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Floorp

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Floorp
Floorp 11.1.2のスクリーンショット
作者 すらーぷの妖精
開発元 Ablaze
初版 2021年8月22日(開発版含む)
2021年9月18日(正式版)
最新版 11.12.0 (ESR 115.10.0ベース) / 2024年4月14日
最新評価版 Daylight 11.12.1 (ESR 115.10.0ベース) / 2024年4月18日
リポジトリ https://github.com/Floorp-Projects/Floorp
https://github.com/Floorp-Projects/Floorp-Portable (ポータブル版)
対応OS Windows,macOS,Linux
使用エンジン Gecko / SpiderMonkey
(Chromiumベース時代は
Blink / V8)
プラットフォーム x86_64,IA-32(Windowsのみ),AArch64(Linuxのみ)
対応言語 23言語
サポート状況 開発中(Firefoxベース)
種別 ウェブブラウザ
ライセンス Mozilla Public License, version 2.0 , Floorp Shared Source License ほか
公式サイト https://floorp.app/
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Floorp(フロープ)は、日本の学生コミュニティである「Ablaze」に所属するすらーぷの妖精が開発しているウェブブラウザ。Mozilla Firefoxをベースとして開発されており、Windows / macOS / Linuxに対応する。

概要[編集]

Floorpは日本の学生コミュニティであるAblazeによって開発・メンテナンスされている、Mozilla FirefoxのESR(Extended Support Release、延長サポート版)をベースとする多機能なウェブブラウザである。

FloorpはMicrosoft EdgeやVivaldiに類似した、垂直タブやブラウザーマネージャーサイドバー、ワークスペースなどの機能を備えている。Firefoxとの互換性が高く、拡張機能やテーマ、プラグインなどはFirefoxと同様のものが利用できる。また、Firefox Syncで他の環境のFloorpやFirefoxと同期することができる。

Firefox ESRのセキュリティアップデートを迅速に配信し、またコードサイニング証明書によってデジタル署名を行うなど、セキュリティ面にも力が入れられている(詳細は#セキュリティを参照)。

開発の進捗状況がTwitterなどで定期的に更新されており、またTwitterやMisskey、Discordなどでも積極的にサポートを行うなど、ユーザーと開発陣の距離が近い。毎日開発が行われているので開発ペースが速く、メジャーアップデートの前に配信される開発版、Floorp Daylightでは毎日配信が行われ、1日に複数回更新されることすらある。

Astian, Incによって管理されている元WebKit系の軽量ブラウザMidoriは、バージョン11以降でFloorpをベースとしている。

特徴[編集]

この節では、Floorpの特徴や独自の機能について説明する。

Floorpには、Firefoxをベースにパワーユーザー向けの機能やカスタマイズ性を重視した機能が搭載されている。 Firefoxとの主な相違点としては、以下が挙げられる。

デザイン[編集]

Firefoxはバージョン89以降、Proton UIというデザインを採用しているが、FloorpはこのProton UIを使用できるほか、FloorpのデフォルトのデザインとなっているLeptonやPhoton、Google Chrome風のFloorp Fluerial Ul、Microsoft Edge風のMicrosoft Fluent Ulといった、様々なUIデザインを選択することができる。

FloorpのUIデザインの比較画像
上からProton UI、Photon UI、Lepton UI、Fluerial UI、Fluent UI。


これにより、使いやすいと感じる、または使い慣れたUIデザインでFloorpを利用することができる。

その他に、ダウンロードマネージャーのアイコンを赤く見やすくする設定やシンプルに簡素化する設定、新しいタブの背景に美しい写真がランダムに表示される機能、複数のテーマを組み合わせられるデュアルテーマといった機能もある。

Floorpの新しいタブ
新しいタブの背景には美しい写真がランダムに表示される


タブの強化[編集]

タブが横幅を使い切った場合に自動的に2段目・3段目と展開する多段タブや、サイドに垂直にタブを並べる垂直タブ、一定期間使用していないタブをスリープさせメモリ消費量を削減するタブスリープ機能など、大量のタブを同時に開くようなユーザー向けの機能が搭載されている。

