、しばしば大量に解雇する。2022年、マスクは経済への懸念から、テスラの従業員の10%を解雇する計画を明らかにした。同月、スペースXとテスラでリモートワークを停止し、オフィスで週40時間働かない従業員を解雇すると脅した。

マスクのリーダーシップは、テスラやその他の事業の成功の要因だと評価する人もいれば、冷酷で "人間理解の欠如を示す経営判断 "だと批判する人もいる 。2021年の著書『Power Play』には、マスクが従業員を非難する逸話が掲載されている。ウォールストリート・ジャーナル紙は、マスクが自社の車を「自動運転」とブランド化することにこだわった結果、エンジニアから「顧客の命を危険にさらす」と批判を受け、その結果辞職する社員が出たと報じている。

2022年の10月末にTwitterを買収した後、「イーロン・Twitterで上司に用がある時」とコメントを添え、深夜にオフィスの床でマスクが寝袋にくるまって寝る姿をTwitter従業員が自身のTwitter上に投稿。マスクが文字通り24時間勤務している姿が話題となった。

政治観[編集]

リバタリアン的な言動が目立つが、自身は政治的穏健派と称している。また、アメリカの民主党・共和党の二党制や左派・右派の二元論(善悪二元論)で分類されることを好んでいない。多くのアメリカの大企業と同様に、リスクヘッジのために政治献金は両党に行っている。2016年の大統領選ではヒラリー・クリントンに、2020年の大統領選では、民主党予備選ではユニバーサル・ベーシックインカムの政策を評価してアンドリュー・ヤンを推薦し、また独立候補のカニエ・ウエストも推薦していたが、最終的にはジョー・バイデンに投票した。しかし、2022年には大富豪税とポリコレによる言論統制に反対し、民主党の不支持を表明。同年6月のテキサス州連邦下院の補選で共和党のメイラ・フローレスに投票し、2024年の大統領選でも共和党に投票する可能性を示唆した。

マスクいわく、かつての左派(リベラル)達は現在極左になったため、マスク自身の立ち位置は変わらないが、極左と化した彼らからは自分は中道右派に映るだろうとしている。そして極左となり言論統制をするTwitter社やリベラルの人々を批判している。例えば、英紙デイリーメールで「Twitterはリベラルな権威主義者によるいじめの巣窟と化し、議論は死に絶えた」と発言している。また2020年アメリカ大統領選挙の終盤、バイデンの次男ハンターの不正疑惑を収めたパソコンが発見されたとの報道があったが、Twitterはその報道に関する投稿の表示を禁じた。Twitter側はこの対応はミスであると釈明して謝罪したが、マスクはその措置を民主党寄りだとして強い反対を示した。

ポリティカル・コレクトネスやトランスジェンダーを嫌悪する発言の自由を擁護しており、「ポリコレなマインドのウイルスはNetflixを見るに堪えないものにしている」と自らも発言している。

地球の存続と火星の植民[編集]

マスクは気候変動を AI に次ぐ人類最大の脅威とし 、炭素税を提唱している。マスクは当時大統領だったドナルド・トランプの気候変動に対する姿勢を批判し、トランプの2つのビジネス諮問委員会への参加後、2017年にトランプのパリ協定離脱への抗議としてその両方から退任した。

マスクは人類の人口減少についても懸念しており、「火星は人類の人口がゼロだ。我々が多惑星文明になるにはより多くの人が必要だ。」と発言している。 2021年12月、ウォールストリートジャーナルのCEO評議会のセッションで、マスクは出生率と人口の減少が人類文明にとって最も大きなリスクの1つであると述べた。

少子化問題への言及[編集]

2022年5月8日に、Twitterへの投稿で日本の出生率低下への危機感を表明し、何も手を打たなければ「日本はいずれ消滅する」、「日本の消滅は世界にとって大きな損失になる」と訴えた。また、少子化によって生じる労働者不足に関しては自身が開発する人型ロボット 「オプティマス」 が助けになると語っている。

中国への進出[編集]

一般的に、中国に進出する外国企業は、元企業が49%、中国企業が51%の出資率で合弁会社を設立する。董事会(取締役会)会議において、重要事項に関して中国側が否決権を持つ。また、多くの外資メーカーにとって、合弁会社では外資企業にとって財産となる重要技術を、中国側に譲渡するという大きなデメリットを被る。

