ボルゴグラードの忖度

Lua エラー package.lua 内、80 行目: module 'Module:Message box/configuration' not found 2018 FIFAワールドカップ日本VSポーランドは、2018年 6月28日、ロシアのヴォルゴグラードのヴォルゴグラード・アレーナで行われた2018 FIFAワールドカップのグループH第3戦。

概要[編集]

2大会ぶりのベスト16進出に大きく近づいている日本と、下馬評は良かったものの低調な戦いで既に敗退が決まったポーランドとの対戦となった。両者は過去に2度親善試合を行なっているが、FIFA主催の公式戦で対戦するのは初であった。後述するが、この試合では日本がベスト16進出を果たすため、他会場の結果を踏まえて消極的な戦法を選択。「ヴォルゴグラードの忖度」とも呼ばれる^[要出典]八百長の様な展開に世界で賛否両論が巻き起こる事となった。

試合前の経緯[編集]

抽選の結果グループHは日本、ポーランド、セネガル、コロンビアが同居することとなった。

第1戦、日本はコロンビアと対戦。前回大会では最終節で1-4で大敗しグループリーグ敗退に追い込まれたが、今大会は開始3分にカルロス・サンチェスがエリア内で香川真司のシュートを手で止めてPK献上＆一発退場となったのが大きく、このPKと大迫勇也のゴールで2-1で金星を挙げた(試合会場をとってサランスクの奇跡とも呼ぶ)。モスクワではセネガルvsポーランドが行われ、セネガルが2-1で勝利した。

第2戦、日本はセネガルと対戦。セネガルが2度先行するも日本は乾貴士と本田圭佑のゴールで2度追いつき2-2のドローで終了した。もう1つの試合はコロンビアが力の差を見せつけポーランドを3-0で粉砕。2連敗のポーランドは敗退が決定した。

この結果第2節終了時の順位は以下のようになった。日本とセネガルは今大会初導入のフェアプレーポイントにより順位が決定していた。最終節、日本は引き分け以上でベスト16進出、負けてもセネガルの結果次第で突破が可能となった。

第２節終了時点での順位表
順	チーム	試	勝	分	負	得	失	差	点
１	日本(a)	2	1	1	0	4	3	+1	４
２	セネガル(a)	2	1	1	0	4	3	+1	４
３	コロンビア	2	1	0	1	4	2	+2	３
４	ポーランド(E)	2	０	０	２	１	５	-4	０

順位決定基準: グループステージ順位決定方法

(a) 反則ポイント日本:3 セネガル:５

(E) 敗退

試合[編集]

試合前[編集]

日本は「ローテーションを採用し」前節・セネガル戦からスタメンを6人変更。1トップに武藤嘉紀、2列目は右から酒井高徳、岡崎慎司、宇佐美貴史、アンカーは主将の長谷部誠に代えて山口蛍、さらに最終ラインも昌子源に代え槙野智章が入った。

消化試合となったポーランドも5人を変更。左ウイングにカミル・グロシツキ、ウイングバックは右がレイヴァン・クルザワ、左がアルトゥル・イェンドジェイチク、最終ラインはカミル・グリク、バルトシュ・べレジンスキが入ってヤン・ベトナレクと3バックを形成した。

前半[編集]

両者ともに静かな立ち上がりを迎える。控え主体の日本は中央での崩しはハマらず、サイドからのクロスで勝負するがグリクを中心とするポーランド守備陣の高さに跳ね返され、中々攻撃のリズムを掴めない。一方守備陣は集中した守りを見せ、ポーランドにチャンスを作らせない。日本は13分の武藤のシュートが枠へ飛ぶが、GKウカシュ・ファビアンスキに阻まれた。ポーランドは32分にグロシツキがエリア内フリーでヘディングシュートを放つが、川島永嗣が右手一本で好セーブを見せた。他にこれといった決定機は無く、前半はスコアレスで終了した。同自国開催のセネガルvsコロンビアもスコアレスで折り返し、前半終了時点では順位に変動はなかった。

後半[編集]