多段タブ


垂直タブはFloorp 11.5.0で再実装され、ツールバーのカスタマイズでタブバーに配置したアイテムを反映するようになった。また、これまでのFirefoxのサイドバーを利用する方式ではなく独自のサイドバーになったことで、Firefoxのサイドバーとの併用も可能となった。

垂直タブ(Floorp 11.5.0)


また、マウスホイールでタブを切り替える、ダブルクリックでタブを閉じるなどちょっとした便利機能も追加されている。

ワークスペース[編集]

Floorp 11.0.0から、タブをカテゴリ毎に異なるワークスペースにグループ化することができる、ワークスペース機能が搭載されている。クリックするだけで、ウィンドウ内のビューをすぐに切り替えることができる。

タブをさまざまなカテゴリに整理することができ、表示するワークスペースを選択すると、ウィンドウにそのカテゴリのタブのみが表示される。

Floorp Daylight 11.8.0のワークスペース機能
ワークスペース


Floorp 11.1.0からは、ブラウザーマネージャーサイドバー(BMS)に並べられたアイコンをクリックすることで、タブを切り替えるようにワークスペースを切り替えられる機能や、ワークスペースごとにアイコンを選択して設定できる機能、デフォルトのワークスペース名を変更できる機能が追加された。

Floorp Daylight 11.1.0のブラウザーマネージャーサイドバーに表示されたワークスペース
BMSに並べられたワークスペースのアイコン



また、デフォルトではワークスペースを選択した後もワークスペースを選択するメニューは開いたままだが、11.1.0からはワークスペースを選択すると自動でメニューを閉じる設定(Windowsの普通のメニューと同様の動作になる)も用意されている。11.1.1では設定からワークスペースの名称をタブバーに表示するかどうかを変更できるようになった他、ワークスペースの属性読み取りをFirefox側で行うようコードが変更されたため、安定性が向上した。

11.4.0でワークスペースコンテナーという機能が追加された。この機能はワークスペースに対して予め使用するコンテナーを指定することで、そのワークスペース内で新しく開かれるタブを指定したコンテナーで開く機能である。

Floorp 11.4.0のワークスペースの管理
ワークスペースの管理でコンテナーを指定できる


Floorp 11.8.0ではワークスペースが再実装され、安定性が著しく高まり、これまで不可能だった複数ウィンドウでの動作に対応したほか、ツールバーのワークスペースのボタンが移動可能となった。

他にも、ワークスペース名に使用できる文字の制限を撤廃、タブのコンテキストメニューの「他のワークスペースに移動」でアイコンが表示されるなどUIが改善され、新規ワークスペース作成時に「新しいワークスペース」などデフォルトの名称があらかじめ用意される仕様となるなど、フィードバックをもとに細かい変更が加えられている。

Floorp Daylight 11.8.0のスクリーンショット
タブのコンテキストメニューの「他のワークスペースに移動」


また、従来の実装ではワークスペースはタブ管理を行う拡張機能と競合していたため、11.1.1以降ワークスペースはデフォルトで無効化されていたが、再実装によってワークスペースが1つであれば競合しない仕様となったことで、11.8.0では再びデフォルトで有効となった。

ブラウザーマネージャーサイドバー[編集]

Firefoxにも履歴とブックマークのサイドバーは存在するが、Floorpの独自機能であるブラウザーマネージャーサイドバー(BMS)はウェブサイトを表示することができ、また、ブラウザーマネージャーツールやダウンロードの管理ができる。

現在開いているウェブページとは別にBMSでページを閲覧できるため、作業中にサイドバーでChatGPTを使用する、SNSを閲覧する、翻訳サービスを追加して原文と翻訳を見比べるなど、様々な用途に利用できる。