中国当局は、通常独自動車メーカーのフォルクスワーゲンなど、中国に進出する世界的有名企業の多くに対して、現地企業との合弁を要求している。しかし、2017年11月の米中首脳会談を受けて金融分野における外資出資規制の緩和が始まり、2018年には電気自動車、船舶、航空機などの分野における外資出資規制が撤廃されたことで、テスラは合併会社を設立せずに中国への進出を果たしている。

近年、中国政府は、テスラの自動運転車をスパイ活動に応用できると判断して、政府施設から「出禁」にしたと報道された。 米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は「中国政府は軍関係者と、主要な国営企業の従業員などがテスラを利用することを制限している。なぜなら、テスラが(中国にとって脅威となる)安全保障に関わるような情報を収集している懸念がある」からだという。また、マスクの経営する「スターリンク」は中国政府が行う検閲の回避手段になり得る。

マスクは中国を称賛しており、中国政府を取り込み、テスラが中国市場へのアクセスを得るために「魅力的な攻勢」をかけたと評されている。2022年、マスクは中国でインターネット検閲を行う中国サイバースペース管理局の公式出版物「China Cyberspace」に記事を執筆した。彼がそのメディアに記事を書いたことは、言論の自由を擁護することと相反すると批判された。その後、マスクは台湾を中国の特別行政区にすることを提唱し、台湾の議員から党派を超えた批判を浴びた。

ウィグルでの人権問題[編集]

2021年12月31日、新疆ウイグル自治区のウルムチにテスラのショールームを開設したことを微博の公式アカウントで発表した。米イスラム関係評議会(CAIR)は虐殺を支援しているとして非難し、人権団体だけでなく米製造業提同盟(AAM)からも批判が上がっている。これまで、テスラの中国部門は習近平国家主席(党総書記)の経済政策目標と歩調を合わせ、良好な関係を保つことで発展してきた。現時点で米議会や人権団体からの批判に応じる姿勢を示せていないのも、習近平との連携で進めてきたことが背景にあるのではとの指摘がある。

2022年「ロシア・ウクライナ侵攻」[編集]

2022年10月3日、マスクは2022年ロシアのウクライナ侵攻後にロシアが併合を宣言したウクライナ4州について、国際連合の監視による選挙を通じて改めて住民の意思を問うべきで、「住民の意思が示されればロシアは立ち退く」と主張。またロシアが2014年に自国領土にしたクリミア半島を正式なロシア領土の一部として承認し、クリミアへの水資源供給を保障した上で、ウクライナが中立を堅持するという考えに賛成か、反対か答えてほしいとTwitterのユーザーに要請した。

マスクはツイートで、和平合意として以下を提案した。

  1. ロシアが併合を宣言したウクライナ4州での住民投票を国連の監視下でやり直す。
  2. 2014年にロシアが併合したクリミア半島を正式にロシア領とする。
  3. クリミア半島への水の供給を保証する。
  4. ウクライナは中立を維持する。

この案への賛否を投票するようユーザーに呼び掛けた。

これに対してウクライナのゼレンスキー大統領は自身も投票を求める形で「イーロン・マスク、あなたはウクライナを支持する提案とロシアを支持する提案のどちらが好ましいと思うか」と返信し、Twitter上で「皆さんはウクライナを支持するマスクとロシアを支持するマスクのどちらが好きか」と投票を呼び掛けた。ロシアのメドベージェフ元大統領はTwitter上で、マスクに「よくやった」と称賛の言葉を送った。

マスクはさらに「では、ドンバス地域とクリミアに住む人々の意思で、ロシアとウクライナのどちらに属するかを決めるというのはどうか」と別の投票を呼びかけ、「自分の提案が不評でも気にしないし、本当に心配しているのは、基本的に同一の結果になるのに、何百万人もが必要のない死を遂げるかもしれない」という点だと強調。マスクは「ロシアの人口はウクライナの3倍以上で、ウクライナが全面戦争で勝利する公算は乏しい。ウクライナ国民の身の上を案じるならば和平を求める」としている。

スペースXは衛星通信スターリンクをウクライナ全般のインフラを支える重要なネットワークを無償提供しており、マスクは「スペースXはウクライナでスターリンクの提供・サポートにこれまで約8000万ドルを費やしている。ロシアへの支援はゼロ。明らかに我々はウクライナ支持派だ」ともツイートした。