後半も膠着した試合展開になるが、59分、ポーランドは間接FKを獲得すると、クルザワがゴール前に入れたボールにベトナレクが合わせて先制に成功。この時点でセネガルvsコロンビアは0-0のままであり、日本は得失点差も踏まえて一気にグループ3位に転落。このままでは敗退となる日本は乾を投入して攻めに出るが、依然として攻撃陣は停滞し、ゴールを割れない。逆にカウンターからピンチを招き、74分には右サイドをグロシツキが突破し、グラウンダーのクロスを入れる。走り込んだロベルト・レヴァンドフスキが右足で合わせるが、ボールは枠を大きく越えて行った。ちょうどその直後、他会場ではコロンビアがCKからジェリー・ミナのヘディングシュートで先制に成功。この時点でグループHはコロンビアが勝ち点6で首位、日本とセネガルは勝ち点4、得点4、失点4、直接対決2-2で並んだが、反則ポイントが日本4、セネガル6のため日本が2位、セネガルが3位と順位が大きく入れ替わった。コロンビア先制の情報が日本ベンチに入ると、監督の西野朗はここで大きな賭けに出る決断をする。

ヴォルゴグラードの忖度[編集]

残り時間は15分、このままどちらの試合も終了すれば日本はベスト16進出が決定するが、無理に攻めて追加点を奪われると1点が必要になる。さらに相手攻撃陣には先ほど決定機を迎えた世界屈指のスコアラー・レヴァンドフスキ。反則ポイント差は警告わずか2回分、レッドカードを出されれば逆転される。以上の条件を全て考えた西野監督は82分、武藤を下げて長谷部を投入、試合終了までの時間を全て自陣でのパス回しで消費し、コロンビアの勝利に全てを託す決断を下した。ポーランドの方もW杯本大会で1勝は挙げておきたかったこともあり、パス回しを敢行する日本を深追いすることはなく、そのまま試合が終了。ポーランドが1-0で日本に勝利した。アディショナルタイムの差で、こちらの試合の方が先に終了した。

一方のセネガルvsコロンビアだが、コロンビアがセネガルの猛攻を耐え凌ぎ、1-0で試合終了。この結果、日本は反則ポイントの差でセネガルを上回り、グループ2位でベスト16進出を果たした。

試合後の反応[編集]

日本がリードされているにも関わらず、勝利を諦めてパス回しに走ったことに対しては世界中から様々な反応を巻き起こした。現地で観戦していた開催国ロシアのサポーターからはブーイングが飛び交った。

英国では『BBC』が「茶番だった」と評し、順位決定方法に問題があると主張した他、『ガーディアン』紙は「本当につまらない試合」、『デイリーメール』紙も「最後の10分間は恥ずべき内容だった」と評するなど、全体としては否定的な論調が並んだ。

スペイン紙『スポルト』などは、そもそもこうした行動に追い込む原因を作ったのは西野監督のこの試合に向けた采配ミスであり、ローテーションを採用したこと自体に疑問を呈した。

ドイツ国内では自国が西ドイツ時代に起こした「ヒホンの恥」と比較する声も多く、北アイルランド代表監督のマイケル・オニールも「1982年の試合を見ているようだった」とこれに言及している^[1]。

元韓国代表・安貞桓は、第3戦でドイツから金星を挙げて「美しく」敗退した隣国・韓国と対照的に、「醜い」負け方で勝ち抜けを決めた日本を批判した。

談合試合のような手段を使った日本が、フェアプレー精神を評価する反則ポイントでセネガルを上回ってベスト16に進出することに対し「皮肉な結果だ」と指摘する人もいた。また、スポーツジャーナリストの中山淳は、日本が失点を許した59分の時点でセネガルvsコロンビアはスコアレスであり、そのまま忖度で「パス回し」に入れば両国とも勝ち抜けが決定する可能性があったが、この試合ではそれがなかったことに触れている^[2]。

一方、イギリス紙『サン』は「ルールに則った行為と見る声もある」と、実際現行ルールには違反していない日本を擁護。元スコットランド代表のパット・ネビンも「もし彼らが攻撃的に出て敗退したら、ナイーブで愚か者と批判されたであろう」と賭けに勝った形の日本に肯定的な意見を示した^[3]。