ブラウザーマネージャーサイドバーでGoogle 翻訳を展開している様子


BMSはFirefoxのサイドバーと併用できるため、2つのサイドバーを両サイドに配置したり、並べて使用するといった使い方もできる。

ブラウザーマネージャーサイドバーとFirefoxのサイドバーを併用している様子


11.10.0でピクチャーインピクチャーやウェブ開発者ツール、多くの拡張機能がウェブパネルで動作可能となる設定が実験的に追加され、11.11.0で完全にサポートされた。また、11.11.2でウェブパネル内のコンテンツの拡大/縮小に対応した。

プログレッシブウェブアプリ(PWA)[編集]

Floorp 11.7.0でWindows版において、ウェブサイトをネイティブアプリのように扱うことができる技術である、プログレッシブウェブアプリ(PWA)が実装された。Linux版でも11.12.0以降、PWAをサポートしている。

ウェブアプリはタイトルバーを表示した専用のウインドウで表示される。ウェブアプリで拡張機能を使用することも可能である。

Floorp 11.7.0でPWAを使用している様子


PWAとしてインストールできるサイトではアドレスバーの右端にアイコンが表示され、クリックするとインストール用のポップアップが表示される。インストールしたウェブアプリはメニューの「ウェブアプリ」からアンインストールできる。

PWAインストール用のポップアップ


インストールしたウェブアプリはWindowsのアプリケーションとして認識され、スタートメニューなどに表示されるほか、タスクバーにピン留めすることもできる。

インストールしたウェブアプリはスタートメニューに表示される


11.9.0でウェブアプリの設定ページが追加された。また、ウェブアプリのウィンドウには再読み込み・戻るボタンが追加され、ツールバーを非表示にすることも可能となった。

ウェブアプリの設定ページ


SSB(サイトをアプリとしてインストール)[編集]

Floorp 11.7.0はPWAと同時にSSB(site-specific browser)をサポートしており、メニューの「ウェブアプリ」から「このサイトをアプリとしてインストール」でインストールすることができる。

ウェブアプリのメニュー


インストールしたウェブサイトはPWAと同様に表示され、アンインストールなども同じように行うことができる。

分割ビュー[編集]

Floorp 11.6.0から、2つのウェブページを左右に並べて同時に閲覧できる、分割ビュー機能が追加された。

Floorp 11.6.1で分割ビューを使用している様子のスクリーンショット
分割ビューを使用している様子


分割ビューは2つのウェブページを開いたタブをそれぞれ右クリックして、コンテキストメニューから左側と右側に固定することで使用でき、サイドバーやブラウザーマネージャーサイドバーと併用することも可能である。

Floorp-11.6.1のタブコンテキストメニューの一部分のスクリーンショット
タブを右クリックして表示されるコンテキストメニューから左側と右側に固定する


メモ機能[編集]

Floorp 11からブラウザーマネージャーサイドバーのパネルには「Floorp Notes」というメモ機能が搭載されている。

Floorp Notesを用いてFloorpのみで簡単にメモを取ることができ、Firefox Syncによる同期で他の端末のFloorpでも扱うことができる。また、Firefox Syncによる同期の前やメモを書き終えた後の再起動時に、自動でバックアップが行われる。

ブラウザーマネージャーサイドバーのFloorp Notesのパネルのスクリーンショット
ブラウザーマネージャーサイドバーからFloorp Notesを開いた様子


このメモに書き込んだ内容はFloorpやAblazeが知ることはできず、同期の際もFirefox Syncによって暗号化されるが、ローカルには平文として保存されるため、機密情報などを記載する用途には向かない。

プロファイルマネージャー[編集]

Floorp 11.4.0で複数のプロファイルをマウス操作で切り替えられる、プロファイルマネージャーが追加された。また、プロファイルマネージャーではMozilla アカウントの管理もできる。

このような機能はChromiumベースのブラウザでは一般的だが、Firefox派生ブラウザでは珍しい。

プロファイルマネージャーのスクリーンショット
プロファイルマネージャー


多くのカスタマイズ項目[編集]

Floorpではタブバーやブックマークバー、アドレスバーの位置やステータスバーの表示 / 非表示など、多くの設定項目が存在する。

タブバー上部の隙間の有無やブックマークのラベルの表示/非表示の切り替え、タブの名前表示の中央揃え、タブバーとURLバーを同じ行に表示するなど、非常に細かいカスタマイズも可能である。

