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アルミニウム

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アルミニウム(英: aluminium, 米: aluminum, 羅: alūminium)は、記号Al、原子番号13の化学元素である。アルミニウムは他の一般的な金属よりも密度が低く、鋼鉄の約3分の1である。酸素との親和性が高く、空気に触れると表面に酸化物の保護膜が形成される。外観は銀に似ており、色も光を反射する性質も強い。軟らかく、非磁性で延性がある。アルミニウムの同位体組成はほぼ100%が安定同位体27Alであり、この同位体は宇宙で12番目に多い核種である。26Alの放射能は放射年代測定に利用される。

化学的には、アルミニウムはホウ素族の後遷移金属であり、他のホウ素族元素同様、主に酸化数+3の化合物を形成する。アルミニウム陽イオンAl3+はイオン半径が小さく、強く正に帯電しているため分極性が高く、アルミニウムが形成する結合は共有結合になる傾向がある。酸素との親和性が高いため、天然には酸化物の形でみられることが多い。このため、地球上ではアルミニウムはマントルよりも地殻を構成する岩石中に主に存在し、地殻中における存在度は酸素とケイ素に次ぐ第3位を占める。遊離金属の形でみられることはほぼ皆無である。

アルミニウムは、1825年にデンマークの物理学者ハンス・クリスティアン・エルステッドによって発見された。アルミニウムが最初に工業生産されたのは1856年であり、フランスの化学者アンリ・エティエンヌ・サント=クレール・ドビーユによる。1886年にフランスのポール・エルーとアメリカのチャールズ・マーティン・ホールがそれぞれ独自に開発したホール・エルー法により大量生産法が確立され、アルミニウムは一般に広く普及し、産業や日常生活で広く使われるようになった。第一次、第二次世界大戦においては、アルミニウムは航空にとって重要な戦略資源となった。1954年には、アルミニウムの生産量は銅を抜き、最も多く生産される非鉄金属となった。21世紀におけるアルミニウムの用途は、主に輸送、エンジニアリング、建設、包装が占める。

環境中に広く存在するため、生物学的な役割をもつ可能性が考えられ、現在も研究が続いているが、これまでにアルミニウム塩を代謝に用いる生物は知られていない。ただし、動植物は高いアルミニウム耐性を持つことが知られる。

名称[編集]

軽銀(けいぎん)、礬素(ばんそ)とも呼ばれる。軽銀は、軽いことと、外見が銀に似ていることにちなむ。礬素は、ミョウバン(明礬)にちなむ。

アルミニウムは、化合物のミョウバン(羅: alumen、アルーメン)にちなみ、イギリスの化学者ハンフリー・デービーらによって命名された。

俗にアルミまたはニュームとも略される。

単体の性質[編集]

単体は銀白色の金属で、常温常圧で高い熱伝導性・電気伝導性を持ち、加工性がよく、実用金属としては軽量であるため、広く用いられている。熱力学的に酸化されやすい金属ではあるが、空気中では表面にできた酸化皮膜により内部が保護されるため高い耐食性を持つ。

単体は常温常圧では良好な熱伝導性・電気伝導性を持つ。融点は660.32 °C、沸点は2519 °C(別の報告もある)。密度は2.7 g/cm3で、金属としては軽い。常温における安定相は面心立方格子構造をとる。酸やアルカリに侵されやすいが、空気中では表面に酸化アルミニウムAl2O3の膜ができ、内部は侵されにくくなる。この保護現象は酸化物イオンO2−のイオン半径(124 pm)とアルミニウムの原子半径(143 pm)が近く、アルミニウムイオンAl3+(68 pm)が酸化物の表面構造の隙間にすっぽり収まることが深く関係している。また濃硝酸に対しても表面に酸化被膜を生じ反応の進行は停止する(不動態)。陽極酸化による酸化被膜はアルマイトとも呼ばれる。



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