しかし、2022年にクリミア半島沿岸の黒海で、ロシア海軍艦隊への奇襲攻撃がウクライナ軍によって試みられた際に、潜水型ドローンの通信が切断され、戦果を挙げることなく失敗した。マスクが意図的にこのことを狙って同通信の技術者に接続の切断を指示したのではないかと、ウォルター・アイザックソン(以下、「著者」)が著した2023年9月12日発売のマスクについての伝記の内容を、米CNNが2023年9月7日に報じたが、ほどなくしてマスクは、「スターリンクはそもそも有効化されていなかった。スペースXは何も無効化していない」としてTwitter上で否定した。

攻撃が成功していれば、真珠湾攻撃のようになり、著者の言うようにロシアからの報復を招くと危惧した。さらに、クリミアのセヴァストポリまでの通信の有効化という、ウクライナ側副首相兼デジタル変革相、ミハイロ・フェドロフの要請を同社は拒否し、それに応じていたならば「重大な戦争行為と紛争の拡大に加担する」とした上で、「両国の国境線はほとんど動かなくなっており、戦争が続くほど、国土のわずかな獲得や喪失のためにウクライナとロシアの若者がますます多く死ぬことになるのは、若者たちが命をかけるのに値しない」と断じ、停戦合意をふたたび提案した。また、「スターリンクは良いこと、平和なことをするもので、ドローン攻撃のためのものではない」と著者に対して述べた。

マスクの一連の行動に対し、ウクライナ大統領府顧問、ミハイロ・ポドリャクはTwitter上で、「マスク氏がドローン攻撃を許さなかったことによって、この艦隊のウクライナへのミサイル発射を許し、その結果、民間人や子どもたちが殺されている」などと非難した。

米上院議員のリンゼイ・グラハムはTwitterで、マスクの和平案を批判。グラハムの投稿を受け、同年同月6日にマスクはTwitterアカウントで「ウクライナ東部の複数の地域ではロシア人が多数を占め、この人々はロシアを選ぶ」、「民意が重要というのであれば、どのような紛争地であっても、そこに住む人々の意思を支持すべきだ。ウクライナの大部分は明らかにウクライナの一部であることを望んでいるが、東部のいくつかの地域ではロシア人が多く、彼らはロシアの方を好んでいる」と発言した。

2022年10月12日 、米政治学者イアン・ブレマーは「マスク氏は私に、プーチン氏やロシア政府と直接、ウクライナについて話したと言っていた。ロシア側にとって越えてはならない一線とは何かという話もしていた。」とTwitter上で言明した。

同年10月20日、イギリス首相のリズ・トラスの辞任表明をやゆするロシアのメドベージェフ前大統領のツイートに対し、マスクが返信機能を使って「すばらしい挑発だ」と投稿した後、「ところでバフムート(ウクライナ東部ドネツク州の要衝で、激戦地の一つ。)はどうなっている?」と尋ね、メドベージェフは「勝利の日にモスクワで会おう!」と返信した。

ドイツのための選択肢(AfD)への支持表明[編集]

2023年9月29日、マスクはX(旧ツイッター)で、移民船を救助するNGOを映したとみられる動画に「独政府が補助金を出している。欧州の自殺を止めるためにAfDが選挙に勝つよう願おう」と記した投稿を紹介し、マスクは、「ドイツの人たちは知っているのか」とコメントした。10月に州選挙を控える中、ドイツにおいて一般的に「極右」ないし「右翼過激派」として連邦憲法擁護庁から監視対象となっているドイツのための選択肢(AfD)への投票を呼び掛けるマスクのこうした行為に、既存政党側は「選挙プロパガンダだ」と反発している。

私生活・趣味[編集]

趣味は子供と遊ぶことと映画鑑賞。自身の第1子が突然死する体験をしており、「子どもの死を政治や名声の手段にするような人物は容赦しない」としている。

アメリカのテレビ番組サタデー・ナイト・ライブ (SNL) にて「SNLの司会を務める、アスペルガー(症候群)の最初の人物として今夜、歴史をつくっている」と発言し、自身がアスペルガー症候群であることを公言したが、SNS上ではアスペルガー症候群を公表しているダン・エイクロイドも2003年に同番組の司会を務めていることが指摘された。