カスタマイズの例
カスタマイズ例。タブバーをツールバーの下に、ブックマークバーをウインドウの下部に移動している。


また、ブックマークバーをフォーカスされた場合に表示する、外部ソフトのMica for Everyoneに対応するなど個性的な機能も存在する。

カスタムショートカットキー[編集]

Floorp 11.2.0から、ブラウザの様々な操作(80以上)に対して割り当てられたショートカットキーを、自由に編集することができる。

この機能はFirefox系ブラウザでは初のものであり、拡張機能などでは代替することができないため、Floorpの強力な独自機能であると言える。

ショートカットキーをカスタマイズする設定画面
設定画面から様々なアクションに割り当てられたショートカットキーをカスタマイズできる


プライバシー[編集]

Firefoxにも搭載されている強力なトラッキング防止機能を持ち、フィンガープリントへの対策やプライバシーの保護のため、ウェブサイトにデフォルトでFirefoxのユーザーエージェントを送信、WebRTCに対してローカルIPを可能な限り秘匿、一部のAPIを遮断、WebGLが送信するデバイス情報を一部書き換えるなどしている。

FloorpではFirefoxと異なり、プライベートウィンドウとそうでないウィンドウで検索エンジンを切り替えることができる。利用者のプライバシーの保護と利用履歴等を記録保存しないことを運営方針としているDuckDuckGoが、デフォルトでプライベートウィンドウの検索エンジンに設定されている。

プライベートウィンドウとそうでないウィンドウで違う検索エンジンを指定できる
プライベートウィンドウとそうでないウィンドウで違う検索エンジンを指定できる


Floorpはユーザーの情報を集める機能を備えておらず、全ユーザーの総ダウンロード数とアップデート回数以外のデータは収集していない。

共有モード[編集]

Floorp 11では、画面の共有を行う時などに便利な共有モードが追加された。

アプリケーションメニューに表示されるメールアドレスやMozilla アカウントのポップアップ、ブックマークバー、サイドバー、アクティブでないタブなど多くの項目を非表示にし、またMozilla アカウントのアイコンを変更することで、個人情報や他人に知られたくない情報を秘匿しながらFloorpの画面を共有することができる。

共有モードの使用前後を比較できるスクリーンショット
上:通常時 下:共有モード使用時


プライベートコンテナー[編集]

Floorp 11.4.0では、プライベートコンテナーが追加された。

プライベートコンテナーで開かれたタブの履歴やCookie、タブの状態などはプライベートコンテナーで開かれたタブを完全に閉じることで削除される。

プライベートコンテナーでこの記事を開いた時のタブ周りのスクリーンショット
プライベートコンテナーでこの記事を開いた時のタブ周り


つまり、プライベートウィンドウとほぼ同等の機能をタブ単位で実現した機能であり、わざわざ別のウィンドウを開くという煩雑な作業が必要でなくなる。

プライベートコンテナーは一般的なコンテナーを選択する時と同じように選択して使用することができる他、タブやリンクを右クリックして表示されるコンテキストメニューからも使用できる。

QRコードでのURLシェア[編集]

表示ページのURLをQRコードで生成し、他のデバイスで読み取ることでそのページに行くことができる。 同期している他のデバイスのFloorpやFirefoxとタブを共有することも可能としているが、QRコードでは同期していないデバイスにも共有できるのが利点。

Floorp 11.5.0でQRコードを生成している様子


Floorp 11.5.0でネイティブ実装に変更され、一貫したデザインとなり多言語化された。また、中央にロゴが表示されるようになった。

動画ポップアウト機能[編集]

FloorpはFirefoxをベースとしているため、動画をスクリーンの任意の場所で再生し続けられる、ピクチャーインピクチャー機能が利用できる。

Firefox(およびその派生のFloorp)のピクチャーインピクチャーはChromiumベースのブラウザのものより多くのウェブサイトに対応しており、再生 / 一時停止のような基本的な機能のほか、全画面表示、5秒単位のスキップや巻き戻し、字幕やキャプションの表示など、様々な機能が利用できる高機能なものとなっている。

