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イギリス海峡

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イギリス海峡(イギリスかいきょう、英語: English Channel, ラテン語: Oceanus Britannicus)または英仏海峡ラ・マンシュ海峡(フランス語: La Manche)は、イギリス(グレートブリテン島)とフランス(ヨーロッパ大陸)を隔てている海峡。東端はドーバー海峡を介して北海に繋がっている。1994年5月6日、ドーバー海峡下に英仏海峡トンネルが開通、高速鉄道ユーロスターの運行が開始された。

全長約562キロメートル、最も幅の広い西端の約180キロメートルから最も狭い東端ドーバー海峡の約34キロメートルと全体的に非常に凹凸の多い地形になっている。

ヨーロッパの大陸棚周辺にある海域で最も小さい海峡であり、約7万5000平方キロメートルの範囲がイギリス海峡と呼ばれている。大陸棚上にある海峡であるため、最深部で172メートル、平均水深54メートルの浅海であり、フランス海岸近くにイギリス領であるチャネル諸島がある。

名称[編集]

16世紀から18世紀の前半にかけて、オランダの海図に「エンゲルス海峡」 (オランダ語: Engelse Kanaal) と記載されて以来、「英仏海峡」の名前は広く使用されている。また、「ブリティッシュ海峡(イギリスの海峡)」 (英語: British Channel) として知られている。それ以前にはブリティッシュ海(イギリスの海)として知られており、2世紀の地理学者であるクラウディオス・プトレマイオスの "Oceanus Britannicus" にもそう記載されている。同様の名称は1450年代のイタリアの地図 "canalites Anglie" の上でも使用されている。これは最初の「海峡」名の使用である記録と考えられる。

フランスでの「ラ・マンシュ海峡」という名称は17世紀以来継続して使用されている。名前の由来は英仏海峡のスリーブ(英語: sleeve, フランス語: manche)からであると言われているが、スコットランドではケルト語で「海峡」を意味する「ミンチ海峡」が語源であると主張されている。平凡社の世界大百科事典によれば、西端から東端に至る過程で徐々に狭まる海峡の形状を、フランス語で「袖」の意味を表す「ラ・マンシュ」に喩えたのが由来であると説明されている。

地理[編集]

範囲[編集]

イギリス海峡は東端をドーバー海峡、西端をコーンウォール半島のランズ・エンド岬 - アシャント岬(英語版)間までとする広い範囲の海峡である。英仏海峡間ではドーバー海峡が最も狭くなっている。最も広い区間は ライム湾(英語版)とサン・マロ湾の間だが、この区間は比較的深度が浅く、最も深い区間で平均深度約120メートル、そこからドーバー海峡とカレーの間までに約45メートルまで隆起している。北海に隣接したブロード・フォーティーンス海域(英語版)では26メートルとなるが、ガーンジー島の北西30キロメートル地点にあるイギリス海峡の最深地点であるハーズ・ディープ(英語版)では最深部で180メートル(19マイル)に達する。

海峡の形成[編集]

海峡の形成は比較的新しい時代のもので、最終氷期末期の約1万年前までは、陸地であった。その後、45 - 18万年前に氷床の融解により北海南部に淡水湖が形成されたが、これがウィールド地方 - アルトリア丘陵方面で発生した壊滅的な大規模洪水によって大西洋と連結され、海峡が形成されたと考えられている。1秒辺りの最大放出量は100万立方メートルを超え、洪水は数ヶ月続いたと考えられる。洪水に至った原因については特定されていないが、淡水湖の水圧が地震によって圧縮強化されて引き起こされたと推定されている。ヨーロッパ大陸とイギリスを繋げていた地峡を破壊したと同時に、洪水は巨大な岩盤で形成された谷を英仏海峡の下側に刻み、流線型になった島と壊滅的な洪水の爪痕を残した。



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