大のSF好きとしても知られており、マスクの自伝を書いたアシュリー・バンス曰く、マスクはこれまでに出版された全てのSFを読破しているという。幼少期は1日に2冊の本を読み、ファンタジー小説やSF小説を多読していた事が「世界を救う」という夢につながっているかもしれないと語っている。

マーベル映画「アイアンマン」の監督ジョン・ファヴローは、主役の「トニー・スターク」のモデルとしてマスクからインスピレーションを与えられたと認めている。

映画などに本人役として出演する事もあり、マスクがモデルにもなった映画「アイアンマン」の続編「アイアンマン2」や、「メン・イン・ブラック:インターナショナル」などの作品にカメオ出演している。

1999年にZip2(英語版)を3億ドル(約330億円)超で売却後、自分へのご褒美として新車を買うことにし、当時最も高価な名車であった世界で64台しか存在しないエキゾチックカー、マクラーレン・F1を購入。2012年のインタビューでは購入から数年後、かつてPayPalを共同で創設したピーター・ティールに車の性能を自慢しようと車体をスピンさせたところ堤防にぶつかり、3フィート(約1メートル)の高さを円盤のように飛んで行ってしまったという、愛車を事故で壊してしまったエピソードを披露した。事故後、車は修理され現在は新しいオーナーの手に渡り、現在はカリフォルニア州のどこかで大切に管理されている。

2018年王立協会フェロー選出。

2021年時点では、PayPalの共同創業者で元駐スウェーデン米国大使のケン・ハワリーが所有する約740平方メートルの豪邸に住んでいる。2018年に1200万ドル(約13億7000万円)で購入されたこの家は、その当時、オースティンの不動産市場で最も高価な物件だったとされる。

2018年、インタビュー中に大麻と思しきものを吸っていたことで話題となったが、インタビューが行われたカリフォルニア州では同年に嗜好用大麻が解禁されている。

日本との関係[編集]

マスクは、マスク財団の会長であり、被災地における太陽光発電エネルギーシステムの提供やその他の目標に焦点を当てている。2011年7月には、東日本大震災の被災地の福島県相馬市に25万ドル、出力20キロワット時 (kWh) 規模の太陽光発電システムを寄贈した。

日本のアニメやゲーム文化のファンであることでも知られ、DEATH NOTE、エヴァンゲリオン、攻殻機動隊、千と千尋の神隠し、もののけ姫、鋼の錬金術師、君の名は。などの作品が好きと述べた。現在の妻であるグライムスも任天堂のゲームマリオに登場するキャラクター「ピーチ姫」のコスプレをするなどしている。

2021年1月13日にはアイドルマスター シンデレラガールズに登場するキャラクター「輿水幸子」の画像と共に、「Hey you … Yeah you Queen … You’re gonna make it!」とコメントを自身のTwitter上に投稿し話題となった(投稿した1月13日は2012年に輿水幸子が初めてゲームに登場した日でもある)。投稿後、配信元のバンダイナムコホールディングスの株価が一時4.4%高の9391円にまで上昇した。

日本のラーメンが大好物であり、2014年9月7日に来日した際には移転前の「新宿歌舞伎町店ラーメン二郎」に訪れラーメン二郎を食べ、「まさに私が求めていたもの」と大絶賛。そのおいしさを自身のTwitter上で世界に向けて発信した。翌日8日に開催されたテスラのスポーツ電気自動車「モデルS」の納車記念式典では前日に訪れた「ラーメン二郎」について感想を求められ、「特に狙っていたわけではなく、友だちと歩いていて『ここがどうも美味しそうだ』ということで入った」と語り、「すごく大きなボウルにラーメンを盛ってくれて、非常に美味しかった。機械にお金を入れて……確か700円くらいだっただろうか。アサヒビールも飲んだし、本当に楽しかった」と笑顔で答えた。

2018年12月14日よりマスクの率いるテスラの工場には、台湾出身のエンジニアのアンディ・リンが創業した「ヨーカイエクスプレス」のラーメン自動販売機が設置されている。設置した数時間後にマスクは自身のTwitter上に「ラーメン最高」と投稿。作業員たちの過酷な就労を支える癒しになっている。

結婚生活[編集]