また、Floorp 11では2023年7月9日のDaylightビルドから、ピクチャーインピクチャーでボリュームコントロールスクロールバーが利用可能になっている。 これは同年8月1日にリリースされたFirefox 116で利用可能になった新機能であり、Floorp 11(Firefox ESR 115ベース)で利用できるようにバックポートされたものである。

Floorp Daylight 11のピクチャーインピクチャーのミニプレーヤー
Floorp Daylight 11のピクチャーインピクチャーのミニプレーヤー。右下にボリュームコントロールスクロールバーがある。


user.jsファイルのカスタマイズ[編集]

Floorp 11では登録されているuser.jsをインターネット上からダウンロードして、Floorpの設定を置き換える機能がサポート対象外ではあるが実装されている。2023年7月9日現在、Floorpのデフォルト設定の他に、Yokoffing Securefox、Yokoffing Default、Yokoffing Fastfox、Yokoffing Peskyfox、Yokoffing Smoothfoxが登録されている。

user.jsを使ったデフォルト設定の上書きやサードパーティーのuser.jsを使用することについて、Floorpの開発者は脆弱性などのリスクがあるとして反対している。

JPEG XLのサポート[編集]

Floorpは次世代の画像フォーマットとされるJPEG規格、JPEG XLをサポートしている。

JPEG XLを利用すれば、従来のJPEGと比較して同画質でファイルサイズを半分程度に削減できる。また、JPEG XLは従来のJPEGファイルを約20%小さくでき、従来のJPEGファイルに戻すこともできる。 さらに、オリジナルデータに戻せる可逆圧縮を採用しているため、従来のJPEGのように圧縮によるノイズも発生しない。対立規格であるAVIFよりも画質、ファイルサイズともに優れているとも言われている。

JPEG XLの対立規格であるAVIFを支持するGoogleはChromium、Google ChromeからJPEG XLの実験的サポートを削除しており、またFirefoxでもNightlyでのみ「about:config」から有効化できるという実験的なサポートに留まっているため、2023年7月現在、正式にJPEG XLをサポートするブラウザはかなり少なく、JPEG XLはウェブの標準的な規格とはなっていない。 ただし、2023年9月にリリースされたSafari 17はJPEG XLをサポートする唯一のメジャーブラウザとなっている。

ポータブル版[編集]

10.9.0からWindows x86_64環境で使えるポータブル版の提供が行われており、11.0.0からはLinux x86_64環境向けのポータブル版も公開されている。

ポータブル版はGitHubのリポジトリからダウンロードできる。

その他[編集]

Firefoxにマウスジェスチャーを追加する拡張機能、Gesturefyを使えば、Floorp限定のジェスチャーコマンドが追加され、また、マウスジェスチャーでFloorpの様々な機能を呼び出すことができるようになっている。

ダウンロードの開始・終了を検知すると通知する設定が使えたり、メニューパネルから再起動やプロファイルフォルダーを開くこともでき、Firefox Syncを通じて一部の設定も同期するようになっている。

Floorp 11.7.0のメニュー


Floorpはユーザーエージェントを変更する機能を有しており、ユーザー自身が設定からユーザーエージェントの偽装を行うことが可能である(詳細は#ユーザーエージェントの偽装を参照)。

Floorpのメモリ消費量が多いと感じた場合などは、設定のパフォーマンスからメモリとパフォーマンスの設定を変更できる。

Floorp 11.4.0のパフォーマンスの設定
パフォーマンスの設定


11.12.0以降、スムーススクロールがデフォルトで有効になっている。

歴史[編集]

開発中[編集]

当初、FloorpはBraveベースのブラウザの予定だったが、Braveの機能をFloorpに搭載すること自体が難しくなったため、純粋なChromiumベースに移行した。

Chromiumベース[編集]

