モーリス・ジャンドロン
モーリス・ジャンドロン（Maurice Gendron, 1920年12月26日 - 1990年8月20日）[1]は、フランスのチェロ奏者、指揮者。[2][3]
ニース出身。[4]母親は地元の映画館でヴァイオリンを弾いており、ジャンドロンの初めての聴体験は、その映画館であった。３歳で楽譜を読めるようになったが、４歳で母の手解きで始めたヴァイオリンには馴染めなかった。５歳で４分の１サイズのチェロを買ってもらってチェロを始め、[5]カンヌでステファヌ・オドゥロにチェロを師事した。[6]10歳の時、オドゥロに連れられてエマヌエル・フォイアマンのコンサートに行ってフォイアマンの演奏を聴き、[7]フォイアマンに私淑するようになった。[8]11歳の時にニース音楽院に進学してジャン・マンゴットに師事し、14歳でプルミエ・プリを獲得して卒業。17歳の時にパリ音楽院に入学してジェラール・エッキングのクラス[9]でチェロを学んだ。[10]1943年からジャン・ヌヴーと共演してジャン・コクトー、ジャン・マレー、フランシス・プーランク、[11]ジョルジュ・ブラック、マルク・シャガール、パブロ・ピカソ、ジャン・フランセ等と交流を持った。[12]また、ディヌ・リパッティとの共演を通してリパッティとの録音計画も立てられたが、リパッティの夭逝により計画は頓挫している。[13]第二次世界大戦後はベンジャミン・ブリテンやピーター・ピアーズの知己を得、[14]1945年にヴィグモア・ホールでブリテンの伴奏によりガブリエル・フォーレやクロード・ドビュッシーのチェロ・ソナタを演奏してイギリス・デビューを飾った。同年12月には、ヴァルター・ジュスキントの指揮するロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とセルゲイ・プロコフィエフのチェロ協奏曲のイギリス初演の独奏を務めている。[15]1954年からザールブリュッケン音楽大学で教鞭を執り、[16]1970年から1987年までパリ音楽院のチェロ科教授。[17]
チェロ奏者としての活動の傍らで、ウィレム・メンゲルベルク、ロジェ・デゾルミエール、ヘルマン・シェルヘンの各氏に指揮法を教わっており、[18]1971年から翌年までボーンマス・シンフォニエッタの副指揮者を務めた。[19]
食道癌のため、グレ＝シュル＝ロワンの自宅にて死去。[20]
脚注[編集]
- ↑ 吉村, 溪「ジャンドロン、モーリス」『指揮者のすべて』音楽之友社、1996年、183頁。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 9784276960220。
- ↑ Horvath, Janet (2018年2月10日). “Forgotten Cellists: Maurice Gendron”. Interlude. オリジナルの2022年11月24日時点におけるアーカイブ。 2022年11月24日閲覧。
- ↑ “モーリス・ジャンドロン (Maurice Gendron) - 編曲者 - NML ナクソス・ミュージック・ライブラリー”. 2022年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月24日閲覧。
- ↑ アーカイブ 2022年11月24日 - ウェイバックマシン
- ↑ キャンベル, マーガレット『名チェリストたち』山田玲子訳、東京創元社、1994年（原著1988年）、247頁。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 9784488002244。
- ↑ “Maurice Gendron”. 2022年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月24日閲覧。
- ↑ “Maurice Gendron on Apple Music”. 2022年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月24日閲覧。
- ↑ キャンベルによれば「ジャンドロンは彼の崇拝する人のもとで学ばなかったことをずっと残念に思っている。彼は何度かフォイアマンに出会ったことがあり、フォイアマンは繰り返し自分の弟子にならないかと言ってくれたのだが、財政的にいつも都合がつかず、ついに間に合わなかった」のである。(キャンベル 1994, p. 249)
- ↑ 1938年にはプルミエ・プリを取得している。(アーカイブ 2022年11月24日 - ウェイバックマシン)
- ↑ キャンベルによれば「十七歳の時チェロを借り、鉄道の切符と千フランを貰ってパリ音楽院でジェラール・エッカンに学ぶことが出来るようになったが、暖房の無い部屋に住み、新聞を売って暮らさなければならなかった。第二次世界大戦中、彼は兵役を免除された。栄養失調のために不適格になったのであった。恐れず彼はレジスタンス運動に加わり、ドイツで演奏することは断固として拒否した。そのため危うく収容所に送られそうになった」という。(キャンベル 1994, p. 247)
- ↑ “Maurice Gendron”. 2022年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月24日閲覧。
- ↑ キャンベル 1994, p. 247
- ↑ キャンベル 1994, pp. 247-248
- ↑ 美術史家のケネス・クラークの紹介による。(キャンベル 1994, p. 248)
- ↑ King, Terry (2010). Gregor Piatigorsky: The Life and Career of the Virtuoso Cellist. McFarland Publishing. p. 130. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 9784276960220
- ↑ 1971年にはザールブリュッケン音楽大学を辞し、クラウス・カンギーサーが後任となった。(アーカイブ 2022年11月24日 - ウェイバックマシン)
- ↑ “Maurice Gendron - LAROUSSE”. 2022年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月24日閲覧。
- ↑ 吉村 1996, pp. 183
- ↑ Kennedy, Michael; Kennedy, Joyce Bourne; Rutherford-Johnson, Tim (1994). The Oxford Dictionary of Music. Oxford University Press. p. 325. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 9780199578542
- ↑ Kozinn, Allan (1990年8月21日). “Maurice Gendron, a Cellist, 69; Known as Soloist and Conductor”. New York Times. オリジナルの2013年9月22日時点におけるアーカイブ。 2013年9月22日閲覧。
 
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