2022年時点でマスクには9人の子供がいる。

クィーンズ大学の同窓生で作家のジャスティン・マスク(英語版)と2000年に結婚し、双子と三つ子の男児をもうけ、合計5人の子宝に恵まれたが、2008年に離婚している。

2番目の妻は女優のタルラ・ライリーで2010年に結婚したが、2012年に離婚、翌2013年に復縁したが、2016年3月に再度離婚した。

2016年7月に俳優のジョニー・デップと離婚申請中のアンバー・ハードと交際が噂された(2人は翌月に正式離婚した) 。2017年4月には2人はオーストラリアのパーティー会場にツーショットで堂々と登場し、アンバーと彼女の父親はイーロンとの交際を認めたが4か月後に破局した。

2020年5月、かねてから交際中であるカナダ人ミュージシャンのグライムスとの間に男児をもうけ、その後破局した。なお、破局後もグライムスとの交友は続いており、2023年8月に日本の千葉県で開催されたソニックマニアにグライムスが出演した際に飛び入り参加した。

2021年11月、マスクがCEOを務めるニューラリンクの幹部であるシボン・ジリスとの間に双子が生まれた。

問題発言[編集]

ソーシャルメディア上の発言がしばしば舌禍となり、テスラなどの株価やビットコインなどの暗号通貨の価格を急落、急騰させることがある。

その一方でアメリカ合衆国での人気はすさまじく、歯に衣着せぬコメントにより度々メディアから注目を集め、スティーブ・ジョブスを超えると注目をされたこともある。

エイプリルフール[編集]

2018年4月1日のエイプリルフールには、「テスラ社が破綻した。」とのツイートを行い株価を最大8%下落させた。

タムルアン洞窟の遭難事故[編集]

2018年6月、タイで少年らが増水した洞窟に閉じ込められたタムルアン洞窟の遭難事故において、マスクは少年らを救出するために小型潜水艇の提供を申し出て賞賛を浴びたが、これに少年らの救出に貢献したイギリス人ダイバー、バーノン・アンズワースは「知識を伴わない単なるPR活動」と批判した。
これに反応する形で、2018年7月15日、マスクはTwitterにて「この小児性愛者には悪いが、あなたが自ら招いたことだ」と投稿した。この発言には非難が殺到し、テスラ株価は3.4%値下がりした。問題の投稿はその後削除され、3日後の18日にマスクは「アンズワース氏の私に対する行為は、彼に対する私の行為を正当化するものではない。よって、私はアンズワース氏と私が代表を務める各社に謝罪する」「非は私にあり、私だけにある」と謝罪を表明した。
しかし2018年8月、訴訟を起こされる可能性を問い合わせたBuzzFeedからのメールに返信する形で、「タイにいる知り合いに電話して、実際に何が起きているかを調べた方がいい。そして小児レイプ犯の弁護はやめることだ。このクソったれの馬鹿野郎(fucking asshole)」と、取り下げたはずの罵倒で返信してきた。マスクはオフレコと書いてきたが、アメリカのジャーナリズムの慣例では、オフレコは双方が合意した時点で成立するため、BuzzFeedはこのメールを公開した。

SECの提訴[編集]

2018年、マスクは、テスラの株式を非公開化できる資金が確保されたというツイートで米国証券取引委員会 (SEC) に提訴された。
この訴訟は、このツイートが虚偽で誤解を招き、投資家に損害を与えるものであるとし、マスクが上場企業のCEOを務めることを禁止するよう求めたものであった。その2日後、マスクはSECと和解し、SECの主張を認めることも否定することもなかった。その結果、マスクとテスラ社はそれぞれ2000万ドルの罰金を科され、マスクはテスラの会長を3年間退任することになったが、CEOには留まることができた。
マスクはインタビューで、SECの調査の引き金となったツイートを投稿したことを後悔していないと述べている。
2022年4月、このツイートについてマスクを訴えた株主は、複数のテスラ株主とともに、連邦判事がこのツイートは虚偽であると判断したと述べたが、問題の判決は公開されていない。
2019年、マスクはツイートで「テスラはその年に50万台の車を製造する」と述べた。SECはマスクのツイートに反応し、このようなツイートで和解契約の条件に違反したとして、裁判所に侮辱罪の適用を求めたが、この告発にマスクは反論した。結局、マスクとSECの間で、これまでの合意内容を明確にする共同合意によって決着がついた。この合意には、マスクがツイートする前に事前許可を必要とするトピックのリストが含まれていた。
2020年、テスラの株価に関するマスクのツイート(「俺的には高すぎる(too high imo)」)が協定に違反するとする訴訟の進行を、判事が阻止した。FOIAで公開された記録では、SEC自身がその後、マスクが「テスラのソーラールーフの生産量と株価」に関するツイートで2度、協定に違反したと結論付けている。