Floorp 1では開発終了したKinzaブラウザの意思を受け継ぐ高速かつ超軽量なブラウザを目指して開発が行われ、その後Floorp 7でKinzaパッチを取り込んだ多機能ブラウザとなった。

しかし、Kinzaパッチを統合したままのChromiumの更新は少人数の開発陣では難しく、またGoogleの方針転換によりChromiumの派生ブラウザ開発に必要なリソースが増大したことなどもあって、Firefoxベースに移行することとなった。

Firefoxベース[編集]

Floorpは、バージョン8ではChromiumベースのブラウザからの乗り換えを企図し、ChromiumにUIデザインを近づけたFirefox派生ブラウザとしての色が強いブラウザであった。 しかし、2022年2月リリースの8.4.7でマウスジェスチャーが、8.5.9で垂直タブが搭載されるなど、徐々に多機能化していくこととなる。

2022年6月にはUIデザインの切り替えや多段タブなどを搭載したFloorp 10の最初のバージョン、10.0.0がリリースされた。Floorp 10のベースはFirefox ESR 102である。
Floorp 10でFirefoxからの乗り換えなども想定した多機能ブラウザとしての方針が明確化された。これは利用者から好感を持って迎えられ、フリーソフト100や窓の杜などのメディアにも掲載されるようになった。

2022年11月14日にはWindowsとLinuxでPGOが有効化された10.7.0がリリースされた。これ以降のバージョンではビルドにPGOが適用されることでパフォーマンスが向上しており、Floorp 11.2.0ではベースとなっているFirefox ESR 115.2.0より高速に動作している。

2023年7月4日、開発者はFloorpのアクティブユーザーがWindows版だけで3,000人に達したこと、海外ユーザーが大幅に増えており半数近くが海外ユーザーであることを明かした。

2023年7月30日にはネイティブ実装の垂直タブやワークスペース、メモ機能「Floorp Notes」など多数の新機能を搭載したFloorp 11.0.0がリリースされた。Floorp 11ではmacOSでもPGOが有効化され、有効化前と比較して全ての環境でパフォーマンスが上がった。また、ベースとなるFirefoxのバージョンがESR 115になった。

なお、11.0.0でWindows 7、8、8.1のサポートは終了しており、なるべく早く10以降のWindowsに移行することを推奨している。

アクティブユーザー数は2023年9月26日時点でポータブル版を含むWindows環境で5,000人を超え、7月末の約3,000人から2ヶ月で2,000人近く増加した。10月16日にはWindows環境の通常版のアクティブユーザーが5,000人に達し、ポータブル版を含めると6,000人、macOS環境やLinux環境を含むと7,000人以上と推定された。

2023年12月19日にリリースされた11.7.0でWindows版にプログレッシブウェブアプリ(PWA)が実装され、FloorpはFirefox派生ブラウザで唯一PWAをサポートするブラウザとなった。

その後、全環境の合計アクティブユーザー数は2024年1月11日時点では11,000人、同年2月17日時点では25,000人となっている。

2024年3月17日に「自身がFloorpフォークであることを隠したいフォーク、Floorpにまったく貢献したくないフォーク、コードをそのまま使用してFloorpの名前を変更しただけのフォークなど」が増えたことを理由として一時的に一部のソースコードがクローズドに変更され、同25日に非公開だった部分のライセンスをCC BY-NC-SA 4.0に変更して再公開された。なお、同30日には若干条件を緩めたFloorp Shared Source Licenseに変更されている。

セキュリティ[編集]

FloorpはFirefox ESRのセキュリティアップデートを速やかにリリースしており、Firefox ESRの正式な配信よりも先にアップデートを配信することもある。 そのため、Floorpはセキュリティ面において、Firefoxのアップデートが配信された後にアップデートが配信される他の多くのFirefox派生ブラウザより堅牢である。

署名[編集]

Floorpはコードサイニング証明書発行元大手のCertumの公式に承認されたコードサイニング証明書により署名されている。これにより、Floorpが第三者によって改竄された場合にユーザーでも気付くことができ、またブラウザやセキュリティソフトの誤検出が大幅に低下した。

