ウェヌスのえくぼ
ウェヌスのえくぼ(英語: dimples of Venus、Venusian dimples)は、人体の背面下部、臀裂のちょうど上にしばしば見られる、矢状面に対照的なくぼみ。これらは骨盤の仙骨と腸骨が連結する、1対の仙腸関節のちょうど外(浅部)にあたる。
「ウェヌスのえくぼ」(dimples of Venus)という名称は、正式な用語ではないながら、仙腸関節の浅部にあたる部位の形状を指すものとして医療従事者の間で歴史的に受け容れられてきた。ラテン語名では fossae lumbales laterales(腰椎の横のくぼみ)と呼ばれ、英語ではほかに back dimples, butt dimplesなどとも呼ばれる。これらのくぼみは、上後腸骨棘と皮膚のあいだに伸びている短い靱帯によってつくられている。これらは遺伝によると考えられている。
この部位には、ほかにクーパー靭帯のような、表面の皮膚までの別の靱帯があるが、これらは、胸部の中にあったり、そして胸筋の主な筋膜と皮膚のあいだに見出される。
外科解剖学においては、「ウェヌスのえくぼ」(Dimple of Venus)という用語に別の用法がある。仙骨後面に対照的にある1対のくぼみを指すもので、ここには静脈道も含まれる。この「ウェヌスのえくぼ」は、仙骨の上部の関節面をさがすための目印として利用されており、脊柱の外科手術において仙骨椎弓根スクリューを取り付けるガイドの役割を果たす[1]。
「ウェヌスのえくぼ」は、その名がローマ神話の美の女神であるウェヌスに由来することに示されるように、美のしるしであるとしばしば信じられている。
脚注[編集]
- ↑ Youmans Neurological Surgery, 5th edition, 2004
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