ビットコインへの影響[編集]

2021年1月29日、Twitterのプロフィールに#bitcoinを追加した(ビットコイン価格が15%上昇)
2021年2月1日、Clubhouseアプリにて、ビットコイン支持者である旨を発言(その後テスラ社がビットコインへ投資)
2021年5月17日に、テスラ社の保有するBitcoinを売却する可能性を示唆した(ビットコイン価格が大きく下落)

ドージコインへの影響[編集]

2021年4月15日、スペインの画家ジョアン・ミロの「月に吠える犬(Dog Barking at the Moon)」の画像を添え、これをもじって「Doge Barking at the Moon」とツイートした(ドージコインの価格が10セントから25セント超への急騰)
2021年5月9日、米人気バラエティー番組「サタデー・ナイト・ライブ」のコントでドージコインは「詐欺」と発言した(ドージコインの価格が約36%下落)

バンダイナムコエンターテインメントへの影響[編集]

2021年1月13日、アイドルマスター シンデレラガールズに登場するキャラクター「輿水幸子」の画像と共に、「Hey you … Yeah you Queen … You’re gonna make it!」とコメントをツイート(配信元のバンダイナムコホールディングスの株価は一時4.4%高の9391円に上昇)

資産[編集]

マスクの資産は2005年時点において3億2,800万ドルとされていたが、2018年2月時点では204億ドルとされている。ただし、マスクの資産は非公開企業に関するものが多いため、実際の総資産額を特定するのは困難である。

テスラの株主によって2018年に承認された賃金体系のもとでは、マスクは給料も報奨金も受け取らない代わりに、会社が一定の利益を上げたり株価が一定の値に達したりしたときに何十億ドルもの価値を持つストックオプション(自社株購入権)を受け取れる。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、マスクの純資産は2020年に入ってから同年9月1日までに878億ドル増加し、FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグの1,108億ドルを抜いて1,154億ドル(約12兆2,300億円)となった。これによりマスクは史上5人目の資産が1,000億ドルを超えた人物となり、世界第3位の富豪となった。

2020年9月8日にTeslaの株価が21.06%下落した際、マスクの純資産の下落幅は163億ドル(約1兆7,294万円)となった。これはブルームバーグ・ビリオネア指数における史上最大の下落幅である。同年11月にはテスラ株の急伸によって純資産が1,280億ドル(約13兆3,861億円)に達し、ビル・ゲイツを超えて世界2位の富豪となった。

2021年1月7日、純資産が1,885億ドル(約19兆9,586億円)超に達し、ジェフ・ベゾスを上回り世界一の富豪となった。同年9月27日推定保有資産が2034億ドル(約22兆6250億円)となった。さらに同年10月28日(現地時間)推定保有資産が3020億ドル(約34兆4106億円)となった。

2022年12月7日のフォーブズの世界長者番付で一時的ながらベルナール・アルノーに世界一の富豪の座を譲った。

出演[編集]

いずれも本人役

  • シンプソンズ - シーズン26第12話「アイデアの宝庫(The Musk Who Fell to Earth)」
  • ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則 - シーズン9第9話「プラトニックな恋愛の法則」
  • アイアンマン2 - モナコでのシーン
  • トランセンデンス - ウィル博士の講演会の会場
  • メン・イン・ブラック:インターナショナル - MIB支部の中で流れているニュース映像

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ピーター・ティールが設立したコンフィニティ社とイーロン・マスクが率いたネット銀行企業X.com社の合併後、コンフィニティ社が提供していたサービスであった初期PayPalが会社名となり共同創業者として表記されている。
  2. ^ 実際の創設者はマーティン・エバーハードとマーク・ターペニングの2名であり、マスクが参画したのは創設の翌年からである。しかし、後の法廷闘争の結果、共同創設者として認められることになった。


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