公式サイトからダウンロードしたFloorpのWindows版Stubインストーラーのデジタル署名の詳細
正常に署名されたFloorpのWindows版Stubインストーラー


署名が破損している場合は非公式な改変がなされているため、安全のために使用は控えるべきである。正常に署名されていてもMicrosoft Defender SmartScreenの警告画面は表示されるが、署名により発行元の記載が行われている。

公式サイトからダウンロードしたFloorpのWindows版Stubインストーラーを起動しようとした時に表示されるMicrosoft Defender SmartScreenの警告画面
FloorpのWindows版Stubインストーラーを起動しようとした時に表示されるMicrosoft Defender SmartScreenの警告画面。右側は左側の画面で詳細情報を押した後で、署名によって発行元が表示されている。


Floorp 11のmacOS版は2023年7月8日のDaylightビルド以降、Developer ID証明書による署名が行われている。これにより、Gatekeeperでソフトウェアの提供元、ソフトウェアに既知の悪質なコンテンツがないこと、ソフトウェアが改変されていないことを確認できるようになった。また、Gatekeeperによるブロックが起こらなくなり、macOSでも自動更新機能の提供が開始された。

アドレスバーの表示[編集]

FloorpはデフォルトでURLの「http」スキーム名を表示する。

Floorp 11.0.0のアドレスバーのスクリーンショット
Floorp 11.0.0のアドレスバー。URLの「http」スキーム名が表示されている。


FloorpのベースであるFirefoxでは、URLの「http」スキーム名をデフォルトでは表示しない他、Microsoft Edgeも同様の動作であり、Google Chromeは「http」だけでなく「https」スキーム名やホスト名(サブドメイン)の「www」すらも省略するため、正しいURLを表示するという動作でありながら、比較的珍しい動作であると言える。

Firefox 115.0.3のアドレスバーのスクリーンショット
Firefox 115.0.3のアドレスバー。URLの「http」スキーム名が省略されている。


GoogleはURLについて、複雑で重要な部分がわかりにくく判別が容易でないことから、ドメインの偽装などセキュリティにおけるリスクとなっていると考えており、表示の省略や重要な部分の強調などを進めている。

Google Chrome Beta 116.0.5845.49のアドレスバーのスクリーンショット
Google Chrome Beta 116.0.5845.49のアドレスバー。URLの「https」スキーム名やホスト名(サブドメイン)の「www」が省略されている。


しかし、Googleが重要でないと見なしたサブドメインの省略によって、かえって正しいサイトにアクセスしているかどうかわからなくなってしまうという指摘も多く、アドレスバーにおけるURLの省略表示がセキュリティ的にプラスであるかマイナスであるかは意見が分かれている。

ユーザーエージェントの偽装[編集]

Floorpは現在、Floorp独自のユーザーエージェントが送信されているごく一部のサイトを除き、デフォルトではベースとなっているFirefoxのユーザーエージェントを送信している。

これについて開発者は、Floorpのユーザー数が少なく、Floorp独自のユーザーエージェントがフィンガープリントの原因となってしまうためとしている。

ユーザ―エージェントでブラウザを識別し、マイナーなブラウザからのアクセスを拒むウェブサイトが非常に多く存在することなどもあり、Floorpのような新鋭ブラウザはユーザーエージェントを偽装するのが通例となっている。

また、Floorpはユーザーエージェントを変更する機能を有しており、ユーザー自身が設定からユーザーエージェントの偽装を行うことが可能である。ユーザーエージェントを偽装することで、サイトにアクセスを拒否される可能性を減らすことができる。

Floorpが送信するユーザーエージェントを変更する設定画面
設定画面からユーザーエージェントを自由に変更できる


userChrome.js・レガシーアドオン対応[編集]

FloorpはuserChrome.js用のスクリプトやレガシーアドオンに対応している。

Floorp自体が不安定になる可能性があるため、デフォルトでは無効であり公式からのサポートも行われない。また、Floorpが対応しているレガシーアドオンは、モダンなFirefoxに対応するもののみとなっている。userChrome.jsやレガシーアドオンを使用する場合、Floorpの機能自体を書き換えることができてしまうため、セキュリティも大幅に損なわれることになる。

設定の「レガシーコンポーネントを有効にする」のトグルを切り替え、ブラウザーを再起動すれば有効化できる。

Floorp 10とFloorp 11ではuserChrome.cssやuserChrome.js、レガシーアドオンの互換性がほとんどないため、Floorp 11へのアップデートの前にuserChrome.js、レガシーアドオンとも無効にすることが推奨されている。

なお、userChrome.jsとレガシーアドオンは共にレガシーな技術であり、ベースとなるFirefox ESRのメジャーバージョンが上がる際などに、対応が終了する可能性があることを開発者が明言しているため、注意が必要である。

また、開発者はカスタマイズなどの需要はレガシーな技術に依存し続けるのではなく、ブラウザ側がフレキシブルになることで解決すべきであるという考え方を示している。

DRM[編集]

Floorpは、W3Cの仕様であるEncrypted Media Extensions(EME)[注釈 13]に従って暗号化されたメディアの再生を有効にするために、Firefoxと同様、GoogleのWidevine CDMを使用している。

しかし、Floorpの提供元であるAblazeはGoogleからWidevine認定を取得できていないため、WidevineのセキュリティレベルはL3となっており、多くのコンテンツが再生できない、もしくは低い品質のものしか再生できない状態となっている。

セキュリティレベルを上げるにはGoogleの認証か多額のライセンス料が必要になるため、AblazeはFloorpのこの問題には対処できないとしている。また、開発者はFloorpの問題の約半分はDRM関連のものであると語っている。

なお、DRM関連の問題はDRMによって厳しい制限が課されるWindowsとmacOSでよく発生し、DRMの制限が緩いLinuxではあまり発生しない。

派生ブラウザ[編集]

FireDragon[編集]

Garuda Linuxのコミュニティによって開発されているFireDragonは、バージョン119までLibreWolfをベースとしていたが、2024年1月1日に新バージョンをFloorpに基づいて構築することを発表した。

FloorpベースのFireDragonはFloorpのブランディングと設定の一部を変更したものであり、FireDragonのメンテナは、Floorpに基づくことで従来と比較して5%~10%の処理性能の向上、ほとんどの機能が一覧表示され簡単にアクセスできる優れたUI、多数の新機能などがもたらされたとしている。FireDragonでは同期にGarudaのサーバーを使用しており、Mozilla アカウントは使用しない。

この新しいFireDragonは2月4日に正式に提供が開始された。

FireDragon 11.9.0のスクリーンショット


Midori[編集]

Astian, Incによって管理されている元WebKit系の軽量ブラウザMidoriは、2023年8月1日にエンジンをGeckoに変更すると発表し、8月31日には新たなベースがFloorpであることが発覚した。

その後、9月18日にAstianの公式TwitterアカウントでFloorpをベースとしていることが公表され、9月19日にパブリックベータを、10月28日に正式に11.0をリリースした。

なお、Floorpの開発陣はMidoriの開発には一切関わっていない。

2024年1月14日、Floorpの開発者のTwitterの投稿で、Midoriでは一部の著作権表記を無断で書き換えており著作権侵害にあたる状態であることが明らかになった。

2024年3月17日にFloorpが一時的に一部のソースコードをクローズドにした理由として、「自身がFloorpフォークであることを隠したいフォーク、Floorpにまったく貢献したくないフォーク、コードをそのまま使用してFloorpの名前を変更しただけのフォークなど」が増えたことが原因になっていると発表されており、明言はされていないもののMidoriのことではないかと推測されている。なお、Floorpの非公開だった部分のソースコードはライセンスを変更され、同25日に再公開されている。

Midori v11.0のスクリーンショット


外部リンク[編集]

公式関連[編集]

解説など[編集]

紹介記事[編集]

Wiki[編集]

その他[編集]

関連項目[編集]



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